一週間ほど前、
天皇陛下が生前に、
天皇の位を皇太子さまに譲位する、
生前退位のご意向を示していると報道されて、
日本中がざわめきました。
そんな報道を受けて、
ふと思い浮かんだ小説があります。
ただし、
生前退位の内容とは、
全く関係のない話になるので、
それだけは先に断っておきたいのです。
記事タイトルだけを見て、
ここまで読んでくださった方がもしいらっしゃいましたら、
ごめんなさい。
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
(「『狐人』の由来」と「初めまして」のご挨拶はこちら⇒狐人日記 その1 「皆もすなるブログといふものを…」&「『狐人』の由来」)
そんなわけで、
本日の読書感想は、
昨日に引き続いての
(⇒小説読書感想!『月の影 影の海』(十二国記)もっと早くに読んでいたら……)、
『十二国記』
シリーズ本編第四作、
『風の万里 黎明の空』
について、
書いてみたいと思うのです。
では簡単なあらすじなのです。
『風の万里 黎明の空』は、
主に三人の少女の物語が描かれ、
その三人の少女は、
のちに運命の邂逅を果たします。
一人目の少女は、
『月の影 影の海』で、
天命により十二国の一国、
景の国の景王となった、
普通の女子高生だった陽子。
いまだ新たな世界をほとんど知らず、
国の運営については右も左もわからず、
形ばかり恭順の意を示し、
陰で嘲笑う臣下たちに、
日々思い悩むばかりの陽子は、
国と民の実情を知るため、
身分を隠して景国の街へ。
二人目の少女は、
芳国の公主だった祥瓊。
芳国の王であった父を弑され、
母をも目の前で亡くし、
公主の地位を奪われた祥瓊は、
理不尽な運命を呪い、
それを与えたひとびとを恨み、
地に堕ちた自分とは対照的に、
天に昇ったと聞くまだ見ぬ景王を妬む。
三人目の少女は、
陽子と同じように、
前の世界から十二国の世界に流されてきた鈴。
長く虐げられてきた鈴は、
決死の思いで自由を得て、
同じような境遇の陽子が、
景王となった事実を知り、
興味を引かれて景国を目指すも、
道中旅の道連れとなった清秀が、
郷長の乗った馬車に轢かれてしまい、
返らぬ人となった清秀の仇を討つ誓いを立てる。
といった感じ。
いつものことながら、
ちゃんと伝えられているのでしょうか。
しかし知らないひとのほうが、
きっと少ない作品ですし!
(逃げ、パート2)
というか、
あらすじの参考に、
Amazonのページを見ていたのですが、
Amazon売れ筋ランキング、
歴史・時代小説のところに入ってる!
この作品は、
ライトノベルというだけでなく、
もはや一般文芸としての地位も確立している。
さすがは小野主上!
思わず、
尊敬してしまうのです。
思わず、
脱線してしまいました。
すみません。
話を元に戻しますと、
僕が一番感銘を受けたのは、
二人目の少女・祥瓊の物語でした。
祥瓊は、
謀反によって公主の座を失い、
貧しい暮らしや、
同国の民から日常的に受ける屈辱に耐えかねて、
さらには自分と同じくらいの歳で、
自分の失った王宮暮らしを手にした陽子を羨み、
その地位を簒奪しようと景国を目指しますが、
道中で知り合った楽俊に諭され、
非道を行ってきた父王を恥じ、
それを知ろうともしなかった自分を悔いることになります。
父が行ってきた非道を知らなかった祥瓊は、
自分のせいではないのだと楽俊に訴えます。
しかし、
楽俊は、
それは祥瓊のせいなのだと、
その訴えを一蹴します。
祥瓊は一国の公主だった。
それはたしかに祥瓊のせいではない。
だけど、
地位を得るということは、
その瞬間に責任が生まれるということ。
王が王になったとき、
国の民に責任が生じるように、
公主にも公主になった瞬間に、
公主としての責任が生まれる。
何もしなくていいと言われたから、
何もせずただ贅沢な暮らしを送り、
甘やかされて育った祥瓊。
けれどそれは間違いだった。
父王の非道を知ろうとしなければならなかった。
疎まれてもその非道を諫めなければならなかった。
襤褸を着るのが恥ずかしいと言う祥瓊、
だけど世の人のほとんどがその襤褸を着ている事実。
知っていなければならなかったことを知らない方が、
襤褸を着るよりももっと恥ずかしいことなのではないか。
自分がもっていないものを、
何の努力もせずにもっている者は誰だって妬ましい。
責任を果たさずに手に入るものは何かが間違っている。
間違ったことを盾にして訴えても誰も認めてなんかくれない。
祥瓊は耳を覆う。
聞きたくない!
でも、
聞きたくないということは、
もうちゃんとわかっているのです。
楽俊は、
本編シリーズ第一作、
『月の影 影の海』
においても、
陽子の成長に大きな影響を与えた人(?)物。
狐人として、
とても尊敬でき、
愛さずにはいられないキャラクターなのです。
ここで記事タイトルにある、
天皇陛下の生前退位報道を受けて、
思い浮かんだ小説が、
『風の万里 黎明の空』
という話に戻るわけなのですが。
いろいろなものごとについて、
いろいろな理由から、
天皇陛下の責任を問う議論があるようです。
僕には難しいことはよくわからないのですが、
この祥瓊の例からいうと、
地位にはそれに見合った責任が負わされる。
好きで地位ある立場に生まれたわけでなくとも、
いろいろなものごとについて、
責任を負わなければならない。
そういったことを自覚した上で、
生きておられるのだとしたら、
皇族の方々というのは、
すごい人たちなのだな、
とまったくすごくない(どころかまったくだめな)僕は、
思ったのだという話でした。
ここまで書いてふと思ったのですが、
もしかしたらこういった話は、
気軽に扱ってはいけないことだったかもしれません。
もしも不快な思いをされた方がいらしたら、
ごめんなさい。
ご指摘いただけましたら、
速やかに対応させていただきます。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それでは今日はこの辺で。
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