しょーとぼっくす
狐人 七十四夏木のしょーとぼっくす。
10~15分ほどで読める短編小説。
1.【モノノフの仔】
読書時間:およそ10分。
あらすじ:――なんでもよほど古いことではある。少年と大王。激しい炎を背景に、二人のモノノフが相搏とうと、対峙していた。モノノフの子ならば必ずや父の仇を討たねばなりませぬ――二人の剣が交わるとき、少年は、母の教えの真意を知る。
2.【百分の待ち人】
読書時間:およそ15分。
あらすじ:僕は小説が好きだ。僕は小説が好きだ、という話だ。そして、いま夏目漱石の『夢十夜』を読んでいる、という話だ。待ち人とは、待っている人じゃなくて待っている相手のことだ。すなわち、『百分の待ち人』とは、僕のことであり僕の彼女のことだ。要するに、恋人を百分待たせてはいけない、という話だ。
読書時間:およそ5分。
あらすじ:江戸川乱歩の『指環』は、1925年『新青年』(大正14年7月号)にて、『白昼夢』とともに「小品二篇」というタイトルで一括発表されたが、『白昼夢』が好評だったのに対し、『指環』の評価は芳しくなかった。著者自身「愚作だった」と認めているけれど、僕は好きな小説なので、指環Re:ベンジ!
読書時間:およそ5分。
あらすじ:海の見える駅のベンチに一組の男女が腰掛けている。「あなたと結婚できて本当に良かった」と老婦人が言う。「……すまない」と青年は謝る。――戦時、兵隊の士気を高めるために、『軍人援護の美談』というものがあった。そこにはわたしの大好きだった祖母のことが書かれていた。
5.【非ウナ重】
読書時間:およそ5分。
あらすじ:私の夫がウナギになったの。
6.【SHIRO】
読書時間:およそ20分。
あらすじ:人間の世界は終わらせました。けど人間は滅びませんでした。再び繁栄しようとサイフォンの森を開拓します。サイフォンに食われれば口減らしができるので、開拓員は親に捨てられた子供たちです。仲間が食われているあいだに逃げろ!――そうして黒鉄の戦士となったシロは、アカという少女に出会います。
7.【犬の女王様】
読書時間:およそ20分。
あらすじ:この国には王遺言絶対順守の法がある。余が死んだら娘を次の王とせよ。妃のない王の娘とは犬のことだった。国の政治は大臣たちの不正で腐敗していた。犬は不倫も不正も贅沢もしない。政治など犬にやらせればよい。それは政治に絶望した王の皮肉なメッセージか? 犬の女王様に秘められし真実とは!?
読書時間:およそ10分。
あらすじ:君が僕に教えてくれた。僕は未熟な父親だけど、あすと一緒に暮らしていく中で、ちょっとずつ立派な父親になればいいのだと。僕と君とあすと、明日へ――
読書時間:およそ20分。
あらすじ:コミュ障の潔癖先生が赴任したのは小さな診療所。そこには美人で無表情な看護師の麗さんがいた。同じ職場で働く二人きりの同僚。なんとかしてコミュニケーションをとりたい。そこに妖精リンさんが現れて……
読書時間:およそ20分。
あらすじ:住子七十八歳。夫に先立たれ、事故で下半身不随になった息子も亡くなり、働き者の嫁との確執、孫育て……高齢者も働く時代? もう疲れました。
11.【私は彼女を愛撫する。】
読書時間:およそ10分。
あらすじ:フェチとかSとかMだとか、ちょっと読んだだけで、あたしのご主人様のこと、ヘンタイだ!って思うかも。だけど、誰にだって、ひとには言いにくいこと、あるんじゃない? 最後にはみんなにわかってもらえるって信じてる。
読書時間:およそ20分。
あなたへ:これを読んだあなたへ。『あなたの20にまつわる私』の正体、わかった? もしわかったのなら、わたしに教えて。わたしにはわたしの恋人が誰なのか、もうわからなくなってしまったから。
読書時間:およそ10分。
あらすじ:店員さんのくれるごはんはおいしい。お昼寝をして見る夢は楽しい。お客様に買ってもらえるよういっぱいいっぱいアピールする。だけど彼女がいう。どうして人間に飼われなきゃいけないの?
14.【ホムンクルス的豚の話】
読書時間:およそ20分。
あらすじ:「フォッグ!」と、それが世界を変える魔法の言葉でもあるかのように、豚さんは中指を立てて言いましたが、しかし世界は変わりません。そして屠畜人の小刀が豚さんの咽喉をグサッと刺したのでした。
15.【小人日記】
読書時間:およそ10分。あらすじ:20XX年。総理大臣に替わり、カミサマが治めるこの国でのこと。例えば、消費税率は50%。でも、文句を言う人は少ない。なぜなら、全国民に月々20万デジタル円が支給されるから。労働のAI化・機械化。最近流行りのVRゲーム。そんな現代の朝。私が目を覚ますと、そこには二人の小人がいて――
読書時間:およそ10分。あらすじ:気がつくとここは海の見える駅のようだ。うそつき。三年前、病気で亡くなった幼なじみの女の子が僕を罵る。この裏切者。浮気者。地獄におちろ。桜子との約束を破り、父の願いを無下にし、母がこしらえた握り飯を台無しにして、人を殺し、そして撫子さんを騙した僕は間違いなく地獄に落ちるだろう。