あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
新美南吉 さんの『たけのこ』は、無料の電子書籍Amazon Kindle版で4ページ、文字数800字ほどの童話。憧れ、夢を追うことの大切さ……、未読の方はこの機会にぜひご一読ください――てかこのブログで今お読みください!
……とはいえ、
「時間がない!」
――といった方のためにも一応簡単なあらすじを。
あらすじ
たけのこたちは遠くへ行きたくてしょうがない。お母さんの竹は「遠くへ行っては危ないよ!」と注意するも、ひとつのたけのこだけは、言うことを聞かず、どんどん遠くへもぐっていってしまう。「美しく優しい声がわたしを呼ぶから……」しかし他のたけのこたちには聞こえないという。それでもひとつのたけのこは外へ外へ――そこには横笛を持った人がいた。「あなたの笛の音に誘われてきました」――大きく、かたくなったたけのこは、立派な〇〇となった……。
たけのこはいったい何になった!?
ちょっと気になる方は以下をどうぞお読みください。
たけのこ/新美南吉
たけのこは はじめ じびたの したに いて、あっち こっちへ くぐって いく もので あります。
そして、あめが ふった あとなどに ぽこぽこと つちから あたまを だすので あります。
さて、この おはなしは、まだ その たけのこが じびたの なかに いた ときの ことです。
たけのこたちは とおくへ いきたがって しようが ないので、おかあさんの たけが、
「そんなに とおくへ いっちゃ いけないよ、やぶの そとに でると うまの あしに ふまれるから」
と しかって おりました。
しかし、いくら しかられても、ひとつの たけのこは どんどん とおくへ もぐって いくので ありました。
「おまえは なぜ おかあさんの いう ことを きかないの」
と おかあさんの たけが ききました。
「あっちの ほうで うつくしい やさしい こえが わたしを よぶからです」
と その たけのこは こたえました。
「わたしたちには なんにも きこえやしない」
と ほかの たけのこたちは いいました。
「けれど、わたしには きこえます。それは もう なんとも いわれぬ よい こえです」
と その たけのこは いいました。
そして どんどん はなれて いきました。
とうとう この たけのこは ほかの たけのこたちと わかれて、かきねの そとに あたまを だして しまいました。
すると そこへ よこぶえを もった ひとが ちかよって きて、
「おや、おまえは まいごの たけのこだね」
と いいました。
「いえいえ、わたしは、あなたの ふいて いらっしゃった、その ふえの こえが あんまり よかったので、こっちへ さそわれて きました」
と たけのこは こたえました。
さて、この たけのこは おおきく かたく なった とき、りっぱな よこぶえと なりました。
読書感想
さて、いかがでしたでしょうか。
新美南吉 さんの童話は、愛らしく、ほのぼのとしていて、子供の(あるいは大人も)ためになるお話が多いです。
・小説読書感想『あし 新美南吉』ブログで読もう!馬の感性に「しびれる」
・小説読書感想『飴だま 新美南吉』物語作りの構成力が学べる、心温まる童話
・小説読書感想『赤い蝋燭 新美南吉』親子で楽しめる童話! それが一番大事!
よろしければこちらもぜひお読みください。
僕なりにこの作品を読み解いてみると――、
親の過保護と葛藤(怪獣家長!)
たけのこは はじめ じびたの したに いて、あっち こっちへ くぐって いく もので あります。
たけのこ(子供)は遠くへ行きたがるものです。お母さんの竹(親)は勝手にどんどん先へ行ってしまうたけのこ(子供)が心配でたまりませんよね。車にはねられないか、迷子にならないか、変な人にさらわれたりしないだろうか……。だけど、たけのこ(子供)は遠くへ行って、いろいろなものを見て、遊び、学び、感じ――成長するもの……。過保護過ぎるのもよくないのかなあ――と、子供の安全と成長と、子育てのバランスの難しさ、みたいなものを思わされました。子供が遠く離れていってしまうのは寂しい、けれど立派に成長してくれたら嬉しいみたいな、親としての葛藤もそこには含まれているかもしれません。
(てか過保護について考えていたら、ちょうどタイムリーな話題を『直撃LIVE グッディ!』の「ピカッとNEWSボード」で取り上げていました。題して、中国、超過保護な親、怪獣家長――モンスターペアレント――子供のために大暴れで社会問題化! 暴力がひどい! 一人っ子政策のつけ、べたべたに甘やかされて育った世代が親になって……、という感じなのでしょうねえ――恐ろしい……)
子供の将来の夢(YouTuber!?)
「あっちの ほうで うつくしい やさしい こえが わたしを よぶからです」
とはいえ、お母さんの竹(親)の言うことを聞かないのはよくないことです。かといって、親の言いなりになってばかりでもいけません。子供の依存と自立のバランスもまた難しいところですよねえ……。しかしながら、たけのこ(子供)は物語の中で、遠くへ行こうとする理由をしっかりと述べていますよね。それはとても漠然としたものに聞こえるかもしれませんが、子供が夢を語るとき、それは必ずしも明確なものではない場合も、あるような気がします(どうでしょう?)。YouTuber(ちなみにYouTuberは、現代、子供の将来の夢、堂々の第3位! だそうです)になる、みたいな? スポーツ選手になる、ミュージシャンになる、漫画家になる、小説家になる……、実現が難しいものもあります。親としてはどこまで理解を示すべきか、悩みどころなんだろうなあ……(どうでしょう?)。
(てかYouTuberについて考えていたら、またまたタイムリーな話題を『直撃LIVE グッディ!』で取り上げていました。題して、迷惑行為YouTuberに非難殺到! 回転寿司でお皿を取らずに寿司を食べたり、レストランで隣のお客さんの料理を食べたり、宅配業者にチェーンソーを持って乗り込んだり――恐ろしい……)
子供の才能といじめ(子供のためを思うなら!)
「わたしたちには なんにも きこえやしない」
その声(横笛の音)は、ひとつのたけのこにしか聞こえず、他のたけのこには聞こえていません。このことは、ひとつのたけのこの、感性の鋭さを示しているように思いました。音楽的才能があるのでは?
しかし他と違う子供というのは、集団から排斥される(いじめられる)恐れがありますよね(ひとつのたけのこも他のたけのこたちと別れて外に出ています。このことを暗示している?)。
親としては、自分の子供が周りの子たちと違ったら、どうなのでしょうか? 個性として伸ばそうと努めるのか、悪癖として周りの子供たちと同じように矯正しようとするのか……。ここにも、親として、子育てに対する姿勢について、考えさせられる命題が隠れているように思いました。
〇〇になったたけのこ(光と闇のエンディング!?)
さて、この たけのこは おおきく かたく なった とき、りっぱな よこぶえと なりました。
この結末からは、夢を持つこと、夢を信じ続けること、そして夢を叶えること、の大切さを思わされます。とってもいいお話です……、とってもいいお話なのですが、前回ブログ記事を書いた影響でしょうか(⇒赤ずきん/グリム童話×東京グール×魔性の赤=魔法少女赤ずきんちゃん?)、一抹の警告を含んでいるようにも思えました。たけのこ(子供)は、本当に横笛になることを望んでいたのでしょうか? 横笛を持った人は良い人だったのでしょうか? ……そんなふうに想像してみると、横笛を持った人(悪人)に誘拐されたたけのこ(子供)が、無理矢理……、「わたし」という一人称から、たけのこ(子供)が女の子だと考えてしまうと……、みたいな? ちょっとダークなエンディングを想像してしまったのは僕だけ?
読書メモ
きのこたけのこ戦争!
VS
はてさて、「たけのこ」と聞いて『たけのこの里』を思い浮かべたのは、僕だけではないと(信じたい)思います。
では、『たけのこの里』と聞けば、「きのこたけのこ戦争」を思い浮かべるのは、僕だけではないと(信じたい!)思いますが。
現時点で最新の、大々的な「きのこたけのこ戦争」は、2016年11月27日の夜、テレビ朝日系で放送された「日本国民がガチで投票! お菓子総選挙2016」ではないでしょうか? これは、『たけのこの里』が8位、『きのこの山』がなんと30位圏外という結果に。
俄然興味がわいてきたので、他にもアンケートを見てみたのですが、僅差だったり、大差だったりの違いはあれど、いずれも『たけのこの里』の勝利。売上的にも『たけのこの里』の方が売れているみたいですね。
主原料であるカカオ豆やナッツ類の原材料費高騰で、内容量の減量や製品の値上げが話題になったのはいつ頃のことでしたかねえ……。
現在(2017年1月17日時点)
・『きのこの山』
1箱の内容量:74g カロリー:417kcal(1gあたり約5.6kcal)
・『たけのこの里』
1箱の内容量:70g カロリー:391kcal(1gあたり約5.5kcal)
ふむ。たくさん食べたい人は『きのこの山』、ダイエット中の人は『たけのこの里』……とはいえ、そんなに変わりませんか。『たけのこの里』は若年層、『きのこの山』は中高年層に支持される傾向にあるのだとか。
さて、あなたはきのこ派? たけのこ派?
(この訊き方はちょっと卑怯かな? 子供はたけのこ、大人はきのこ、と言えばどうかな?)
ちなみに、
斉木楠雄はきのこ派。
(画はおすすめ漫画、麻生周一 さんの『斉木楠雄のΨ難(さいきくすおのサイなん)』)
殺せんせーはたけのこ派。
(画はおすすめ漫画、松井優征 さんの『暗殺教室』)
きのこ派のあなたに読んでほしいのはこちら(たけのこ派の方もぜひに!)
・きのこ会議/夢野久作=キノコ擬人化図鑑 アニメ化! きのこブーム再び?
すぎのこの村とは?
ところで、『すぎのこの村』というお菓子をご存知でしょうか(僕が知りませんでしたが……)。1987年(昭和62年)から1988年(昭和63年)にやはり明治から発売されていたお菓子なのだそうです。「きのこ・たけのこ・すぎのこ」の三すくみの時代があったんですねえ。
しかし1年の販売期間は短いですよね。棒の部分がビスケットで、アーモンドの入ったミルクチョコでコーティングされている――いわば『小枝』みたいなお菓子と聞けば、美味しそうな印象なのですが……。売上が振るわなかったことが消えてしまった原因らしいです。他にも「すぎのこは食べ物じゃない!」という意見もあったのだとか……、お菓子に対する意見としてはシビアですね。
とかなんとか。
以上、『たけのこ/新美南吉』の読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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