けむりを吐かぬ煙突/夢野久作=猟奇的・倒錯的なマンガやゲーム、好き?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

けむりを吐かぬ煙突-夢野久作-イメージ

今回は『けむりを吐かぬ煙突/夢野久作』です。

文字数14500字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約41分。

新聞記者の私には裏の顔がある。有名人のスキャンダルをネタに本人をゆする。南堂伯爵未亡人は、美少年を秘密の享楽場へ誘い……二人の悪が対峙する時、その結末やいかに!?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

新聞記者をしている私には裏の顔がある。上流階級の人々のスキャンダルをすっぱ抜き、それをネタに相手をゆすって多額の金銭を得ている。そんな私が次のターゲットとして目をつけたのが、南堂伯爵未亡人だった。

南堂伯爵未亡人は、年齢に逆行するような美しさを持ち、弁舌と文章に優れ、社会福祉事業に力を入れて、いま世間で評判の人物だ。

未亡人は邸宅を壊して貸家を建て、自分は敷地内の図書館にひっそりと暮らしていたが、私はこの図書館に増設された煙突に違和感を覚える。

この煙突が煙を吐き出すことはなく、いったい何の目的で取りつけられたものなのか……私の記者としての勘が何かを知らせている。

私はついに未亡人のスキャンダルを掴む。彼女は複数の少年を住まいの図書館に引き入れ、秘密の享楽に耽っていた。

私がそのネタを持って秘密の享楽場へ赴くと、未亡人は意外とすんなり金を支払う。そして、私が予期していなかった、衝撃の告白を始める。

未亡人は町で見かけた美少年たちを図書館に引き入れ、残忍酷烈な刑を楽しんだ後、地下室の古井戸に遺棄していた。あの煙を吐かぬ煙突は、地下室の通気口として設計されたものだった。

さらに未亡人は、私が周辺を探っていることを知っており、わざと泳がせ、ここにやってくるのを待っていた。

その目的は、私に自分を葬らせることだった。

私は短剣を逆手に、ベッドの上の未亡人へ、よろめきかかっていった。

狐人的読書感想

主要登場人物の二人が両方とも悪、というのは、斬新な感じがしておもしろかったです。

主人公の「私」は新聞記者で、有名人のスキャンダルをすっぱ抜き、ゆすりをしている裏の顔を持っています。

いまでも文春砲などが何かと世間を騒がせたりしますよね。

それは報道された有名人の人生を変えてしまうこともあり、ときに批判的に捉えられたりもしますが、やっぱりみんなスキャンダルが好き、というのは昔から変わらないんだなあ、なんて実感させられてしまいます。

しかし、実際記者さんたちって、この小説の「私」のように、スキャンダル情報を本人に買い取ってもらって、お金を稼ごうとか思わないんですかね?

ゆすりというと犯罪になってしまいますが、情報の売買と考えればギリギリいけるのかなって気がして、あるいは直撃された本人もそのほうがありがたい場合があるのではないでしょうか。

スキャンダルは雑誌にして売ったほうが、会社全体としては儲かるのでしょうが、記者さん個人としては本人に売ったほうが儲かるんじゃないかなあ――とか、夢野久作さんが新聞記者だった経歴を持つだけに、このあたり妙にリアリティを感じてしまうんですよね。

(とはいえ、昔の話かもしれませんが……、ひょっとして……)

もう一人の南堂伯爵未亡人は、富や名声を持っているために、おそらくは退屈を持て余し、猟奇的・倒錯的な趣味に走ってしまう――という、夢野久作さんの小説にはたびたび出てくる、典型的な「持てる者の悩み」を抱えた人物のように思えます。

持てる者の悩みって、持たざる者からするとなかなか共感しにくいです。お金持ちの悩み、美人の悩み……みたいな?

とくに、猟奇的・倒錯的な、人を傷つけたりあやめてしまうものは、いっそう理解がむずかしいです。たまにそういう凶悪犯罪が、ニュースで報道されたりしますけど、まったく理解できない……みたいな?

とはいえ、猟奇的・倒錯的なマンガやゲームが流行ったりもするので、やはり人間は潜在的にはそういうものが好きなのかなって、気になります。

人が好きな、スキャンダル、猟奇的・倒錯的な要素――創作にはそういうものをどんどん取り入れていったほうが、人気を得られやすいのかとも感じるのですが、言うほど簡単じゃないのかなあ、と思った、今回の読書感想でした。

読書感想まとめ

スキャンダル、猟奇的・倒錯的なマンガやゲーム、好き?

狐人的読書メモ

・本作で紹介される歴史画の巨匠、梅沢狂斎のモデルは河鍋暁斎であるらしい。

・本作には「ミステリー・ハンター」という単語が出てくるのだけれども、著者が考えた造語なのか、昔からあった言葉なのか、ちょっと気になった。

・『けむりを吐かぬ煙突/夢野久作』の概要

1933年(昭和8年)『新青年』にて初出。『百年文庫032 黒』(ポプラ社)にも収録されている作品。対峙する二人の主要登場人物が両方とも悪という構図がとても面白く感じた。

以上、『けむりを吐かぬ煙突/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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