電報/織田作之助=彼の優しさが女性軽視に思えることある?

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

電報-織田作之助-イメージ

今回は『電報/織田作之助』です。

文字数2500字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約8分。

三人の男が、お世話になったひとの遺児を育てていて、そこに三人娘との恋愛模様も描かれて、ほのぼのハートフルストーリー。大相撲、救命、女性軽視…けれど頼りになるのはやっぱり女性!?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

三人の帰還軍人、照井、白崎、稗田は、瀬戸内海沿岸のある小さな町のはずれに、一軒の家を借りて共同生活をしている。

その家にはもう一人の家族がいて、それは七歳の少年で、小隊長と呼ばれている。小隊長は三人の所属部隊の中隊長だった人の遺児だ。三人は天涯孤独となった少年を引き取って、共同で育てていた。

三人は、毎朝千代という若い娘が馭者をしている乗合馬車に乗って、町の会社へでかける。ある日の夕方帰ってくると、一人留守番しているはずの小隊長がいないので、迷子になっているのでは……と、心配する。

が、まもなく、小隊長は右隣の退職官吏の一人娘、一枝の自転車のうしろに乗って帰ってくる。照井は「女だてらに自転車に乗るなんてけしからん」と、毛虫を噛んだような顔をする。

この件があって、三人は相談して、左隣の鶴さんに留守番を任せることにする。鶴さんはオトラ婆さんと夫婦で暮らしているが、夫婦げんか以外することがなく、これ幸いと別居生活をはじめる。

サイパン島の悲愴なニュースが伝えられると、「やっぱし、飛行機だ。俺は今の会社をやめる」と、突然照井が言い出して、大晦日に帰ると答えたまま大阪の工場へ行ってしまう。やがて白崎も稗田もこれに続く。

これを機に鶴さんはオトラ婆さんと仲直りして、小隊長と三人で暮らし始めるが、やはり「大晦日には帰る」と言い残して、炭鉱へ働きに行ってしまう。「あたしゃ一杯くわされた」とオトラ婆さんは嘆く。

小隊長が盲腸にかかり、一枝、千代、千代の隣に住み駅の改札員をしている芳枝の看病で一命を取りとめる。以来、三人娘はオトラ婆さんと一緒に泊まり込み、小隊長の面倒を見るようになる。

小隊長、オトラ婆さん、三人娘は大晦日のくるのを待つが、なぜ、誰を待つのだろう。

大晦日がきた。まずは稗田が千代の馬車に乗って帰ってくる。その後、照井、白崎の順で帰ってくるが、鶴さんだけが戻らない。やがて、自転車に乗った一枝が電報を持ってやってくる。

『増産のため、正月休み返上、帰らぬ』

オトラ婆さんは自分も選鉱婦をするのだと出かけようとする。三人も、じゃ俺たちも工場へ帰ろう。

小隊長の面倒は三人娘に頼むことにして、一同は千代の乗合馬車に乗り込み、夜明けの海沿いの道を行く。途中、駅から帰ってくる芳江に会い、芳江も馬車に乗る。白崎が赤くなる。

昭和二十年の元旦の太陽が、前方の海に昇りはじめる頃、「照井さアん!」と呼ぶ声がして、馬車のうしろから一枝が一所懸命、自転車に乗って馬車のあとを追う。

田舎道を、乗合馬車が行き、それを一台の自転車が追いかけていく――昭和二十年元旦の夢を、はや先日見たので、私はこんな短い物語を作ってみた。

狐人的読書感想

昭和二十年の元旦ということで、時代背景はやはりちょっと古臭く感じてしまいますが、ほのぼのハートフルな雰囲気があります。

照井と一枝、白崎と芳江、稗田と千代、そして鶴さんとオトラ婆さんのカップリングがこの先どうなるのか、小隊長がどのように成長していくのか、続きが読みたくなるような短編小説でした。

友人関係にある三人の独身男が、同じようにお世話になったひとの遺児を、共同生活しながら育てていき、そこに三人娘との恋愛模様を織り交ぜていくといったストーリー構成は、創作のモチーフとして、とてもおもしろそうですね。どこかに似たような物語があるような気さえしてきます。

今回一番印象に残ったのは、あまり本筋とは関係ないのですが、照井が一枝に「女だてらに自転車に乗るなんてけしからん。女は男の真似はよした方がいい」と、苦言を呈するところなんですよね。

昭和という時代、昔の日本では当然のことで、とくにそういう意識があったわけではないのかもしれませんが、やはり女性を軽視するような、「女性蔑視」の意味を感じ取ってしまいます。

「だって、今は女だって男の方のすることを……」と一枝が反論しようとしているように、いまこんなことを言ってしまえば大バッシングを受けてしまいそうですが、しかしそんな現代でも、女性蔑視や女性差別を思わされるできごとは起こっていたりします。

先日(2018年4月4日)に行われた大相撲の京都・舞鶴市巡業でも、挨拶の途中で突然倒れてしまった市長を救命救急しようとして、女性が土俵の上に上がり、そのことについて「女性は土俵から下りてください」との場内アナウンスがあったとして、大きな話題になっていました。

「土俵は女人禁制」のしきたりは、ただの相撲の形式や伝統であって、女性差別とはまったく違うことなのかもしれませんが、しかしそれを見ている人が女性差別や蔑視を思わされてしまうような伝統や慣習といったものは、変えていくべきなのかもしれないなあ、と、ただ単純に思ったんですよね。

とはいえ、男性の女性に対するやさしさや気遣いが、その女性からしてみれば女性蔑視だと捉えられてしまうこともあるので、こういった問題はなかなかに難しく、一概には語れないところがあると再認識したりもします。

照井も(君がとても大事で、自転車に乗ってケガなどしてはいけないから)「女だてらに自転車に乗るなんてけしからん」と言ったのかもしれませんしね(違うか?)。

男のやさしさも、女からしてみればときに女性蔑視と感じられるかもしれないけれども、好きな相手だったらなんだって許せちゃう?――個人の感じ方の問題は本当にややこしいよね、と感じた、今回の読書感想でした。

読書感想まとめ

彼の優しさが女性軽視に思えることある?

狐人的読書メモ

・大相撲の救命救急の話も、この小説の話も、「やっぱり頼りになるのは女性!」って気になってしまう。

・逆に「男ならもっと男らしく!」みたいな女性の発言も、男性差別だということになってくるのかもしれない。

・デートでお金を出してもらったりする場合とか、女性が女性であるために男性に甘えられる面もある。

・男性と女性と、性差別の意識というのは、本当にややこしいと思う。

・『電報/織田作之助』の概要

1944年(昭和19年)『週刊朝日』にて初出。1976年(昭和51年)『定本織田作之助全集 第六巻』(文泉堂出版)に収録。ほのぼのハートフルな感じで、続きが読みたくなる。女性蔑視について考えたりもした。

以上、『電報/織田作之助』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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