一人二役/江戸川乱歩=ゲス不倫×カリギュラ×吊り橋×コナン=キキ

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

一人二役-江戸川乱歩-イメージ

著作者: freedesignfile.com

今回は『一人二役/江戸川乱歩』です。

江戸川乱歩 さんの『一人二役』は文字数7300字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約18分。

ニートTの奇想天外な遊び。

狐人的読書感想は
「ゲス不倫×浦沢直樹 さん×遊民×カリギュラ効果×吊り橋効果×名探偵コナン=魔女の宅急便」など。

女は魔物! おもしろい! おすすめです!

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

一人二役-江戸川乱歩-狐人的あらすじ-イメージ

ニートのTは、お金もそんなに持ってないのに、遊び暮らしていた。このTには美人でよくできた妻がいた。美人でよくできた妻なのだから嫌いなはずもない。

……嫌いなはずもないのだけれど、妻だけでは満足できない、というのは悲しい男の性、Tはこれを抑えようとも思わなかった(こういう男、最近テレビでよく見るね)。

このTが奇想天外な遊びを思いついた。自分の妻が、自分以外の男と接するさまを、覗き見してみたい(こういう男はテレビでもなかなか見ない)! ただの好奇心、うまくいけば浮気がバレたときの言い訳の手段に……(気持ちはわからなくもないけれど、ゲスだね!)。

夜も更けて、Tは暗い寝室で眠る妻の布団の中に、変装・付け髭をして忍び入り……、また手早く服を着終えると、そっと家から抜け出した。寝惚ねぼまなこの妻は、髭に違和感を覚えつつも、夫が夜更かしして帰宅したのだと疑わなかった。

翌朝、目を覚ました妻は、枕元の見慣れぬシガレットケースに驚いた。朝帰りの夫に、青い顔で訊いてみると、昨夜は家に帰ってないし、そんなシガレットケースは知らないという。一晩飲み明かしたアリバイもきちんと用意されている。Tは妻の浮気を疑ってみたりして楽しんだ(ひどい、ゲスの極みだね!)。

この企みは二度目も成功した。妻の美しい顔は一層青ざめ、Tの狂言嫉妬はますます興が乗ってくる……。しかし、三度四度と続くうちに、妻のほうに変化が見られるようになった。変装のTに、ある好意を見せ始め、都度残される証拠品を隠すようになり、他の男(変装のT)を恋い焦がれるようになったのだ。

こうしてTの目論見は完全に果たされたわけなのだけれど、実際この現実を目の当たりにすると、Tの心はひどく乱れた。妻がT以外の男を愛し始めたという恐ろしい事実……、しかしその男は他でもないT自身なのだ。以前はそれほどでもなかった妻なのに、いまはこの世に二人とない女に見えてくる……。

Tは取り返しのつかないことをした。自ら仕掛けた罠に自らかかってしまった。慌てて変装を中止すると、姿を見せない男を想い、日に日に妻は憂鬱になる……、とはいえこんな二重生活を、いつまでも続けられるはずがない。

解決するには3つの手段しかない。

  1. 仮想の人物を永遠に葬ってしまうこと
  2. すべてを正直に打ち明けること
  3. Tという人物を辞職し、仮想の男になってしまうこと

Tの選択は3だった。旅行といって、1か月家をあけて、その間に整形し、妻に絶縁状を送った。

妻は途方に暮れた。不安で不安でたまらなかった。

そこに仮想の男となったTが現れる。間もなく二人は同棲することに。

この物語のオチ。
【妻はすべてを知っていた】

この物語の教訓。
【女は魔物】

狐人的読書感想

一人二役-江戸川乱歩-狐人的読書感想-イメージ

おもしろかった!

これまで読んできた江戸川乱歩 さん作品(今回の含め短編のみ6編)の中で一番のお気に入りになりそうな予感です。

(ちなみにこれまでの一番のお気に入り)

誰もが考えそうなことですが、実際にやる奴そうはいないよね、といった感じ。正直、オチは読めましたが、期待通りのなんかいいラストだなあ、と思えました。

あらすじで思わずカッコ書きを入れてしまいましたが、2016年は、流行語大賞にもノミネートされた『ゲス不倫』という言葉を生んだ、「ベッキー さん×川谷絵音 さん」に代表される浮気のニュースが、後を絶ちませんでしたよねえ。

20世紀少年 完全版 1 (ビッグコミックススペシャル)狐人的に衝撃を受けたのは「浦沢直樹 さん×週刊文春女性編集者 さん」でしょうか。漫画家さんの顔って、普段あまり見かけることがないので、「あ、こんな人なんだあ」と思ったのは、記憶に新しいところなのです。

 

ニートのTは、作中「無職の遊民ゆうみん」(友民ではない)と書かれているのですが、この遊民という言葉に興味を覚えました。調べてみたところ、昭和初期に「高等遊民」という言葉が流行った、というか社会問題化していたそうで、大学などを卒業し、高度な教育を受けたにもかかわらず、家がお金持ちだからといって働かず、自由気ままに暮らしていた人たちを指していたそうです。

まあ現在で言うところのまさにニートですよねえ。ちなみにニートは「15~34歳までの働いていない人のうち、通学や家事をしない者」という確固とした定義があるのをこの度初めて知りました。

うらやましいかぎりですが。高等遊民という響きからは、中国不動産バブルでリッチになった人々の、豪遊する子供たちを思い浮かべたのですが(中国ではニートを「コウ老族」とかいうそうです)、OECD(経済協力開発機構)の主要加盟国ではトルコ、メキシコ、韓国の順でニート率が高く、中国の国名は挙がっていませんでした。

日本はOECD平均以下とのことで、たしかに最近あまりおおっぴらには聞かないなあ、とか思ってみたら、年々ちょっとずつ減ってきてはいるみたい(とはいえ内閣府調査のグラフで見ればほぼ横ばいといった感じですが)。ついでにニート最多県は「沖縄県」ですが、まあこれは求人の少なさからくるものなのでしょうね。

ニートに取って代わられ、いまや高等遊民という言葉は死語なのかなあ、と思ったら、2015年に、月9ドラマ『デート』で使われて話題になっていたのだとか(僕はまったく知りませんでしたが)。プレミアムフライデーの実施で、にわかに「花金」という言葉がピックアップされたのを彷彿とさせられましたが。ところでプレミアムフライデーって、1か月経った現在、どうなんでしょうね? 僕の周辺では「無関係だよ」といったふうに、あまりいい評判は聞かれませんでしたが。

……てか、高等遊民からのニート談義が思いのほか長くなってしまいましたが。

まあ、作品の内容については、「おもしろかった!」の一言に尽きるわけなのですが。純文学作品のような深い文学的考察、あるいはリドル・ストーリーちっくなミステリー解説も必要なさそうですしね。教訓は、まさにTがラストで言っているように、「女は魔物」(笑)でいいように思います。

(リドル・ストーリーがおもしろい読書感想はこちら)

でも、Tの妻は本当に素敵な奥さんだと思いました。男性ならこんなお嫁さんが欲しいのでしょうねえ(理想の女性像?)。女性なら「浮気は絶対許さない!」と、共感できない人のほうが多いんですかねえ……。僕などは、この妻の在り方には、ちょっと憧れてしまうところがありましたが(とはいえ浮気は、……ねえ?)。

しかしながら、実際にやる奴はそうはいない、とか自信満々に前述してしまいましたが、はたして本当にそうなのかなあ……、という気もします。

作中には「放蕩三昧ほうとうざんまいに対する細君の嫉妬しっとを封ずる手段」となっているのですが、たしかにそのためにこのような一計を案じる、というのは「姑息な!」とか思う一方で、結構有効な手のようにも思えるのですが、どうでしょう?

(友達に頼んで、自分の彼女を口説いてもらい、その愛を確かめようとした男の話、みたいな物語ありませんでしたっけ? ……どうしても思い出せない)

人が浮気に走る理由は二つあると聞きます。

「カリギュラ効果」と「吊り橋効果」です。

カリギュラ効果は、禁止されるほどやってみたくなっちゃう、というもの。吊り橋効果は、危ないことをするとドキドキしちゃって、そのドキドキを恋愛感情に結びつけて勘違いしてしまう、というものですね。

こちらは作中では、夜毎の逢瀬は「一つのお伽噺とぎばなし」と、美人妻の心情が推察されていましたが、なんとなくわからないこともないように思いました(おいおい?)。

Tが自身の罠に自らかかり、妻がこの世に二人とない女に思えたのも、わかりやすい心理ではないでしょうか? 「隣の芝生は青い」とはいいますが、異性についても同じことがいえるのでは? ひとの彼氏彼女が良く見えた経験、ありませんか?

(このことを声高に謳っているのがこちら?)

「一人二役」は、ミステリーでは定番のトリックのようで、創作の題材としても興味深く感じました(定番だけに斬新さの演出は難しそうですが)。

おすすめです!

読書感想まとめ

一人二役-江戸川乱歩-読書感想まとめ-イメージ

おもしろかった! 女は魔物!
浮気はダメ、……なんだよね?

狐人的読書メモ

魔女の宅急便 [DVD][まとめ買い] 名探偵コナン(少年サンデーコミックス)(1-50)『一人二役 江戸川』で検索したら、江戸川コナン(『名探偵コナン』)とキキ(『魔女の宅急便』)の声優さんが一緒だという情報が出てきた(高山みなみ さん)。知らなかったのでちょっと驚いた。……でもたしかに、アニメの声優さんは一人二役の代表例といえるかもしれない。

・『一人二役/江戸川乱歩』の概要

1925年(大正14年)9月『新小説』にて初出。個人的にはお気に入り。おすすめできる短編小説。

・奇妙な味

今回いろいろ調べていて知った言葉。ミステリー小説の一ジャンルで、江戸川乱歩 さんが作った造語。ミステリーともSFとも怪奇小説ともつかない特異な作風。論理的謎解きには力を入れず、ストーリーやキャラクターの異様さを際立たせて、読後に不気味な余韻を残す工夫がされた作品。『一人二役』も「奇妙な味」といっていいのかも。

・ひきこもりについて

ニートからのつながりで、ひきこもりにも定義があるのを初めて知った。6か月以上家庭に留まり続け、かつ社会的参加をしない者。しかしこれは一定義といった感じ(精神疾患などの別観点からの定義あり)。通信学校は社会参加にふくまれるのかなあ……、引き続き、「ひきこもりがち」って言ってていいよね?

以上、『一人二役/江戸川乱歩』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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