地球図/太宰治=努力は必ずしも報われるわけじゃない、しかし……。

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

地球図-太宰治-イメージ

 

今回は『地球図/太宰治』です。

文字7000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約26分。

三年、日本語、勉強シタ。荒海、越エテ、ヤッテキタ。着物、チョンマゲ、刀デ変装シタ。ダケド幕府ノ役人ニ捕マッチャッタ。彼の努力は全部無駄だったのか。努力は報われないのだろうか。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

宣教師シロオテは三年、日本の風俗と言葉を勉強し、さらに三年、屋久島で捕らえられる。長崎へ護送されるが、勉強のかいなく言葉が通じず、いよいよ江戸に送られることになる。

この取調べに当たったのが新井白石あらいはくせきだった。シロオテの日本語は思ったほどわからないものではなく、古い世界地図に正確な指摘をしたり、白石はシロオテの人格と学識に感銘を受ける。

しかし白石は、シロオテの目的である布教やキリスト教そのものには大して興味を持たなかった。それでも幕府には従来の規定を破る意見上申を行った。

(当時の幕府の方針は、宣教師は見つけ次第拷問し、棄教させるのが最良とされていた)

一、上策 本国送還(これは難しく見えるが一番易しい)
二、中策 囚人として幽閉(これは簡単なようでじつは難しい)
三、下策 処刑(これは簡単なようで実際簡単)

幕府の選択は中策だった。シロオテは当時としては破格の待遇を受け、茗荷谷の切支丹屋敷で軟禁されることになるが、監視兼世話係であった長助・はるの老夫婦に布教したことが発覚、折檻され亡くなった。

シロオテの墓標として屋敷の庭に植えられたえのきは、ヨワン榎と謳われた。

狐人的読書感想

実際にあった話みたいですね。

シロオテさん(ヨワン・バッティスタ・シロオテ)は、シドッチさん(ジョヴァンニ・バッティスタ・シドッティ)のことをいっているようで、後者の呼び方のほうが一般的みたいです。

シロオテさんは一生懸命日本語と日本のことを勉強して、長く険しい航海を経てようやく日本にやってきましたが、鎖国中の江戸幕府に捕らえられてしまい、布教の目的を果たすことなく亡くなってしまったようです。

三年も勉強した日本語がまったく通じなかったというのはむなしいですね。他にもいろんな苦労をしてきたのに、目的を果たせなかったという結末は、やっぱり無駄でばかばかしいと思ってしまいます。

「努力は必ずしも報われるわけじゃない」

ということが描かれている作品なんですかね、これ……。

キリスト教がある、いま日本を鑑みるに、ヨワン榎の挿話はそのことを示していて、シロオテさんの努力は決して無駄ではなかったのだ、というお話なのかもしれません。

とはいえ、唯一布教できた長助・はるの老夫婦も一緒に地下牢送りになってしまっているようなので、シロオテさんの布教活動がのちに実を結んだのだとは言いにくいかもしれません。

本作ではシロオテさんへの幕府の扱いは冷たいように思われるのですが、実際にはそれほど冷遇されていたわけではなかったみたいです。新井白石さんがシロオテさんの学識に感銘を受けたことが大きかったみたいです。

その経緯をもとに書かれた『西洋紀聞』『采覧異言』がのちの開国にもつながっていったのだと思えば、やっぱりシロオテさんのやったことは無駄ではなかったようにも感じられます。

自分が報われたことを実感できない努力って、どうなんでしょうね?

自分がすごいがんばっても、それが生きているうちには認められずに、しかして自分が亡くなったあとにそれが認められるって、はたして報われたことになるのかなって、考えさせられてしまいます。

自分が生きているうちに報われず、亡くなってのち報われるというのは、他人の勝手な感傷に過ぎず、やっぱりむなしいような複雑な思いがするのですが、しかし努力しなければ決して報われることはない、ということも、また言えるのかもしれませんね。

報われるか報われないかはわからないけれども、やっぱり人は努力するしかない、と思った、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

努力は必ずしも報われるわけじゃない、しかし……。

狐人的読書メモ

・シドッチは「日本に開国を促す非公式な教皇使節だった」という見方もあるらしい。

・『地球図/太宰治』の概要

1935年(昭和10年)『新潮』にて初出。『晩年』収録。実際の話で、芥川龍之介の「キリシタンもの」の形式を借りているとのこと。シドッチの姿はかなしくてむなしくも、信念や努力の大切さを学んだようにも思う。

以上、『地球図/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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