白椿/夢野久作=簡単なはずなのに理想の自分になれないのはなんで?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

白椿-夢野久作-イメージ

今回は『白椿/夢野久作』です。

文字数3000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約9分。

ある日、自分と白椿の花が入れ替わる。白椿となった自分は、優等生になった自分を見つめ続ける。私はこのまま散ってしまって、あの子がいたほうがみんな幸せなんだ……。なんだか切ない物語です。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

ちえ子は勉強嫌いで両親に叱られてばかり。ある日、庭の白椿を見て、「花は咲いているだけで人から可愛がられる。ああ、花になりたい」と思いながらその香りを嗅ぐと、強い香気にくしゃみが出る。

目を開けると、なんとちえ子は白椿の花になっていて、目の前にはさっきまで自分だった女の子がいる。女の子はお母さんに頼んで白椿のちえ子を一輪挿しにしてもらい、机の上に飾る。

それから白椿のちえ子は、女の子の生活を見守ることになる。女の子はちえ子とは正反対で、宿題、家の手伝いなどをよくして、学校でも優等生、先生も感心し、友達もたくさん集まってくる。

お母さんは感激して涙を流す。お母さんに褒められたことのないちえ子は羨ましくて悔しくて、水晶のような露をこぼす。

やがて白椿のちえ子は、「わたしのような悪い子はこのまま散ってしまって、あの女の子がわたしの代わりになっているほうが、みんな幸せに違いない。神様、あの女の子が私の代わりにいつまでも変わらず幸せでありますように」と心から祈って涙を流す。だんだん気が遠くなる。

「そんなに勉強ばかりでは体によくないですよ」、お母さんの声がして目を開けると、ちえ子は元のちえ子に戻っている。机の上の白椿の花はしおれ返ったままうつ伏せに落ちていた。

狐人的読書感想

「花のようにキレイになりたい」というのはよく聞きますが、「花そのものになりたい」というのはあまり聞かないような気がしました。

それほど勉強が嫌だということなんですかねえ、その気持ち、とてもよくわかります(笑……えない?)

こういうのも「隣の芝生は青く見える」ということになるのでしょうか? 人は何か悩みを抱えていて、浅い想像力しか働かせることができないと、こういった心理状態に陥りやすいといいます。

ともあれ、ちえ子さんはなかなかおもしろい発想力の持ち主です。

そんなちえ子さんが本当に白椿の花と入れ代わってしまい、自分とは正反対の優等生になった自分を見つめることになるわけですが、これはかなりきついですよね。

いまの自分よりも、優等生の自分のほうが両親、先生、友達……みんなに求められている現実を見せつけられるのは、やっぱり自分の存在意義が揺らいでしまうように思います。

ちえ子さんが、自分の代わりに優等生の自分がいたほうが、みんな幸せに違いないと悟り、その幸せを祈る姿はなんだか切なくさせられます。

とか、思っていたら、最後元のちえ子さんに戻ってたって、これはちょっと残酷なオチのように感じてしまいましたね。

ポイントは夢オチじゃなくて、お母さんの発言から入れ代わりは全部現実だった、とわかるところです。

優等生になった自分がまた劣等生の自分に戻ってしまったわけですから、周囲の失望を思えばこれからさき、生きていくのが怖くなってしまいますよね。

あるいはこの経験を活かして、優等生のちえ子さんになれるようがんばるんだ! ――という前向きな教訓話なのかもしれませんが、どうなんでしょうね?

勉強ができて、運動ができて、友達に慕われて、先生にも一目置かれて、両親が自慢できる自分でありたいと想像することがありますが、なぜかそれができなかったりします。

優等生になるのは簡単なはずなんですよね。

とにかく勉強して、練習して、そうすれば一つの学校の中くらいでは優等生になれるはずなのに、ゴロゴロしたいし、マンガが読みたいし、テレビが見たいし、ゲームがしたいし……なかなか理想の自分になろうとすることができません。

ちえ子さんみたいな経験をすれば、あるいは優等生になる努力ができるだろうか、などと想像してみるのですが、結局なんだかんだと理屈をこねて、何もしない自分が容易に思い浮かんでしまいます。

ああ、花になりたいような、なりたくないような――そんな感じの今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

簡単なことなのにどうして理想の自分になれないんだろう?

狐人的読書メモ

・何もしないで可愛がられているように見えても、その影には知られざる苦労や努力があり、それを知らなければならないという教訓話なのだろう。

・とはいえ、残酷すぎるオチ……せめて夢オチだったら救われたのだろうけれど……

・がんばれ! ちえ子さん!(お前ががんばれ?)

・『白椿/夢野久作』の概要

1922年(大正11年)『九州日報』にて初出。九州日報シリーズ。初出時署名は「海若藍平かいじゃくらんぺい」。ファンタジックで不思議な話だが、怪奇や猟奇とはまた違った怖さがある。いろいろ考えさせられる。

以上、『白椿/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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