山男の四月/宮沢賢治=とりあえずご飯食べて今日も生きよう。

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

山男の四月-宮沢賢治-イメージ

今回は『山男の四月/宮沢賢治』です。

文字数6000字ほどの童話。
狐人的読書時間は約15分。

詐欺にあいたくない、だから詐欺はしない。食べられたくない、だから食べない? 他の生き物を食べるなら、他の生き物に食べられる覚悟を持つべきか。だけどやっぱり食べられたくない……

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

山男は山鳥を獲ってご機嫌で森を出て、木こりに化けて町に入る。魚屋の前で美味しそうなタコを見ていると、志那人に声をかけられ、六神丸という薬を買わないか、と勧められる。

いつのまにか、二人は野原の真ん中にいる。

志那人が試飲できるというので、山男が六神丸を飲むと、一箱の小さな六神丸に姿を変えられてしまう。すっかりだまされ、志那人の荷物の中に入れられてしまった山男は憤慨し、町に入ったら騒ぎ立ててやると志那人に怒鳴る。

志那人は急にしょげ返ってしまい「それでは商売にならない、ご飯を食べられない、往生するしかない」と哀れな声で訴える。山男はそれを聞いて、志那人をかわいそうに思い、六神丸になった自分を売って志那人がご飯を食べられるなら、そうされてやろうと決めて志那人を慰める。

しかし、志那人の荷物の中には、山男と同じように六神丸に変えられた人たちがいた。山男は彼らの一人から、すぐ横の黒い丸薬を飲めば元の姿に戻れると聞いて、試してみる。

元に戻った山男は逃げ出そうとする。が、同じく丸薬を飲んで巨大化した志那人が追いかけてきて――山男は巨大化した志那人に、とうとう背中をつかまれてしまい……

「助けてくれ、わあ」と目を覚ます山男。すべては夢の出来事だった。山男はそのまましばらく夢のことを考えていたが、「夢の中のこと、どうにでもなれ」と、あくびを一つするのだった。

狐人的読書感想

他作にも見られるように、この作品も食べること、食べられること、すなわち「食物連鎖」について描かれているのではなかろうか、と感じます。

物語の始めで山鳥を獲り、町の魚屋でおいしそうにタコを見る山男は、絶対的な捕食者です。普段自分が食べられるかもしれないとは考えていません。

しかし、志那人にだまされ六神丸という薬にされてしまいます。

薬は食べ物とはいえないかもしれませんが、これを売ることで志那人は食べ物を買うお金を得られるわけなので、間接的に食べ物の象徴として捉えてみてもよさそうです。

だまされた山男は志那人を非難しますが、食物連鎖の関係では、だますことも食べるためには仕方がない、と考えられそうです。実際の自然界でも、罠を仕掛けて獲物を狙う生き物がたくさんいるわけで、この辺りは「弱肉強食」を思わされます。

ここでちょっと興味深く考えたのは「人間同士でも、食べるためなら、人をだましてもいいのだろうか?」ということなんですよね。

詐欺はもちろん悪いことですが、しかし突き詰めてみれば、それも生活のため、生きるため、食べるためだといえないこともないわけで、だったら詐欺も生き方の一つとして認められてしかるべきなのだろうか、みたいな。

当然、認められてしかるべきはずはないのですが。

でも、なんで詐欺を認めてはいけないのか、と考えてみると、それは自分が詐欺をしないから、ということが一つの見解としていえそうです。

詐欺をする人は少なくても、ほとんどの人は他の生命を食べます。

では、いつか自分が食べられても仕方ないのだと、意識していなければならないのでしょうが、実際にそんなことが起こるのは稀なことで、肉を見ても魚をみても「いま肉や魚を食べる代わりに、いつか自分も食べられてあげよう」とはなかなかなりませんよね。

おそらく山男もそうだったはずで、しかし志那人に薬に変えられたことで、そのことを考えたように思います。

山男が志那人に同情するシーンは、単に山男の素朴さ、気のよさを表しているばかりではなくて、そんな心の働きがあったのではないでしょうか。

結局この物語は夢オチで終わり、一度は食べられることを決意した山男も、一つあくびをして、そのことは忘れて生きることを選んでいるように、僕には思えてしまいます。

他の命を食べることをあまり深刻に考えてしまえば生きていくことができなくなってしまい、しかし食べさせてもらっている命に感謝する気持ちまで忘れてしまうのもなんだかなあって気がします。

とりあえずご飯食べて今日も生きよう。

それでいいのかわかりませんが、そうするしかないと思った、今回の読書感想でした。

読書感想まとめ

とりあえずご飯食べて今日も生きよう。

狐人的読書メモ

・六神丸は動物性の生薬を中心に配合された民間薬処方の一つ。現在でも売られている。

・ところでタコって、食べる国と食べない国が分かれるって、いうよね。

・『山男の四月/宮沢賢治』の概要

1924年(大正13年)『イーハトヴ童話 注文の多い料理店』(盛岡市杜陵出版部・東京光原社)にて初出。この童話集は当初『山男の四月』が表題とされる予定であったらしい。それだけ著者にとっても特別な作品だったのかもしれない。食べることについて描かれた童話。

以上、『山男の四月/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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