egg〈1-1-5〉(第1部・第1巻・エピローグ)

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第1部 第1巻
エピローグ
もうすぐ高等部三年 四月某日
――まだ春休み、ぼくと二葉と――

「二葉」

「なんでしょう兄さん」

「ぼくは会話文を書くのが下手なのか」

「あと、地の文を書くのも下手ですね」

「……なるほど」

「つまりすべて下手ということです」

「言わなければ気づかれなかったかもしれない事実!」

「いえ、百人読めば百人が気づきますよ」

「……一〇〇パーセント下手ってことね」

「読んでないもう百人も気づきますよ」

「二〇〇パーセント下手ってことね!」

「いえ、普通の物差しでは計れないということです」

「がっくり」

「普通の物差しでは計れない才能ということです」

「うきうき」

「まあ、つぎからがんばればいいじゃないですか」

「いや、いまからがんばる」

「べつに止めはしませんが」

「しかしエピローグには何を書けばよいのか?」

「さっそく人任せですか」

「猫の手だって借りたい」

「それはプロローグのときも聞きました。……そうですね、では未回収の伏線をここで回収してみるというのはいかがでしょうか。文章が稚拙すぎて、わかりにくいところが多数ありますからね」

「がっくし……、まあ、それでいこう。いまこそ『忘れそうな伏線メモ』の真価が発揮されるとき!」 続きを読む egg〈1-1-5〉(第1部・第1巻・エピローグ)

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egg〈1-1-4〉(第1部・第1巻・第4章)

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第1部 第1巻
第4章

初等部六年 一月三日
――冬休み、ハッピー・バースデイ、バッド・エンド――

「何処へ行くんだぁ?」

一月三日の早朝、魔法使いの黒い三角帽子をかぶり、風で飛ばされないようにしっかりとピン留めして身支度を仕上げたぼくが、玄関を出ようとしたところで、とある戦闘民族が生き残りのひとり、琥珀さんから声がかかった。

「お、お前と一緒にぃ……避難する準備だぁ」

「一人用のポッドでかぁ? ぬぉぉぉぉぉぉおおおおおおあぁぁぁぁぁぁぁ」

「うおおぉぉ、おぉっっ」

(琥珀さんに潰されるぼく) 続きを読む egg〈1-1-4〉(第1部・第1巻・第4章)

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egg〈1-1-3〉(第1部・第1巻・第3章)

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第1部 第1巻
第3章

初等部六年 一月二日
――冬休み、同級生、サニーサイドアップ――

「どっ、どどど、どうしたの? その頭」

高橋さんの第一声だった。

今日、一月二日の午後は、出会い頭に正気を疑われたり、ばかにされたりせずにすんだ。

少なくとも、表面的には。

亜子がぼくのメインヒロインとして大成するために、ぼくらはありとあらゆるツールを駆使して、日々探求に探求を重ねてきたわけだが、険しい旅路の途中ふと立ち止まって、冷静になって辺りを見渡したとき、めぐりめぐって結局のところ、出発点に答えがあったのではないかとか、思わされるときはないだろうか。

二次元もいいけど、やっぱり三次元もいいよな、みたいな。

三次元もよかったけど、やっぱり二次元だよな、みたいな。

ぼくにとっては、このときこそが、まさにそのときだった。

普通の反応ってすばらしい。

だがこの成果は、普通の人間として毎日を生きようと努めているぼくが誘発した反応ではなくて、高橋さんの普通の人格がもたらした賜物だった。

「てっ、ててて、っていうか! どうしたの? その恰好」 続きを読む egg〈1-1-3〉(第1部・第1巻・第3章)

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egg〈1-1-2〉(第1部・第1巻・第2章)

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第1部 第1巻
第2章

初等部六年 一月一日
――冬休み、幼なじみ、初詣デート――

「一葉、頭がおかしくなったのか!」

明けて元旦、憔悴した顔の父さんが、ぼくを見て放った一言目がこれだった。

日課としている早朝トレーニングから帰ってきたぼくは、病院から帰ってきた父さんと、家の前で遭遇した。

「父さん、ぼくは正気だ」

開口一番、息子の正気を疑おうとは。

父親としての資質を疑いたくなったが、今日に限っては、父さんがどんな失態を演じたとしても、無理からぬことだと思えた。

だけどたぶん、出会い頭の一言は、妹を、一目も見ることなく亡くした息子に対しての、気遣いからくる空元気だったのだろう。

それに父さんの言いたいことはよくわかった。 続きを読む egg〈1-1-2〉(第1部・第1巻・第2章)

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egg〈1-1-1〉(第1部・第1巻・第1章)

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第1部 第1巻
第1章

初等部六年 十二月三十一日
――冬休み、バッド・バースデイ、ハッピー・ニューイヤー――

「断あああああつ」

美人女子大生がそう叫んでいた。

「それって、どちらかといえばわたしのほうにこそふさわしい決め台詞なんじゃ……」

こちらも、美人女子大生がそう訴えていた。

『美人女子大生モデル同士の対決!』と、そんなふうに、<デュエル>開始時間前から、進行役の芸能人が煽り立てていた。ふたりは、同じ大学の友人同士で、だから「友情対決」でもあるらしい。

初等部最後の十二月三十一日の夜、ぼくはひとり、生放送されている年末特番<スクランブルエッグ>本大会を、家で見ていた。

画面の向こう側では、龍虎相搏っていた。

言葉どおりの意味でも。

文字どおりの意味でも。

青龍と白虎、二体の<エッグクリーチャー>が<デュエル>をしているのだ。

青龍の<大瀑布>を白虎がかわし、白虎の<アイスエッジ>を青龍の鱗鎧がはじく。

「インテリぶってんじゃねーぞ生意気なクソ虎が!」

「どうやらその目つき同様頭も悪いようだな、愚龍」

罵り合う両者。

激しい攻防の合間には、<クリーチャー>同士の、より激しい舌戦が繰り広げられている。

<デュエルフィールド>内、闘技場を囲む観戦席で<デュエル>を観戦する観客たちが沸き立つ。

「「<アタックアップ>!」」

それぞれの<クリーチャー>の、パートナーたる<エッガー>が、ほぼ同時に<サポートスキル>を発動した。 続きを読む egg〈1-1-1〉(第1部・第1巻・第1章)

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egg〈1-1-0〉(第1部・第1巻・プロローグ)

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第1部 第1巻
プロローグ

高等部二年 三月某日
――春休み、ぼくと二葉と――

初等部に上がる前から、ぼくが付与し、亜子がこつこつためてきたヒロインポイントも、あと一年ほどで約束の一〇〇万ポイントに達しそうだ。

そんなこともあって、高等部三年生になろうとしている、いまを機に、あの頃の出来事を文章にしてまとめてみようと思い立った。

十八歳になるまでおよそ一年、その間にどれだけ書けるのかはわからないけれど。

しかしながら、思い立ってはみたものの、ぼくはまとまった文章というものを、これまでほとんど書いたことがなかった。

夏休みの読書感想文に、課題レポート、せいぜい二〇〇〇文字といったところか。

何をどうやって書けばいいのか。

いったいどこから書き出せばよいのか。

「どうしよう二葉」 続きを読む egg〈1-1-0〉(第1部・第1巻・プロローグ)

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