かえるの王さま/グリム童話=人は見た目が100パーセント?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

かえるの王さま-グリム童話-イメージ

今回は『かえるの王さま/グリム童話』です。

グリム童話の『かえるの王さま』は文字数5000字ほどの童話。
狐人的読書時間は約10分。

姫は蛙が気持ち悪い。蛙は姫に嫌がらせをする。
キレた姫は蛙を壁に叩きつける。
蛙は美しい王子に戻る。王子と姫は結婚する。

意味不明!
乙女のキッスは? 鉄のハインリヒって誰?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

昔々あるところに、太陽も照らしてみて驚くほどの美しい姫がいた。姫は城の近くにある深い森によく出掛けて行った。菩提樹の下に湧く泉の傍に腰掛けて、金のまりを高く投げては受けとめて遊んだ。

ある日、姫は金のまりを泉の中に落としてしまう。姫が悲しくなって泣いていると、一匹の蛙が泉の中から現れる。そして、金のまりを見つける代わりに自分を姫の友達にしてほしいと願う。姫は、所詮蛙の言うことだ、と侮って、二つ返事で約束してしまう。蛙から金のまりを受け取った姫は、お礼も言わずに飛んで帰る。

翌日、王様と姫が食事をしていると、蛙がやってきて約束を守るように訴える。姫から事情を聞いた王様は、姫に約束を守るよう諭す。姫は嫌々ながら蛙の要求に従い、蛙をテーブルに上げてやって、自分の皿から食事をさせる。腹が満たされた蛙は、姫のベッドで寝かせてほしいと願う。とうとう我慢できなくなった姫が泣く。が、さらに王様に諭されて、姫は泣く泣く蛙を寝室へと連れていく。

早くベッドに上げなければ王様に言いつけるからと、横柄な態度を取る蛙に、ついに姫は激怒した。蛙を掴み上げると、渾身の力で壁に叩きつけた。捨て台詞を吐く姫、しかし床に転げた蛙は優しい目をした美しい王子に変わっていた。

王子は悪い魔女によって魔法で蛙に変えられていた。元の人間に戻してくれるのは姫をおいて他になかったという。王様の意向で姫と王子の結婚が決まった。

次の日、八頭立ての白馬の馬車が二人を迎えにやって来た。若い王の臣下であるハインリヒは、主君が蛙に変えられたために胸が張り裂けそうだというので、三本の鉄のたがを胸に巻きつけていた。若い王と姫を乗せた馬車が、郷国へと向かう道中、ハインリヒの胸のたがが、ぱちりぱちりと弾ける音が響いた。

狐人的読書感想

かえるの王さま-グリム童話-狐人的読書感想-イメージ

???

なんだかよくわからない、というか、凄い童話だなあ、と思ってしまったのは僕だけ? (もちろん絶賛を表すための「凄い」ではありませんが)

(▼本当に「凄い」小説はこちら)

まずはお姫様と王子様にまったく魅力が感じられません。

(蛙のくせに、人間の仲間入りしようなんて、本当に図々しい、お馬鹿さんだわ)

――蛙と約束を交わすときの姫の心の声

「ああくたびれた、くたびれた。早くゆっくり眠りたい。さあ、そこへ上げてください。でないと、お父様に言いつけるから」

――姫の寝室で横柄な態度を取る蛙

「さあ、これでたんと楽に眠るがいい。ほんとに嫌な蛙ったらないよ」

――蛙を壁に叩きつけたときの姫の捨て台詞

お姫様なんか性格悪いし、王子様ちょっと厚かましいし、……ひょっとして史上最悪のプリンセスとプリンスなのでは、……メルヘンな人間の理想像的やさしさや敬いの心はどこへやった!? ――と思わずツッコまずにはいられないところですが。――人に勝手な理想を押し付けるがごとき僕の態度を反省すべきなのかもしれませんが(でも童話のお姫様や王子様には心優しい存在であってほしい……)。

――しかしながら、これを童話ではなくて、現実の人間の在り様を描いている物語なのだと思えば、納得できないものでもないのかもしれませんねえ。蛙好きの方もいらっしゃるでしょうが、『かえるの王さま』の中の蛙は、いちいちいやらしく、たしかに人の生理的嫌悪感をそそるように描かれています。

ぶよぶよ膨れて、いやらしい頭を水の中から突き出したり。ぴっちゃりぴっちゃり、大理石の階段を上がってきたり。ぴちゃぴちゃ音を立てて食事をしたり(くちゃくちゃ音を立てて食事する人、いませんか?)。

――お姫様でなくても、思わず眉を顰めたくなってしまいます。ただ、こういうのも偏見になってしまうのでしょうか? ――とか考えてしまうのですが。

姿形はその人の人格(蛙だけど)とは切り離して考えるべきで、これはまたしても、ちょっと反省すべきところなのかもしれません。

食事の音については「最低限のマナーがある」という主張ができるかもしれませんが、蛙については身体的構造上、人のマナーを求めるのは難しいところもありますしねえ……。

たとえ人間でも、それがその人にとっての文化だといわれてしまえば、ちょっと反論に窮するところもあります。ラーメンをすする音に対する外国の方の反応(いわゆるヌーハラ―ヌードルハラスメント―)について、みたいな。

何事においても愉快・不愉快の境界線は、国あるいは個人によって違いがあって、片方を一方的には責められないことのように思うのですが、どうでしょう?

――とかなんとか、だいぶ話が逸れてしまいましたが。

話を戻しまして、お姫様が蛙に抱く嫌悪感についてですが。もしこれを、思春期の少女が男性に抱く嫌悪感とすると、女性であればすとんと腑に落ちる解釈かもしれません。思春期の少女には、同級生の男子や年長の男性を見て、なんとなく不潔だと思うことが、あるのではないでしょうか。こうした思春期少女の潔癖性みたいなものを、暗喩として含んでいるのかと思えば、わけのわからない童話に、ひとつ意味を見出すことができそうです。

――とはいえ、あれほど嫌っていた蛙がカッコいい王子様になった瞬間、ころっと態度を変えて、ゆっくりおやすみしちゃうあたり、これも少女ならでは、ということになるのでしょうか? 現実の女性を学ぶという点において、結構感慨深い物語なのかもしれませんねえ……。

――それにしても、お姫様が怒りのあまり蛙を壁に叩きつけて、それで王子様が人の姿を取り戻すシーンには衝撃を受けました。そんなお姫様と結婚しようと思う王子様の神経も理解に苦しむところなのですが……。

[まとめ買い] 人は見た目が100パーセント(BE・LOVEコミックス)やはり見た目の美しさ、というものは、パートナーを求める人間の価値観のなかで、何よりも優先される、という隠喩と見るべきなのでしょうか? 結局「人は見た目が100パーセントか!?」みたいな? メラビアンの法則によれば「人は見た目が9割」ともいいますしねえ……(ちなみにメラビアンの法則は、コミュニケーション時の限定されたシチュエーションにおいての実験結果なので、このお話には無関係なのですが、響きがよかったので……)。

かえるの王さま-グリム童話-狐人的読書感想-イメージ

僕にとって『かえるの王さま』といえば、これまでちゃんと読んだことはなかったのですが、ちょっと聞いたことのあるお話であって、それによれば「たしか蛙はお姫様のキスで人間に戻るのじゃなかったかなあ……」といった感じなのですが、グリム童話の初版から七版、および「エーレンベルク稿」においてもそのようなものは確認できないらしく、類話などから派生したアレンジのようです。

(そういえば『ファイナルファンタジー』に「トード」の魔法がありますが、その回復アイテムが「乙女のキッス」でしたね)

さらにハインリヒという登場人物の名も初耳でした。『かえるの王さま』には『鉄のハインリヒ』という別タイトルもあるらしく、じつはこの童話の主役といっても過言ではない人物なのかもしれません(さすがに過言か……)。

でもたしかに、悪い魔女の魔法によって、王子様を蛙に変えられてしまい、破裂しそうな胸を鉄のたがで抑えつけなければならなかったほど、悲嘆にくれたハインリヒの忠義心は、この童話で唯一美しい人間の善性だったといえるのかもしれません(……ちなみに「蛙に変える(かえるにかえる)」はシャレのつもりじゃありません、とか断ってしまう僕)。

他にも、物語の教訓についていろいろ考えてみたのですが。

約束を守ることの大切さ――は、最後お姫様がキレて守り切れていませんし。

親の決めた結婚相手とちゃんと結婚しよう? ――は封建的で現代にはそぐわないように思います(当時としてはそれでよかったのかもしれませんが)。

姫が蛙を壁に叩きつけたのは、父王の命令に対する反抗ととれなくもありませんし、男を知るというのはそれ自体女性としての成長と捉えられないこともなく、だったらこれは少女の成長の物語と見るべきなんでしょうかねえ……。

いつもながら、深読みせずに「めでたしめでたし」でいいじゃない、という気もしますが、ともあれ。いろいろ深読みしてみておもしろい作品だと思いました。

読書感想まとめ

史上最悪のプリンセス? ヌーハラ。少女の男性に対する潔癖性。人は見た目が100パーセント。乙女のキッスはどこへ? 鉄のハインリヒ初耳。

――すなわち少女が大人の階段を上る物語???

狐人的読書メモ

プリンセスと魔法のキス [DVD]ディズニー版『かえるの王さま』あります(はたして史上最悪のプリンセスは如何様にして描かれているのだろうか、……ちょっと興味を引かれてしまいました)。

・『かえるの王さま/グリム童話』の概要

KHM 1
『かえるの王子様』、『かえると金のまり』、『鉄のハインリヒ』の別タイトルあり。史上最悪のプリンセス(?)が大人の階段を上る物語? ところで、親としては我が子にこの童話を読ませたいだろうか、……なかなか考えどころかもしれない。

以上、『かえるの王さま/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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