真珠/坂口安吾=戦争のない平和な世界でありますように。

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

真珠-坂口安吾-イメージ

今回は『真珠/坂口安吾』です。

文字数10000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約34分。

真珠湾攻撃において特殊潜航艇に乗り込み、自爆特攻した九軍神。国や家族を守るため、自らの命を犠牲にできる精神は尊いけれど、そんな決意をしなければならない世界はよくないと思った。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

結局、昨日は飲み過ぎてしまい、看板屋のガランドウのところへ預けておいたどてらを取りに行ったのは、12月7日の夕方のことだった。

昨夜、泊めてもらった友人のところの奥さんが、小田原で魚を買ってきてほしいと言っていたのを思い出し、そのことをガランドウに訊いてみると、翌日、二の宮魚市塲に連れて行ってもらえることになる。

翌12月8日、ガランドウの用事が済むのを、僕は昼まで待った。数時間ほど読書をして、小田原の街の床屋で髭をあたってもらった。

そのとき、ラジオから大詔(宣戦の詔勅)の奉読が流れてきて、僕の頬に涙が流れた。必要ならば、僕の命も捧げねばならない。

ガランドウと行った魚屋では、店の親父が鮪の刺身と焼酎のサイダー割りを振る舞ってくれた。

僕が魚屋の店先で鮪の刺身を食べ、焼酎を飲んでいた12月8日の午後4時30分頃、あなた方は真珠湾内に特殊潜航艇で沈み、日没を待っていた。

あなた方の特効により、アリゾナ戦艦は大爆発した。

午後6時11分、爆破成功の無電があった。その時間、あなた方の何人かはまだ生きていた。しかし午後7時14分になると放送は途絶、あなた方は帰らなかった。帰るべきはずがなかった。

必ず命を落とすとわかっていて、それでもなお進める人は常人ではなく、偉大なる人と呼ばねばならない。

あなた方9人は命令を受けたわけではなく、自ら作戦を発案し、数カ月間猛特訓に勤しんでいた。戦場の兵士には「たぶん自分は生き残れるんじゃないか」といった無根拠な楽観視があるが、あなた方の意識に「生還」の二字はなかった。

あなた方は遠足に行くように艇に乗り込んでいった。そしてまったく、あなた方は遠足に行ってしまったのだ。

狐人的読書感想

作中で坂口安吾さん(「僕」)が「あなた方」と呼んでいるのは、「九軍神」といわれる方々なのだそうです。

軍神とか聞くと、ギリシア神話のアレスとか、ローマ神話のマルスとか、あるいはファンタジー系のRPGなんかによく登場する召喚獣みたいなキャラクターを、イメージしてしまいます。

しかしながら、ここでいう軍神とは、ファンタジーではなくてリアル、かつて現実の戦争で活躍し、壮烈に亡くなったことで神格化された人々のことを示しています。

「九軍神」は、1941年(昭和16年)12月8日の真珠湾攻撃において、特殊潜航艇に乗り込み、海底特攻を敢行して亡くなられた9人の軍人の方々を指していうそうです(5艇に2人ずつ乗って出撃し、うち1人は捕虜となったそうです)。

国や家族を守るため、自分の命を投げ捨てる覚悟のできる人というのは、本当に尊くてすごいと思うのですが、それが必ずしも正しいことなのだろうか、などと考えてしまうと、そうとは言えない気がしてしまいます。

もちろん、自己犠牲の精神というか、国や家族を守るのために命をも投げ出す行為や決意というものは、作中でも言及されているように並大抵のことではなくて、僕にはとてもできないように思えてきて、立派で正しいことのように感じられるのですが、そんな悲壮な決意をしなければならない時代・世界・世相というのは、正しくないことのように思われてなりませんでした。

1941年12月8日を描いた作品といえば、他に太宰治さんの『十二月八日』を読んだことが思い出されるのですが、戦争を扱った小説を読んでいていつも持つ感想は、「戦争は絶対によくないことだ」ということなんですよね。

単純で、当たり前のことを言っているだけになってしまうかもしれませんが、そう感じられることが、そう感じられる世の中であることが、一番大切なことのようにいつも思います。

現在、日本に戦争はありませんが、世界中にはたくさんの戦争や紛争があるはずで、それらはテレビのニュースにならなければ、普段なかなか意識することができません。

月並みになってしまうかもしれませんが、いつも戦争のない平和な世界であってほしいと、願えるようにありたいと思う、今回の読書感想でした。

読書感想まとめ

戦争のない平和な世界でありますように。

狐人的読書メモ

・『兵隊達は戦争よりも行軍の苦痛の方が骨身に徹してつらいと言ふ』――戦闘行為よりも行軍のほうがつらい、というのは、実際の体験談として非常にリアルなものだと感じた。

・ガランドウの雅号「酉水」は酉と水で合わせて「酒」となる。なんとなく印象に残った部分。

・『真珠/坂口安吾』の概要

1942年(昭和17年)『文藝』にて初出。1941年(昭和16年)12月8日の真珠湾攻撃、九軍神について書いた私小説。戦争小説として文学的な評価の高い作品。

以上、『真珠/坂口安吾』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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