瓶詰地獄/夢野久作=アヤ子が『弟』って…本当に?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

瓶詰地獄-夢野久作-イメージ

今回は『瓶詰地獄/夢野久作』です。

文字数8000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約18分。

楽園は地獄と化す。無人島で禁忌を犯した兄妹は兄弟だったのか。ひとはなぜ妹系に惹かれるのか。いろいろな矛盾が指摘され謎の多い作品ですが、妄想しておもしろい小説です。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

海洋研究所による潮流研究が行われた。潮流研究用のビール瓶とは別に、三本のビール瓶が発見された。三本ともかなり以前に漂着したものらしく、中には手紙が入っていた。

第一の瓶の内容。離島に救助船が来たということ。手紙の主たちの父親と母親の姿が船上に見えるという。どうやら二人の人間(『私たちのお父さまや、お母さま』となっていることからきょうだい関係か?)が長く無人島で暮らしてきたらしい。ようやく助けが来たというのに、二人は崖の上から身投げして命を絶つつもりでいる。何かの罪を犯したようだ。文体から手紙を書いたのは女性のように思われる。

第二の瓶の内容。私とアヤ子が海難事故に遭い、無人島に漂着し、十年ほどの月日が流れた。漂着時、私は十一でアヤ子は七つだった。一本の鉛筆、ナイフ、一冊のノート、一個の虫眼鏡、水の入った三本のビール瓶、一冊の小さな新約聖書があった。私は聖書を使ってアヤ子に字を教えた。水や食料となるものが豊富な島だったようで、二人は苦も無く生き延びることができ、そこは二人だけの楽園のようだった。が、二人は成長するにつれお互いを男女として意識するようになり、楽園は地獄と化す。このままではやがて一線を越えてしまうだろうと二人は悩み苦しんでいた。最後に「太郎記す」とある。

第三の瓶の内容。『オ父サマ。オ母サマ。ボクタチ兄ダイハ、ナカヨク、タッシャニ、コノシマニ、クラシテイマス。ハヤク、タスケニ、キテクダサイ。市川 太郎 イチカワ アヤコ』――二人は兄妹であるらしい。

狐人的読書感想

おもしろかったです。瓶の手紙の内容を時系列順にすると『3→2→1』と、開示されている順番とは反対になるらしく、それにより謎めいた部分が生じて、明らかになっていくという構成になっています。

謎めいた部分というのは『二人の犯した罪とは何か?』ということになるかと思いますが、これは兄妹間での「インセスト・タブー」のことだったようです。

「インセスト・タブーがなぜダメなのか」って、決定的な答えがいまだにないらしいですね。

一説では遺伝子の多様性が損なわれてしまい、生まれる子供が病気に弱かったり身体に欠損が生じたりするらしいのですが、まあ実際に確かめてみるわけにもいかず、だから決定的な答えとまではいえないんだそうです。

しかし上記を避けるためなのか、インセストに対する本能的な忌避感とか嫌悪感みたいなものはたしかにありますよね。だからこういったテーマに惹かれてしまうというのもなんだか不思議な感じがします。

本作にはいくつもの矛盾点が指摘されていて、じつは一筋縄では解釈できない作品のようですが、ただその矛盾もまったく説明できないわけではないような気が狐人的にはしています。

著者が狙ってそういうふうに書いているのか、あるいはそこまで深い意味はないものを読者が深読みしてしまっているのか……。いずれにしても想像力が物語に深みを与えている類の作品であるように思います。

そこがまたおもしろいです。

結局『この話はすべてどこかの誰かの妄想の産物』だったのでは……、なんて解釈もあります。アニメやゲームでこれだけ「妹系」がもてはやされている現代においては、ある意味説得力がある説なんですよね。他の作品傾向とあわせて見るに、夢野久作さんって「妹系」のはしりだったのでは……、と思わされるふしもあったりします。

そんな意味では現代に読んでも(あるいは現代だからこそ)楽しめるかもしれないと思った、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

アヤ子が『弟』って…本当に?

狐人的読書メモ

・そんなわけでアヤ子がじつは『弟』だったという説もある。

・『瓶詰地獄/夢野久作』の概要

1928年(昭和3年)10月、『猟奇』にて初出。インセスト・タブー。人は本能的な忌避感に惹かれる。何度も読んでおもしろい。妄想してもおもしろい。

以上、『瓶詰地獄/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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