三つの言葉/グリム童話=サヴァン症候群、天才を見抜けるひとも天才!

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

三つの言葉-グリム童話-イメージ

今回は『三つの言葉/グリム童話』です。

文字数2000字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約6分。

一年勉強して「犬がほえるとき何というか覚えました」って、バカかこいつ……って思う? ところが、それはとてつもない才能かもしれず……つまりは天才を見抜けるひともすごいなって話。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

昔、スイスに年老いた伯爵が住んでいた。その一人息子はまぬけで何一つ覚えられなかった。伯爵は息子を高名な先生に預けることにした。

一年後、伯爵が「何を覚えたか?」と尋ねると、息子は「犬がほえるとき何というか覚えました」と答えた。あきれた伯爵は息子をまた別の先生のところへ送り出した。

さらに一年後、伯爵が「何を覚えたか?」と尋ねると、息子は「小鳥が鳴くとき何というか覚えました」と答えた。怒った伯爵は最後のチャンスだと、息子を別の先生に預けた。

最後の一年が過ぎて、伯爵が「何を覚えたか?」と尋ねると、息子は「蛙が鳴くとき何というか覚えました」と答えた。怒り狂った伯爵は「息子を森の中で葬れ」と家来に命じた。

家来は同情して息子を逃がしてやった。

若者はある城に辿り着き、城主に一夜の宿を頼んだ。城主は「恐ろしくほえて人々を困らせる、人食い野犬が出る下の古い塔でもいいなら」と若者に言った。若者は犬に与えるエサをもらって塔へと向かった。

翌朝、若者が無事に出てきたのを見て、人々は驚いた。若者が野犬たちに犬の言葉で聞いたところによれば、塔の地下には財宝が隠されており、野犬たちは魔法をかけられ、それを守らされている、その財宝を掘り出すまでこの魔法は解けない。

若者は財宝の掘り出し方を野犬たちから聞いていたので、塔の地下から財宝を持ち出し、野犬たちの魔法は解けて、人々は恐ろしいほえ声に悩まされることがなくなったのでとても喜んだ。

城主の養子となった若者はやがてローマに旅立った。途中の沼地で蛙が鳴いているのを聞いて、物思いに沈んだ。

若者がローマに着くと、ちょうど法王が亡くなったところだった。法王の後継ぎを誰にすべきか……人々は悩んだ結果、神の奇跡のしるしがはっきりと表れた人を、つぎの法王にしようと決めた。

そのとき若者が教会の中へ入っていくと、二羽の真っ白な鳩が飛んできて、彼の両肩にとまった。人々はそれを神の奇跡のしるしだと信じたが、若者にはわからなかった。

しかし二羽の鳩は「法王になりなさい」と若者に言った。若者は聖別を受けて法王となった。蛙はこのことを予言していた。法王となった若者はミサを知らなかった。が、またしても二羽の鳩が彼の両肩にとまり、耳の中にそっとさえずってくれるのであった。

狐人的読書感想

サヴァン症候群ってありますよね。

知的障害や発達障害のある人の中で、ある特定の分野においてのみ、驚異的な才能を発揮する人の症状を指す言葉です。

本作の主人公は、まぬけで何一つ覚えられない愚鈍な人物とされていますが、しかしじつは犬と小鳥と蛙の「三つの言葉」を理解することができる、いわば特殊能力を持っていて、このサヴァン症候群を思わされます。

とはいえ、現実のサヴァン症候群の人は、必ずしも特殊能力を持っているわけではないそうで、能力のバランスが極端に悪いため、特殊に見えてしまうことが多いのだそうです。

若者の父親である伯爵は、息子が「犬がほえるとき何というか覚えました」などというのを聞いて、一年も学んで犬の「わんわん」という鳴き声しか覚えられなかったのかと思い込んでしまい、あきれたり激怒したりするわけですが、現実でも子供の隠された才能を発見するのはとても難しく感じます。

(とはいえ、何も命まで奪おうとしなくてもよかったと思うのですが……本人にとって、知的障害を抱えたまま生きるのが幸せなのか、それとも伯爵の選択のほうが幸せなのか……正直、断言しがたいところはありますが……少なくとも本人が選ぶ権利はあるはずですよね……)

さらに特殊な才能があったとしても、それが社会や人のためになるもので、広く認められなければ結局埋もれてしまうわけで、世に天才と呼ばれる人が、まさに奇跡のような存在なのだと再認識したりもします。

このグリム童話を読んでいて、ふと思い浮かんだのが、宮沢賢治さんの『虔十公園林』(『ああ全くたれがかしこくたれが賢くないかはわかりません』)や『風野又三郎』(『最も愚鈍なるもの最も賢きものなり』)なんですよね。

一見まぬけにしか見えなくても、じつは他者よりも鋭い感性を持っていて、それは本当はすごい才能なのかもしれず、ちょっとしたきっかけで発明や学問や芸術や音楽などとして認められることがあるかと思えば、どんなに愚かしい行いに見えたとしても、安易に人をバカにしたりしてはいけないんだなあ……なんて、思うことがあります。

才能のある天才は本当にすごいと思いますが、その才能を見抜く人もまたすごいなと実感します。

才能のない僕は、せめて才能を見抜ける人になりたいと願いますが、はたしてそれもとてもむずかしく感じてしまう、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

サヴァン症候群、天才を見抜けるひとも天才!

狐人的読書メモ

・また、このグリム童話は運命論的な物語でもあるかもしれない。

・『三つの言葉/グリム童話』の概要

KHM 33。サヴァン症候群を思わされた作品。伯爵に息子を葬るよう命じられた家来が、同情して彼を助け、代わりに鹿の目と舌を証拠に持ち帰った件は『白雪姫』を彷彿とさせるところがある。運命論的物語でもある。

以上、『三つの言葉/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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