小説・漫画の創作に役立つ(?)雑学『江戸時代の医師はみんなブラック・ジャックだった?』

まずはあいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。
(「『狐人』の由来」と「初めまして」のご挨拶はこちら⇒狐人日記 その1 「皆もすなるブログといふものを…」&「『狐人』の由来」

というわけで、今回は小説や漫画などの創作に役立つ(かもしれない)狐人雑学です。

山崎豊子さんの小説『白い巨塔』や海堂尊さんの小説『チーム・バチスタの栄光 』、乃木坂太郎さんの漫画『医龍-Team Medical Dragon-』や恵三朗さんの漫画『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』など、「医療小説」や「医療漫画」はテレビドラマ化など映像化されて、大ヒットしているイメージがないでしょうか?

「医療」というのは、一般に広く受け入れられやすいジャンルなのかもしれない――というわけで、少し「医師」というものについて勉強してみました。

漫画の話題が続きますが、村上もとかさんの『JIN―仁―』をご存知でしょうか?

『JIN―仁―』は、SFではおなじみのタイムスリップを、「医療」というジャンルに取り入れたところに、斬新さを感じさせる作品です。この『JIN―仁―』は、現代の医師が江戸時代にタイムスリップするお話ですが、江戸時代の医師とはどのような存在だったのでしょうか?

小説や漫画など創作のインスピレーションの一助に、あるいは医師国家試験の息抜きに(?)、読んでいただけたら幸いです。

つぎにまえおき

もしもあなたが大けがをしたり、あるいはなにか難しい病気にかかったりしたとき、あのブラック・ジャック先生が一般的な治療費で手術をしてくれるとなったら、どうしますか?

多くのひとは喜んで手術をお願いするのではないでしょうか。

医師がみんなブラック・ジャックだったといわれると、江戸時代は最高の医療時代だったのかと勘違いしてしまいそうですが、もちろんそんなわけがありません。

医師免許がなかった江戸時代、医師はみんなブラック・ジャックと同じ無免許医だったのです!

そしてほんだい

「医師でござい!」と医師に転職?

日本において医師免許制度ができたのは、明治維新後の1874年のことです。それまでの日本には医師免許といったものは存在せず、医師はみんな無免許で医療行為を行っていました。

では、「あっしは医師でござい!」と威風堂々名乗りをあげれば、それで誰もが医師になれたのかといえば、さすがにそういうわけにはいきません。

周りのひとたち、すなわち世間が医師として認めなければ、それを職業として生活の糧を得るのは難しかったのです。

江戸時代の医師の要件

ここで江戸時代の医師が社会において活躍するための要件をまとめると、

・診療の設備あるいは手術器具などの道具をもっていること
・一定数の患者がいて、その信頼を得ていること
・医に関する知識と技術をもっていること

以上のようなことがいえます。

設備と道具はお金で用意できたとして、患者とその信頼を獲得するためには、前提条件としての確かな知識と技術が必要となります。

それでは当時の医師たちは、どのようにして医の知識と技術を習得したのでしょうか?

江戸時代に医師となるためのプロセス

その答えは学統です。学統とは、師匠から弟子へ受け継がれる学問系統のことを指します。当時、医師になろうとするひとの典型的なパターンはつぎのようなものでした。

まずは基本的な教養を自分が暮らしている地域の手習い医師から学びます。このなかから成績優秀者として選ばれれば、近くの町あるいは村の医師へ弟子入りが許可され、そこで医学の初歩を習うことができます。

師匠に認められ、その同意が得られれば、今度は近隣の都市へと赴き、より高度な技術を習得するため、医学塾で鍛錬に励みます。

さらに当時の医学先進地であった江戸、京都、大阪や長崎へ遊学し、いっそうの研鑽を積むのです。

江戸時代の社会の中心は家でした。よって医師の家に生まれたひとは、当然のごとく医師となることを志すことになります。

一方で、家を継ぐべき立場にない町人や農民の次男坊、三男坊が医師の道に転ずるといった選択肢もありました。なかにはがちがちの身分制度を嫌い、自らの自由意志において医で生計を立てるひともいたそうです。

江戸時代の医師から受け継ぐべきこと

江戸時代において、国の医療政策はほとんど無に等しい状態でした。しかし当時の医師たちの自発的な取り組みがいまの成熟した医療環境へとつながっています。江戸時代には医師免許制度が存在せず、したがって国から職業的な地位を保障されることもありませんでした。だからこそ当時の医師たちは的確な決断力をもち、貪欲に知識を吸収し、真摯な態度で科学的思考に取り組みました。現在の医師あるいは医師以外のひとたちにとっても、江戸時代の医師のこのような姿勢から学ぶべきことがたくさんあるように思えます。

最後にあとがき

いかがでしたでしょうか。

何か閃いたり、よしやるぞ、とやる気が出たり(?)しましたでしょうか?

狐人的な雑学メモですが、誰かのお役に立てれば、これ幸いです。

ちなみに医療小説のさきがけ(?)こちらのブログ記事もよろしければ。
小説読書感想『外科室 泉鏡花』哀純愛…こんな一目惚れしたことある?
小説読書感想『医者と病人 夢野久作』ブログでさらっと読める医療小説!

以上、本日の狐人雑学でした。

小説や漫画など創作の勉強にもなるおすすめの医療漫画

・何はともあれ手塚治虫さんの『ブラック・ジャック』!

・あまり知らない産婦人科を知る! 鈴ノ木ユウさんの『コウノドリ』

・リアルな医療現場を感じろ! 恵三朗さんの『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』

・テレビドラマが印象深い、乃木坂太郎さんの『医龍-Team Medical Dragon-』

・同じくテレビドラマが大ヒット! 村上もとかさんの『JIN―仁―』

・漫画版『白い巨塔』? 佐藤秀峰の『ブラックジャックによろしく』

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

それでは今日はこの辺で。

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