手なしむすめ/グリム童話=娘の心の美しさに惚れる王様が珍しく好印象!

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

手なしむすめ-グリム童話-イメージ

今回は『手なしむすめ/グリム童話』です。

文字数5000字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約13分。

父に両手を切られ、旅に出なければならなくなった手なし娘。私は神様以外に見捨てられた人間です。君が全世界に見捨てられていても、私だけは見捨てない。王様、かっこよすぎです。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

貧しい粉屋が薪拾いに森へ入って老人と出会う。老人は「お前の水車小屋の裏に立っているものをくれるなら金持ちにしてやる」と粉屋に言う。水車小屋の裏には大きなリンゴの木が生えているばかり。粉屋は老人と取引するが、ちょうどそのとき、水車小屋の裏では彼の娘が掃除をしていた。

老人は悪魔だった。約束の日、悪魔が娘を迎えにくる。信心深い娘は身を清め、白墨で描いた円の中に入っていた。娘に近寄ることのできない悪魔は「娘の手を切り落とせ、でないとお前をさらっていく」と粉屋を脅す。粉屋は娘に許しを請い、彼女の両手を切り落とす。しかし、娘の清らかな涙が傷口を清め、結局悪魔は退散するしかなかった。

粉屋は「お前のおかげで金持ちになれた。一生お前を大事にする」と娘に言う。しかし娘は「もうここにはいられません。やさしい人々が私に必要なだけ与えてくれるでしょう」と答えて旅に出る。

夜まで歩き続けた娘は王宮の庭に辿り着く。中央には梨の木があり、空腹の娘はそれを食べたいと願うが、梨の木は周りを堀で囲まれ、入ることができない。娘は跪いて神へ祈る。と、娘の前に天使が現れ、水門を閉じて堀の水を干上がらせる。娘は干上がった堀を渡り、口で梨を一つだけ取って食べると、藪の中へ身を隠した。

それを庭番が見ていて王に報告する。庭番は天使を連れた娘を精霊だと思い込んでいた。その夜、王は牧師を連れて、庭番と一緒に自ら庭を見張ることにした。娘が現れ、牧師が「精霊か、人間か?」と尋ねると、娘は「私は神様以外に見捨てられた人間です」と答える。王は心の美しい娘を愛し、「君が全世界に見捨てられていても、私だけは見捨てない」と、銀の手を与えて娘を妻にする。

やがて娘は子供を産む。その頃、王は長旅に出ていたので、王の母が手紙でそのことを知らせようとする。使者が途中の小川のそばで休憩していると、悪魔がその手紙をすり替えてしまう。手紙には「妃が怪物を産んだ」と書かれており、王は激しいショックを受けるも「妃と子を大事にしてほしい」と返信の手紙を出す。

使者は同じ場所で休み、またしても悪魔が手紙をすり替えてしまう。その手紙には「妃と子を亡き者にせよ」との命令が書かれていた。王の母にはその内容が信じられず、妃と子を哀れに思い、彼女たちを王宮から逃がす。

帰還した王は、母から事情を聞いて深く悲しみ、妻と子供を見つけるための放浪の旅に出る。一方、妃と子は森の中の小さな家で、天使に助けられながら暮らしていた。

王はついに妃と子の住む家を見つける。しかし妃の手は、自分が与えた銀の手ではなく、普通の手になっていた。王は本当に妃が自分の妻なのかを疑う。他方、子も父は神だと教えられていたので、目の前の王が本当の父だということを理解できない。しかし天使が銀の手を持って現れ、神が妃の手を再び生やしてくれたことを説明すると、父と母と子はすべてを納得して喜び合う。

その後、家族は王の母が待つ王宮へ帰り、幸せに暮らした。

狐人的読書感想

「君が全世界に見捨てられていても、私だけは見捨てない」

むむ。今回は珍しく、王様にすごく好感が持てるお話でしたね。グリム童話では、王様や王子様が娘の見た目の美しさに惹かれて求婚するパターンが多いように思うのですが、今回は「娘の心の美しさ」に王様が惹かれているところが狐人的には好印象でした。

悪魔の奸計により「妃が怪物を産んだ」と知らされたとき、激しいショックを受けつつ、「妃と子を大事にしてほしい」となったところも、男として父として、立派な態度だったと思います。

その後7年の長き放浪のはて、妻と子に再会したラストシーンも、童話なのであっさりしたものですが、想像をたくましくしてみると、感動できるところなんですよね。

王様の心の美しさのほうが際立っているように、僕には感じられたのですが、しかしタイトルも『手なしむすめ』となっているように、主人公は娘であって、主題もまた娘の心の美しさのほうにあるのだということが理解できます。

「娘の心の美しさ」とは、すなわち「信仰心」のことなのだろうと、僕は読んだのですが、どうでしょうね?

神様を信じ、罪を犯さず、生きていくこと。

グリム童話ということで、おそらくはキリスト教色が強い感じを受けましたが、しかしもっと根源的な、特定の宗教ではない、人の心の奥から自然と湧き上がってくる宗教性とでもいうべき感情のことをいっているような気がします。

現実問題として、いくら神様を信じて清く正しく生きているからといって、人が困難に直面したとき、神様が奇跡を起こして助けてくれる――なんてことはそうそうないように思います。

しかし、こうした童話に見られるように、どこかで神様の奇跡を信じずにはいられない心の表れも、また人間的な感情だと感じられてしまいます。

それが心の強さなのか弱さなのか、心の美しさって心の強さなのか弱さなのか、とか考え出すと、なかなかむずかしく思うのですが、どうでしょうね?

人の心の美しさを思う、今回の読書感想でした。

読書感想まとめ

娘の心の美しさに惚れる王様が珍しく好印象!

狐人的読書メモ

・『手なしむすめ』には「娘が手を切り落とされる」理由として、1.娘が父との結婚を承知しなかった、2.父が娘を悪魔に売った、3.娘が祈祷を拒もうとした、4.母の娘に対する嫉妬、5.小姑が娘を中傷した、などのパターンがある。

・日本にも同タイトルの民話があり、悪魔が継母になっていたりするが、ストーリラインはほぼグリム童話と同じである。

・『手なしむすめ/グリム童話』の概要

KHM 31。ヨーロッパ、ロシア、アフリカ、アジアなど、世界各地で同様の物語が確認されており、その内容にほとんど差異は見られない。「娘の心の美しさ=宗教性」について描かれているように思われるが、狐人的には王様の心の美しさが印象的な作品だった。

以上、『手なしむすめ/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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