コンにちは。狐人 七十四夏木です。
Twitterに投稿している
【140字の小説クイズ!元ネタのタイトルな~んだ?】
のまとめ。
その12。
文学作品の印象的な部分をピックアップ。
これで元ネタがわかれば凄い、という趣。
Twitterで配信中。
回答は、
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元ネタの読書感想に飛びます!
221-A
仲人が、両親が、親戚が、知人・友人が、みんな「おめでとう」と言うけれど、結婚は全然めでたくなんかない。たとえば恋愛映画やドラマの結婚はめでたい。すでに彼らはあらゆる困難を乗り越えてからのハッピーエンド。しかし現実は、結婚してから困難が始まる。
221-B
結婚してしまえば、お互いのこと、お互いの両親のこと、子のこと、知人・親類のこと、家のこと、子の学校のこと、地域のこと、お互いの働く会社のこと、などを考えて行動せねばならず、それすなわち社会のための奉仕だ。結婚は愛ではない。結婚はシステムだ。
221-C
結婚すれば男は夫に、女は妻に、社会システムの一部として組み込まれてしまう。互いに愛そうとしても、システムが愛することを許さない。愛することをできなくさせる。
221-D
結婚が浮気、夫婦げんか、離婚争いなどをもたらすことを考えてみよう。結婚がなく、男女がみな、ただの男と女であると仮定してみよう。浮気、夫婦げんか、離婚争いなどなくなるはずではないか。
221-E
されど結婚をなくすなど社会が許さない。結婚は親孝行であり、家を存続させる責任であり、友人・知人に対する世間体であり、子孫繁栄のための社会全体に対する義務である。が、個人に有益なことなどは一つとしてない。
221-F
社会は人によってつくられる。人は結婚によってつくられる。すなわち社会は結婚によってつくられるから結婚はめでたいというのだ。みんなが結婚を「おめでとう」と言うのは社会のために「おめでとう」と言っているのだ。むしろ彼らは新郎新婦に対して「ごめんなさい」と謝るべきだろう。
221-G
もう一度いう。人類がそれによって生きるべき愛は結婚では得られない。かつて日本人は国家のために喜んで戦争に行ったが、結婚もまたこれと同じだ。社会のために自分を犠牲にして、みんなが「おめでとう」と言わざるを得ないのが結婚なのだ。
221-H
お金がない、自由に遊びたい、嫁は画面のなかにいる、結婚はコストパフォーマンスが悪い――なんでもこのところ、結婚したくない若者が急増しているのだとか。その意味では現代だからこそ共感できる作品かもしれませんね。
222-A
大人が大人に叱られるのは情けないことだろう、と海蔵さんは利助さんの気持ちを察した。大人になってまで叱られたくない?「叱られているうちが華」という言葉もあります。虐待、パワハラ、友達親子――最近は叱れない、叱られない世の中になっているそう。成長を願って叱ること、真摯に叱られること。
222-B
皆のための井戸を作るため、海蔵さんが儲けている利助さんに、その費用を相談したとき、「皆の井戸に自分だけがお金を払う意味がのみこめない」と利助さんは言った。しかし、試供品や無料サービス――「損して得取れ」というマーケティング戦略もある。海蔵さんのプレゼン力不足を指摘するのは厳しい?
222-C
私は謝りに来ました。昨日、跡取りから、あなたが亡くなれば井戸を許してくれると聞いて、悪い心になりました。もうじきあなたは亡くなるからいいと、私は自分の井戸のことばかり考えて、鬼にも等しい心になりました。井戸のことはあきらめます。ですからどうか、あなたは長生きしてください。
222-D
海蔵さんは二年間節約して、地主の許しをようやく得て、みんなの井戸を完成させた。海蔵さんはそんなこと誰にも言わず、井戸から水を飲む人々をにこにこ眺めて、そして戦争に行って帰ってこなかった。いま、道に疲れた人々は、椿の木かげの井戸の水で元気をとりもどしては、また道を進んでいく――
223-A
その晩、隣の部屋からは耳を覆いたくなる
物音が聞こえた。
「あの男には暴力で辱められただけ」
ぼくが好意を抱く女はそう言った。
「あの女に誘惑されたんだ」
とても嘘などつけそうにない、
気のいい男はそう言った。
――正しいことを言っているのは、
女と男のどちらでしょう?
223-B
人は恋愛なくして、喜びを求めて行為に及んでしまうこともある。女にとって、それはときに暴力で辱められたとでも思わなければやりきれないことだろう。そんな女のしぐさに、どこか無意識の誘惑がなかったとも言い切れない。女も男も、どちらも真実を言っていたんだ――筆者が真実を言うとは限らない?
224
私はどうも、そんな魔法は嫌いです。私はそんな、まわりを熱い灰でうずめて、自分だけ一人高くなるようなそんなことはしたくありません。水や空気がいつでも地面を平らにしようとしているでしょう。そして自分でもいつでも低い方低い方と流れて行くでしょう、私はそちらの魔法の方が本当だと思います。
225-A
もう苦しい、もう逝きたい。そんなこと言うな、生きてくれ。もうあたしを苦しめないで。……ああ、もうちょっとの辛抱だ。あなた、長い間、ごめんね。俺も、長い間世話になって、すまなかった。あたし、あなたと出会えて幸せだった、あなたをひとりぼっちにして、ごめんね、ありがとう、さようなら。
225-B
海村の丘の上には花園のサナトリウムがあった。そこは肺結核患者の療養施設だ。海村では風評被害が深刻だった。魚の売り上げがずっと縮小していた。海村の人たちは麦わらを燃やした煙を療養所のほうへ流した。迫害はよくない。だけど、煙は道徳より風に従う。
226
怖がることを覚えるために旅に出かけた男がいた。道中、お化けの出る城があって、王様が困っていた。男はその城へ行って、三夜、お化けを容赦なく殲滅した。王様は大喜びで、姫と男を結婚させた。しかし、お化けたちに城を占拠する理由はなかっただろうか? 勇者たる資質は勇気ではなく図太さである。
227-A
パラオにあったというヘルリスという風習がおもしろい。これは痴情にからむ女同士のケンカである。武器は使わない。素手で相手の衣類をすべてむしり取ったほうが勝者となる。ヘルリスは衆人環視の中で堂々と行われる。いかなる理由があろうとも、勝者は常に正しいとされる。女が強い!南洋文化。
227-B
一組の夫婦がそれぞれ別々の相手と再婚して、幸せな後半生を送ったというお話です。現代日本では三組に一組が離婚している、などといわれています。それに伴ってか、再婚率も上昇していて、ではやはり再婚こそ幸せへの真実の道なのか、と思いきや、再婚者の離婚率は50%なのだとか。どう思います?
228-A
日常用語としては、形式や内容にこだわらず、故人の残した文章や言葉を指す。民法においては故人の法律関係を定めるための最終意思表示である。これに法律上の効力を与えるには、民法に定められた方式に従う必要がある。日常用語としては「ゆいごん」と読まれる。答えは法律用語として読んでください。
228-B
日清戦争の年、水野水兵に母からの遺言が届いた。大君のため、お国のため、その命を捧げてこい。遺言にはそう書かれていた。当時の風潮でそう言うしかなかったのか。あるいは心からの言葉だったのか。母の本心を知ることはできない。しかしいずれにせよ、母にそれを言わせる戦争は悪いことだと思った。
229-A
公演後のサーカスの打ち上げ。猿股男が小人の緑さんにお酒を勧めて断られます。怒った猿股男が緑さんを頭から酒樽の中へ突っ込みます。……アルハラ? 急性アルコール中毒は命にかかわることもあり、問題が起これば所属する大学や会社の社会的評価も下がります。アルハラ、ダメ、ゼッタイ。
229-B
小人の緑さんがいじめられている。イジメ、ダメ、ゼッタイ。義務教育は子供の義務ではない。何がなんでも学校に行け、という風潮はそろそろ失くすべきか。いまはネットの通信教育もある、努力して一人でできる仕事もある。イジメを苦に、自分で命を絶つくらいならば、と思ってしまう。何が逃げなのか…
230-A
神様。わたしは黒君を見捨てました。わたしが黒くなったのもきっとそのせいでしょう。わたしはわたしの臆病を恥じ、あらゆる危険と戦ってきました。しかし、いつしか、わたしはわたしの黒さがいやになり、ただ命を捨てるため、より危険なところへ飛び込むようになったのです。
230-B
ですが、不思議なもので、わたしはまだ生きています。ご主人たちは、またわたしを野良犬だと思うでしょう。わたしを打ちのめすことでしょう。かまいません。わたしはわたしをかわいがってくれた、ご主人たちの顔を最後に一目だけでも見てから逝きたい。神様。どうかご主人たちに会わせてください。
231
この小説のタイトルは「玉砕」とするつもりだったそうですが、玉砕という言葉はあまりに美しくて、結局いまのタイトルになったそうです。国のため戦争に行って玉砕する、その犠牲的精神は尊い――玉砕って美しいことなのでしょうか? 人の命が華と散るとき、そこに美しさはあるのでしょうか?
232
電車に乗ると常に誰かに見られている気がするんです。流行のファッションや髪型を見るとイライラしてしまうんです。ガタンゴトンという音が音楽のように聴こえるのですが、それがときどき私を嘲笑しているように聞こえて、とてもとてもとても不快なんです。……私は病んでいるのでしょうか?
233-A
一人のオクサマがいた。夫の浮気を疑っていた。友達の未亡人にこの悩みを相談した。「本当は浮気をしているわけじゃないのに、ご主人はわざとそんなことをしてあなたをからかって遊んでいるのよ」。オクサマは激怒して、すぐに夫と離婚した。夫はすぐに未亡人と再婚した。
233-B
一人のマダムがいた。夫が浮気していた。マダムは騒がなかった。そんなことをしても無駄。代わりに、不断の努力と訓練によって、夫を愛することをやめた。浮気をしてもニコニコ尽くしてくれるマダムに、夫はプレッシャーを感じ、やがて神経衰弱で亡くなった。もっと他の女と遊ばせてあげればよかった。
233-C
一人のフラウがいた。夫が浮気者だった。フラウは声がかれるまで訴え続けた。夫は「それだけか」、フラウは口の中で「はい」。次の瞬間、夫はフラウの頬をスパン。そして女のところへ出かけて行った。フラウは思った。なんて男らしいの!以来フラウは文句一つ言わず、身も心も夫に捧げるようになった。
234
彼は夢を創る人だった。夢が文学であるためには、夢の根底が現実に根ざしていなければならない。彼にははじめそれがちゃんとできていた。彼の妻もそんな彼のオモチャ箱に魅せられていた。なのに夢と現実は次第に遊離していった。ついに彼は自身と妻を不幸にした。私は、やるせなくて、たまらなかった。
235
花市君は不思議な耳を持っていた。なぜかみんなが花市君の耳を触りたがった。ある日、友達の一人が花市君の耳を触ろうとしたとき、花市君は「いやだよ」ときっぱり言った。花市君はイヤなことをずっと我慢してきたのだろう。そしてイヤなことをイヤだと言った。それはとても勇気のいることだと思った。
236
おつうは陸軍尉官の近藤と結婚した。親同士の決めた結婚だった。おつうは従兄弟の健三郎と心を通じ合わせていた。近藤は嫉妬に狂った。健三郎を罠にはめ、おつうの目の前で残酷に処刑した。健三郎の墓にツバを吐いた。おつうは獣となって近藤の喉笛を食い破った。愛憎という名の恐怖。
237
彼女はあのとき、そのまま相手の男を窒息させてしまい、切り取ったアレをしばらく持ち歩いていたという――猟奇的でショッキングな事件がかつてありました。局所や下腹部というオブラートな表現は、このときからマスコミで使われるようになったそうです。そんな彼女の少女時代を描いた小説です。
238
土神と狐田は樺子を巡る恋敵だった。狐田は樺子のために詩集を読み、望遠鏡で一緒に星を見ようと誘う。樺子は、がざつで何も持たない土神よりも狐田に惹かれていた。土神は頭に血が上り、狐田を彼の自宅で…ふと我に返ると、狐田の部屋の中には望遠鏡も何もなく…ああ、あいつも俺と同じだったんだ。
239
村の南北に住む二人の若者はいとこ同士、とても仲が悪かった。そこへ二人の親戚を名乗る乞食がやってくる。病気で先は長くない、それまでここで休ませてほしい。二人の若者は利害ばかり考えて、乞食を互いに押しつけようとする。些細な利害でも他人の苦しみは二の次になる。気をつけたいと思った。
240
忠実なジョンは王の命を救うため石像になった。王はようやく自分の過ちに気づいた。ジョンの疑わしき行いは、すべて自分のための行動だったのだ。そんなジョンを処刑しようとしていたなんて…。ジョンを救うには王の双子の息子の首をはね、その血を石像にふりかけるしかない。王はそのようにした。
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