春の夜/芥川龍之介=不気味でさっぱりとした不思議な話。

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

春の夜-芥川龍之介-イメージ

今回は『春の夜/芥川龍之介』です。

文字数3000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約7分。

変質者の顔にあの人の面影を見て驚いたNさんの話。全体としては陰鬱で、不気味な体験談だったはずなのに、最後の一言でさっぱりと印象が変わる不思議なすごい小説だと思いました。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

「僕」が看護師のNさんから聞いた話。

ある年の春、Nさんは看護婦会からある家に派遣された。そこには意気地なしで病弱な清太郎がいた。

ある晩、Nさんは氷を買って帰る道でいきなり誰かに後ろから抱きつかれた。驚いて振り返ると、それは清太郎にそっくりな不良少年だった。しかし病気で寝ている清太郎が、……あの清太郎がこんな真似をするはずかない。Nさんは大声をあげて難を逃れた。

清太郎に似た不良少年の顔が目に残っていた。氷嚢を変えに清太郎の離れへ行く途中、清太郎はそこにいないかもしれないと不安になった。

清太郎は静かにひとり眠っていた。それでもNさんは後ろが気になってならなかったという。

「僕」は話の終わりにNさんに訊いた。「あなたはその人が好きだったんでしょう?」

「ええ、好きでございました」

狐人的読書感想

なんだか不思議なお話でした。Nさんに後ろから抱きついたのは清太郎だったのか、あるいは清太郎のドッペルゲンガーだったのか――と読み進めてみたのですが、ただの不良少年だったようですね。

ストレートに読み解くならば、清太郎に恋をしていたNさんが、突然後ろから抱きついてきた不良少年の面影に、恋する人の幻影を見た――ということになるのかと思います。

意気地なしで病気が重い清太郎に抱きしめてほしい、というNさんの願望のまじった話だったのだとすれば、ちょっと切ないようにも感じますが、普通に現象だけとらえてみれば「変質者に襲われ危機一髪だった話」といった感じです。

「ドッペルゲンガーを見ると……」というのはよく言われますが、清太郎はその後どうなったんでしょうね。狐人的にはNさんにはもう少し先までお話ししてほしかったですね。

体験談としては不気味で、全体的には暗い印象でしたが、最後のセリフをNさんがさっぱりと言ったことで、なんだかさわやかな読後感もあります。

不思議なお話だと思った、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

不気味でさっぱりとした不思議な話。

狐人的読書メモ

・『春の夜/芥川龍之介』の概要

1926年(大正15年)『文藝春秋』にて初出。1927年(昭和2年)短編集『湖南の扇』収録。同じくNさんに聞いた話を題材にした小説に『玄鶴山房』がある。

以上、『春の夜/芥川龍之介』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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