桃太郎/芥川龍之介=桃の木の由来と善悪の逆転と都市伝説がおもしろい!

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

桃太郎-芥川龍之介-イメージ

今回は『桃太郎/芥川龍之介』です。

芥川龍之介 さんの『桃太郎』は文字数5800字ほどの短編小説です。とにかく斬新でおもしろかった! 日本神話に遡る桃太郎の桃がなる木の由来。独善的な桃太郎と平和主義者の鬼の善悪の逆転。本当は人から生まれた桃太郎? って本当? っていう都市伝説にも言及!

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

昔、ある深い山奥に一本の桃の木があった。枝は雲の上に広がり、根は大地の底、黄泉よみの国まで及んでいたという。なんでもこの桃の実は、天地開闢かいびゃくのころ、イザナギノミコトに由来するものであるらしい。この木は、世界の夜明け以来、一万年に一度桃の実をつける。そしてその中に、美しい赤子を一人ずつ孕むのである。一万年に一度結んだ実は、一千年の間地上へ落ちることはない――しかしある朝、一羽のヤタガラスがその枝に留まり、小さな桃の実を一つついばんで落とした。桃は遥か下界の谷川に落ちた。――こうして運命の歯車は回り始めたのである。

桃から生まれた桃太郎は、お爺さんやお婆さんのように、仕事に出るのが嫌だったので、鬼退治を思い立った。お爺さんとお婆さんは、そんな桃太郎にほとほと愛想を尽かしていたので、支度を整えてやり桃太郎を送り出した。

出発してまもなく、一匹の犬が桃太郎に声をかける。きびだんご一つで鬼退治のお供をすると言う犬に、桃太郎は半分ならばやろうと言う。犬はしばらく交渉するも、結局諦めて、きびだんご半分で桃太郎のお供をすることに。その後、同様に猿と雉を家来にした桃太郎は、一路鬼が島を目指して進む。

人間の世界から隔絶された鬼ヶ島は楽園であった。鬼たちは平和を愛する善良な種族だった。鬼ヶ島にやってきた桃太郎一行は悪逆非道の限りを尽くした。鬼の族長は生き残った数人の鬼とともに降伏した。命の代わりに鬼たちの財宝はすべて没収、族長の子供は人質に取られた。「私どもが、なぜこのような征伐を受けねばならなかったのでしょうか?」と平伏しながら問う族長に「鬼退治を志したゆえだ」と答える桃太郎。

人質に取った鬼の子供に財宝の乗った車を引かせ、犬・猿・雉の三匹の家来を従えて、日本一の桃太郎は得々と凱旋した。そして一生幸福に暮らしたのだった――かといえば、必ずしもそうはならなかった。鬼の子供は大きくなると、桃太郎のもとを脱走し、鬼ヶ島へ帰りついた。それ以来、鬼ヶ島では、五、六人の鬼の若者たちが、鬼ヶ島独立を夢見ながら、椰子の実に爆弾を仕込んでいた。やさしい鬼の娘に恋することも忘れて、黙々と、嬉しそうに見開かれた目を輝かせながら――。

桃の木は、いまも無数の実をつけている。ヤタガラスは、今度はいつ姿を見せるのだろうか。未来の天才はそれらの実の中に何人も眠っている。

狐人的読書感想

さて、いかがでしたでしょうか。

『桃太郎』と聞けば、日本人なら誰でも知っている有名なおとぎ話の一つですが、いったいいつ、どの段階で、この物語を知ったのか、まったく記憶がはっきりしません(みなさんはこの点いかがでしょうか?)。

しかし、芥川龍之介 さんが『桃太郎』をパロっていたとは……、恥ずかしながらこれまでまったく知らずにいました。『猿蟹合戦』も書いているようなので、近々読んでみたいと思います(また読書感想も書きたいと思います)。

しかしてしかし、芥川龍之介 さんの『桃太郎』とてもおもしろかったです。

日本神話の時代からあった桃の木がおもしろい

桃太郎-芥川龍之介-狐人的読書感想-イメージ-1

まずは冒頭、桃太郎の生まれる桃の実がなっていた木について言及されているところから惹き込まれました。日本神話の設定を巧みに織り込んで、桃の木に一つの独立した物語を与えている点が見事です。

イザナギノミコト、ヨモツヒラサカ、ヤタガラス……、こうした単語が出てくるだけで、なんだかワクワクしてくるのは、はたして僕だけ? たぶん『NARUTO -ナルト-』とか、漫画の影響を強く受けている表れだと自己分析するわけなのですが。

とか言いつつも、じつは日本神話に詳しいわけでもなんでもないので、せめて概略だけでも知っておきたいとは常々思っているのですが、なかなか重い腰が持ち上がらずに……。

『古事記』『日本書記』と聞くと、どうしても読みにくそうな印象を受けてしまい……、今度わかりやすく書かれた本を探してみたいと思います。

引き続き漫画話で恐縮なのですが、この霊樹ともいえる桃の木は、『HUNTER×HUNTER』(ハンター×ハンター)の世界樹を彷彿とさせます。「マグマを吸って、山脈に根付き、大気圏を越えてなおデカくなる」というやつです。

世界樹もまた僕にとっては興味深いモチーフの一つです。

『ドラクエシリーズ』の「せかいじゅの葉」、『世界樹の迷宮』、それから北欧神話の「ユグドラシル」、ヨルムンガンド……(このまま並べていくと話がどんどん別次元に行ってしまいそうなので、この辺りで)。

独善的な桃太郎と平和主義者の鬼がおもしろい

桃太郎-芥川龍之介-狐人的読書感想-イメージ-2

それから、各キャラクターの設定です。(狐人的には)とても斬新で、ひねくれものの僕としては、とても魅力的に映りました。

独善的な桃太郎、そんな桃太郎に愛想を尽かしているお爺さんとお婆さんが唯々諾々と従う姿は、どことなく現代の親子関係を思わされてしまいます。

家来になる犬・猿・雉にあげるきびだんごを、半分に値切ろうとする桃太郎のがめつさ。「所詮しょせん持たぬものは持ったものの意志に服従するばかり」としぶしぶ従う三匹の姿とその気苦労を思うと……。

そして、なんといっても平和主義者の善良な鬼たち。節分の豆まきが象徴しているように、日本人にとってやはり鬼といえば悪者の代名詞なわけですが、その固定観念を打ち砕く設定と物語展開。なんにも悪いことをせず、ただただ平和に暮らしていた鬼たちに対する桃太郎の非道な仕打ちには、憤らずにはいられません!

これは戦時中、侵略国家と化していく日本を風刺したものとも捉えられるそうです。それ以前にも豊臣秀吉 さんの朝鮮出兵があったことを思い出します。学校の歴史の教科書ではこれを「天下統一を果たした秀吉の領土拡張政策」や「家臣団の不満のはけ口として」などと教えられるそうですが、じつは当時着々と植民地を拡げていたスペインに対する牽制であった、という話もあります。

こうした日本の侵略の歴史を戒める寓意が含まれているようにも思えますが、元寇など、日本も侵略を受けている例もありますので、なかなか一概にはいえないところかもしれません。

「勝てば官軍、負ければ賊軍」という、まさに戦争由来のことわざがありますが、「正義と悪」は、必ずしも確固たる概念ではなく、おとぎ話の『桃太郎』を「桃太郎=正義」が「鬼=悪」を成敗する勧善懲悪の物語としてしか捉えていなかった僕にとって、この桃太郎と鬼のキャラクター性の逆転はとても新鮮に映りました。

ラストでは、桃太郎に悲惨な目に遭わされた鬼たちは、その復讐と鬼ヶ島独立のため、テロの準備を嬉々として着々と進めている描写があります。

一つの非道が復讐を呼び、その復讐がさらに新たな復讐の芽を育てて、憎しみの連鎖が続いていく……、誰かが耐えなければいけない、だけどいったい誰が耐えなければならないのか? 現代の世界情勢をも思わせるお話です。

ごちゃごちゃ書き連ねてしまいましたが、要するに「戦争ダメ絶対!」ということなのですが、言うは易く行うは難し……。

(同様に憎しみの連鎖について思わされた小説はこちら)

本当は人から生まれた桃太郎? がおもしろい

桃太郎-芥川龍之介-狐人的読書感想-イメージ-3

ここからは、ちょっと芥川龍之介 さんの『桃太郎』を離れて、原典であるおとぎ話の『桃太郎』に触れてみたいと思います。

調べてみると、これはモチーフとしてなかなか興味深い物語で、芥川龍之介 さんがパロったのも頷ける作品です。

近年ではauの三太郎CMが人気を集めていますよねえ(桃太郎は松田翔太 さん)。狐人的には、ペプシの桃太郎CM(小栗旬 さん)が、映画みたいでカッコよくていいと思うのですが(余談)。

このパロディに、僕もぜひチャレンジしてみたく思ったのですが、芥川龍之介 さんの『桃太郎』を読んでしまったいまはたして――といった感じ。

さらに余談ですが、あの太宰治 さんも、『桃太郎』を書こうとして断念したそうです。その理由は「自分は実際に見聞きしたものしか書けず、見たこともない絶対不敗の豪傑は書けない」とのことでした。

全然関係ない話を連ねてしまいましたが、有名な作品だけに、秀逸なパロディ作品が数多く作られていて、それを読んでしまうと二の足を踏まざるを得ない今日この頃、といったお話なのでした。

さて、本題のおとぎ話の『桃太郎』のお話ですが。

桃から生まれてくる現在の『桃太郎』の物語は、明治時代に、「子供はどうやって生まれてくるの?」といった子供の質問に、親が「桃から生まれてくるんだよ」と答えられるよう、明治時代に確立されたものなのだとか。

では、それ以前の桃太郎は「どうやって生まれてきたの?」ということなのですが、じつは中国の西王母伝説や日本神話に見られるように、桃は不老不死の霊薬とされていて、これを食べたお爺さんとお婆さんが若返り――結果、桃太郎が生まれた、というストーリー展開だったそうです。

また、桃は女性そのものを示していた、という説もあります。子供ができなかったお婆さんは、拾ってきた若い娘に……、ということで桃太郎が生まれてきたのだとか。娘から子供を取り上げる行為が、桃を割る行為だったと解釈できるそうで、なかなかおもしろい説です。

さらにさらに、これは都市伝説になってしまうようですが、成長した桃太郎は、なんとお婆さんを愛し合うようになり、二人で計画してお爺さんを……、といった、ま、まあ、それはそれでおもしろそうだけど……、といったifストーリーみたいなのもあって、やはりモチーフとしての興味は尽きません。

他にも、犬・猿・雉が象徴するものとは、じつは女の子だった桃太郎、「お爺さんは山へ柴刈りに……、お婆さんは川へ洗濯に……」は男女平等の観点からよろしくない――などなど、おもしろそうな話がたくさんあって、また別の機会を得てまとめてみたいところです。

読書感想まとめ

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とにかく斬新でおもしろかった! (モモキュンソード?)

僕は、とくに冒頭とラストにある桃の木の言及に惹きつけられましたが、登場キャラクターの設定、桃太郎と鬼の善悪の逆転、都市伝説的な『桃太郎』などなど、興味の尽きない物語です。

狐人的読書メモ

読書感想でちょっとだけ触れた太宰治 さんも、『浦島太郎』『カチカチ山』『舌切雀』などのパロディ作品を書いているそう。芥川龍之介 さんの『猿蟹合戦』とともに読んでおきたい作品。

・『桃太郎/芥川龍之介』の概要

1924年(大正13年)、『サンデー毎日』にて初出。おとぎ話『桃太郎』のパロディ作品。日本が中国を植民地化したことを訴える内容。とにかくおもしろかった。おすすめ。

以上、『桃太郎/芥川龍之介』の読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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