狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『売られていった靴/新美南吉』です。
文字数600字ほどの童話。
狐人的読書時間は約1分。
1分で読める童話。
だけど生産・製造・接客など
ビジネスで大切な心得を思い出させてくれる。
minneやメルカリでハンドメイドを販売している
あなたもきっと共感できる!
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
(全文です)
『売られていった靴/新美南吉』
靴屋のこぞう、兵助が、はじめていっそくの靴をつくりました。
するとひとりの旅人がやってきて、その靴を買いました。
兵助は、じぶんのつくった靴がはじめて売れたので、うれしくてうれしくてたまりません。
「もしもし、この靴ずみとブラシをあげますから、その靴をだいじにして、かあいがってやってください。」
と、兵助はいいました。
旅人は、めずらしいことをいうこぞうだ、とかんしんしていきました。
しばらくすると兵助は、つかつかと旅人のあとを追っかけていきました。
「もしもし、その靴のうらの釘がぬけたら、この釘をそこにうってください。」
といって、釘をポケットから出してやりました。
しばらくすると、また兵助は、おもいだしたように、旅人のあとを追っかけていきました。
「もしもし、その靴、だいじにはいてやってください。」
旅人はとうとうおこりだしてしまいました。
「うるさいこぞうだね、この靴をどんなふうにはこうとわたしのかってだ。」
兵助は、
「ごめんなさい。」
とあやまりました。
そして、旅人のすがたがみえなくなるまで、じっとみおくっていました。
兵助は、あの靴がいつまでもかあいがられてくれればよい、とおもいました。
狐人的読書感想
靴屋のこぞう兵助が、初めて作った靴が売れてうれしくて、舞い上がってしまいお客さんにあれこれ言った結果、ウザがられてしまったという、なんだか「あるある」なお話のように感じました。
でも実際に、自分で作ったものが売れてうれしい、という経験は、なかなかできないように思ったのですが、どうでしょうね?
現代は何でも工場大量生産なので、なかなか自分が作ったものに思い入れを持つような時間も少ないのかな、なんて考えてしまいます。
しかし最近は、ハンドメイドの雑貨やアクセサリーを、『minne(ミンネ)』とか『mercari(メルカリ)』とか『Creema(クリーマ)』とか、販売サイトで売ることができるので、意外と兵助に共感できるひとは多いのかもしれません。
またしても最近のことですが、農家の人(生産者)が作った野菜や果物が、食品加工業者やさらにその先の消費者に届くまでを追ったテレビ番組を見たのですが、食べる人たちの「おいしい」という生の声を聞いて、うれしそうな農家の人の感想が印象に残っていたりします。
自分が手間暇かけて作った商品を、お客さんが気に入ってくれて、お金を払って買ってくれたら、やっぱりうれしいですよね。
お金をもらえるだけじゃないやりがいが、そこにはあるように思えます。
そんなわけで、ついつい、いろいろ言ったり、サービスしたくなる兵助の気持ちは、ものを作って売ったことのない僕にも想像しやすい気がしました。
しかしながら、そのうれしい気持ちのままに、お客さんが求めていないことまであれこれアドバイスしたり、サービスしたりするのは逆にお客さんに迷惑がられてしまう、ということが、本作には描かれているんですよね。
お客さんが求めていないサービスを押しつけるのではなくて、お客さんが口にしない、だけど本当に求めていることを敏感に感じとって、それに見合ったアドバイスやサービスを提供しなければならないという――接客業の難しさを想像します。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」
もしも接客をするような機会があれば、ぜひ意識しておきたいことのように思いました。
とはいえ、
「初心忘るべからず」
ともいいますよね。
最初のモチベーションを保ち続けることもまた難しく感じますが、何事においても初心は、たまには思い出したい気持ちです。
1分足らずで読めて、接客で大切なこと、初心を大切にすること、などを改めて思い直すことができるので、忙しく働いている方々におすすめしたい作品です。
読書感想まとめ
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」
あるいは、
「初心忘るべからず」
とくに忙しく働くあなたに読んでほしい作品です。
狐人的読書メモ
本作の主人公・兵助は靴屋のこぞう(靴職人)だが、現代では靴もやはり大量生産されるものになっているので、オーダーメイドの靴を作る靴職人という職業が、現在でも成り立っているということを、恥ずかしながら最近知った。
いま何かと話題の貴乃花親方、そのご長男(花田優一さん)が靴職人だと、テレビで紹介されているのを見て知った。完全オーダーメイドで世界に一つだけしかない靴のお値段は15万円くらいするらしい。
そういえば、老舗の足袋製造業者がランニングシューズの開発に挑戦する、テレビドラマ『陸王』も話題になった。
……靴職人ブームがきてる?
・『売られていった靴/新美南吉』の概要
「ごんぎつね 新美南吉童話作品集1」収録作品。仕事をする上で大切なことを教えてくれる。ビジネスシーンの一コマが描かれている。
以上、『売られていった靴/新美南吉』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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