狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『兄たち/太宰治』です。
文字数8000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約20分。
兄弟がいるって兄弟がいない人には想像しにくい気がしますね。兄弟がいるってどんな感じがするんでしょうね。この作品を読むと歳の離れた兄たちがいるのは、なんだかいいなって気がします。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
太宰治が三人の兄たちについて書いた話。
この作品によると太宰治には三人の兄たちがいた。長兄とは十一歳、次兄とは九歳、三男とは六歳、歳が離れていた。太宰治が十四歳のとき父が亡くなり、しかし兄たちはみんな優しくて大人びていたので、少しも心細く感じなかったという。
長兄は二十五歳で町長となり、三十一歳で県議会議員になった。次兄は酒に強く親分気質の豪快な心の持ち主だった。この二人の兄が亡父の遺産と政治上の諸勢力を守るのに目に見えぬ努力をしていた。
太宰治は三男とは一番歳が近いこともあってか、一番仲がよかったのかもしれない。少なくともこの作品においては三男について一番多く書かれている。からだが弱く、美術学校に通い、塑像をやっていたがそれよりは小説に夢中になり、粋紳士風や鬼面毒笑風の傾向があった。少女のように美しい顔だったが、女にはモテなかった。
印象的なエピソードとしてつぎのようなものが書かれている。
ある喫茶店に兄が好きな女の子がいて、兄はその喫茶店に通っていたが、高いプライドが邪魔をして一杯のコーヒーを飲んで帰るということを続けていた。弟を連れて行った日もやはりそうだったが、兄は帰り道に突然花屋で花束を買った。そのままもじもじしている兄の手から花束をひったくった弟は、そのまま喫茶店に走った。
三男は二十八歳のときに病気で亡くなり、太宰治はそれをとても悲しんだようだが、肉親が亡くなる悲しみは自分だけの特権ではないので読者にすまない気がすると語る。『父に早く死なれた兄弟は、なんぼうお金はあっても、可哀想なものだと思います。』という最後の一文が心に残る。
狐人的読書感想
「兄弟がいる」というのは、兄弟がいない人間にはなかなか想像しにくい状況のような気がするんですよね。とくに、この作品のような「歳の離れた兄弟がいる」というのは、どうもうまくイメージできません。
この作品を読んでいると、なんとなく「兄弟っていいものなんだろうなあ」なんて思うのですが、実際はそうでない面だってあるんでしょうね。いい面と悪い面と、どっちが多いんだろうと考えてみますが、そういうのでもないんですかね? いい面も悪い面もひっくるめて兄弟、みたいな? やっぱりうまく想像できませんね。
とはいえ、歳の近い兄弟よりは、歳の離れた兄弟のほうがよさそうな感じがしますね。歳が近いとケンカばかりしてしまいそうですが、歳が離れていればケンカにもならないでしょうし、大人だったら甘えさせてもらえそうですし。歳の離れた兄弟がいるのは悪くなさそうだな、と思った作品でした。
末弟(太宰治)と三男の、喫茶店の女の子のエピソードが一番印象に残りました。こういう兄弟なんかいいよなあ、みたいな。
この作品はおおむね兄弟のいい面が書かれていたように思いますが、歳が離れていても悪い面ってあるんですかね? ケンカもなければお下がりもなさそうで、あんまり悪い面はなさそうな感じがしますが、それだけに兄弟って感じではないのかもしれませんね。
兄たちについて想像してみた、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
兄たちがいるってどんな感じ?
狐人的読書メモ
・人それぞれとはいえ、いくつかのパターンには分類できそうな気がする。
・『兄たち/太宰治』の概要
1940年(昭和15年)1月『婦人画報』にて初出。原題は『美しい兄たち』。太宰治の実際の兄たちについて書かれている、らしい。
以上、『兄たち/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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