妖僧記/泉鏡花=幻想怪奇小説、てか…(注.泉鏡花版『美女と野獣』ではありません)

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

妖僧記-泉鏡花-イメージ

今回は『妖僧記/泉鏡花』です。

泉鏡花 さんの『妖僧記』は文字数8000字ほどの短編小説。泉鏡花 さんの幻想怪奇小説、てか……。天外魔境に住む美女お通と蝦蟇法師。泉鏡花版『美女と野獣』、だったら素敵なのですが……。どんな小説なのか気になり始めたあなた、狐人的あらすじをどうぞ。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

金沢市の郊外にある黒壁くろかべは魔境として知られている。そこには山の集落がある。俗世との縁を断ち、出家・隠棲した者が四、五十ばかり暮らしている。

そこに、ある年の初夏から、世にも忌まわしい乞食僧こじきそうがうろつき始めた。年齢は三十四、五歳ほど、ずたずたに裂けた鼠色の法衣をまとっていて、その最大の特徴は、顔全体が鼻ともいうべき巨大な鼻だ。夕暮れ時、どこからともなく現れては、蝦蟇がま蛙を引き裂いて食らうことから、蝦蟇法師がまほうしと呼ばれた。

ここにもう一人、蝦蟇法師とは正反対に、玉のように美しい女がいた。清川お通といって、幼くして父を、一昨年に母を失くして天涯孤独の身、家にはただ召使いの老女がいるきりだった。巨額の公債のため、生活に不自由はなかったが、母の墓参りだけが日々の慰めとなっていた。

そんな墓参りの帰り道、お通の後をつける者の姿があった。蝦蟇法師だった。家に帰り着き、水浴びを終えたばかりのお通の前に現れて、「それは」と尋ねる。かねてより、この者は阿呆だと聞き及んでいたお通は、これに驚くこともなく、ただ「鏡」とだけ答えた。「何をするものか」とさらに訊く蝦蟇法師に、お通が鏡を向けると、鼻を飛ばして逃げ去った。

蝦蟇法師があまりお通につきまとうので、召使の老女がその鼻を針で突いて退散させた。その頃集落では、蝦蟇法師の住み家を見つけた者にきん一円を与える、といった賭け事が行われていた。これ幸いと、お通が止めるのも聞かず、老女は逃げる蝦蟇法師の後を追った。

人里離れ、恐ろし気な空気漂う谷間まで来たとき、ついに老女は見つかった。命乞いをする老女に、お通との間を取り持つよう要求する蝦蟇法師。命からがら逃げ帰った老女は、探索の結果を訊きに来た集落の者たちに、あれは魔の者に違いない、と震える声で訴えた。

以後、阿呆と蔑まれていた蝦蟇法師は、魔僧として畏れられるようになった。老女は蝦蟇法師の要求を、お通に言いあぐねていたが、恫喝混じりの催促を受けて、ついに話を切り出した。母が存命ならば、蝦蟇法師の妻になれとは絶対言わないと、断固拒否するお通。それならばと老女は一計を案じる。

曰く、親の許しがないまま妻になるわけにはいかないから、まず母上に請うように言うのです。そうすれば、母上はすでに亡くなっているから、それは出来ない相談というもの、さしもの蝦蟇法師も泣き寝入りするしかありません。

老女がこれを伝えてのち、黒壁に蝦蟇法師は現れなくなった。お通も老女もこれはうまくいったと思った。しかし黒壁から消えた蝦蟇法師は、お通の母の墓の前に結跏趺坐けっかふざして現れるようになった。

お通はそれを見て青くなった。

狐人的読書感想

妖僧記-泉鏡花-狐人的読書感想-イメージ

いかがでしたでしょうか。
これは泉鏡花 さんの幻想怪奇小説、……てかストーカー小説。
……ストーカー小説って(自分で言っておきながら、笑)。

狐人的あいさつのイメージ画像は、ストーカーする蝦蟇法師――じゃなくて、ストーカーするウシガエル――でもなくて、ストーカーする牛人間――でした(……しかしさすがに遠すぎるか)。

(中島敦 さんの『牛人』の読書感想はこちら)

さて、現代でこそ、アイドルへのつきまといやストーカー事件なんかが取り沙汰されていたりしますが、きっと昔から常にあったものが、近代になって社会問題化しただけなんだろうなあ……、とストーカーについての認識を新たにする思いがしましたが、どうでしょう?

とはいえ、恋愛に積極的になれない「草食系」とか、そもそも恋愛を求めていない「絶食系」とか聞くたびに、どうして恋愛絡みの事件のニュースが後を絶たないのかなあ、と不思議に思っていたのですが、肉食系を超える人と草食系を超える人とで、極端に二極化している傾向が、あるのかもしれませんねえ。

ところで、「草食系」の上を行く「絶食系」みたいな、「肉食系」の進化系というのもあるのでしょうか? ……調べてみると、「クリオネ系女子」というのがありました。これはどうやら、「流氷の天使」あるいは「氷の妖精」と謳われるクリオネの、じつは恐ろしい悪魔的な捕食シーンからきた呼び名みたいです。

最近は、「ネトスト(ネットストーカー)」というものもあるらしく、これは特定人物のSNSを監視して、その人の生活サイクルを突き止めたり、アップされた写真から自宅がバレるケースなどもあるのだとか。ネトストは、意外と女性の方のほうが多いらしいのですが、……便利な世の中と恐ろしい世の中は表裏一体、というようなことを思わされてしまいます。

ストーカーを一言で表すならば、そのまま「つきまとう人」となるわけですが、心理学的には5つのタイプに分類できるそうです。

  • 精神病タイプ
    精神病に起因するストーカー。アイドルなど芸能人につきまとうのはこのタイプが多い。
  • パラノイドタイプ
    インテリが妄想によってストーキングを行う。恋愛に挫折した経験あり。現実に自分とは無関係な相手を狙う。
  • ボーダーラインタイプ
    外交的・社交的な性格だが人格的に未成熟。他人の気持ちを忖度できない。濃密な人間関係を求めるあまり相手を支配しようとする。一般的に想像されるよりもずっと多いらしい。
  • ナルシストタイプ
    自分に自信があるあまり、拒絶した相手を付け狙う。恋愛に挫折した経験あり。人付き合いは深め。
  • サイコパスタイプ
    凶悪なストーカー事件を引き起こす犯罪者。サイコパス。

――といった感じですが、あくまでこれは一例にすぎず、研究者によって違う分類もあるとのこと。

……う~む、こうして並べてみると、たしかに創作のガジェットとして、おもしろい題材かもしれませんねえ、ストーカー。チャレンジしてみる価値ありか、ストーカー小説(やっぱり、笑)

ちなみに蝦蟇法師はどのタイプになるのか、考えてみましたが、……ボーダーラインタイプですかねえ、意外とフレンドリー(?)な様子でしたし、……鏡に映った自分の顔を見て逃げ出すあたり、ナルシストタイプは(教養面からパラノイドタイプも)なさそうですが、……サイコパスタイプでないことを祈るばかり?

そういえばこの蝦蟇法師もなかなか興味深いキャラクターのように思います。巨大な鼻というのはやはりインパクトがありますよね。

(鼻といえばこちらもどうぞ)

チキンみたいで美味しい、と聞く食用ガエルといえばウシガエルですが、……ガマガエルってどうなのでしょうね?

……調べてみたところ、分泌液に毒があるそうですが、下痢する程度ということで、ちゃんと処理すれば食べられなくはなさそうですが。

日本書記によれば、かつて関西圏では蝦蟇を煮たものを「毛瀰もみ」と呼んで食べていたらしく、これがとても美味だったことから「もみない=美味しくない」という方言が使われるようになったそうです。

……おそらく、この由来を知って使っている人はいなさそうですが。もみない……、聞いたことありますか?

読書感想まとめ

泉鏡花 さんのストーカー小説(笑)。

狐人的読書メモ

美女と野獣 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]てかほぼストーカー話しかしていない(笑えない……)。

ちなみに『天外魔境』はゲーム。エマ・ワトソン さん主演の実写映画『美女と野獣』は、2017年4月21日、日本公開予定。

・『妖僧記/泉鏡花』の概要

1902年(明治35年)『九州日日新聞』初出。泉鏡花 さんの幻想怪奇小説(てかストーカー小説……、しつこし?)。文語体なのでちょっと読みにくい。

以上、『妖僧記/泉鏡花』の読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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