烏の北斗七星/宮沢賢治=人間は戦争をなくすことができるだろうか?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

烏の北斗七星-宮沢賢治-イメージ

今回は『烏の北斗七星/宮沢賢治』です。

文字数5500字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約15分。

一兵士の祈り。自分が勝つのがいいのか、敵が勝つのがいいのか、わからない。でも決まったように戦うしかない。憎まないでいい敵を憎みたくない。早く戦争のない世界がきますように。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

総勢百羽を超える烏の義勇艦隊かんたいがある。演習を終えた夜、烏の大尉はすぐ営舎には戻らず、いちばん声のいい砲艦のいる枝へと向かう。彼女は烏の大尉の許嫁いいなずけだった。

烏の大尉は、明日山烏との大きな戦闘があり、生きては帰れないかもしれない……と、彼女に告げる。彼女はそれを聞いてひどくうろたえる。

夜中、烏の大尉は眠れぬ夜を過ごしていた。

マジエル様と呼ぶ烏の北斗七星ほくとしちせいに祈った。

(明日の戦い、私が勝つのがいいのか、敵の山烏が勝つのがいいのか、わからない、ただあなたのお考え通り、私は私に決まったように、力いっぱい戦います)

夜明け頃、烏の大尉は北の栗の木に敵の山烏を見つけ、自隊に非常招集・突撃命令を下し、自ら先陣を切って飛び出していく。不意を突かれた山烏は、烏の大尉の隊にあっけなくやられてしまう。

明け方、観兵式が行われる。隊に損害はなかった。艦隊のみんなも烏の大尉も、熱い涙をこぼす。

烏の大尉は少佐に昇進することが決まるも、撃墜した山烏を思いあたらしいなみだをこぼす。新しい少佐は、敵のなきがらを厚く葬る許可を得て下がると、マジエルの星を仰いだ。

(ああ、マジエル様、どうか憎むことのできない敵を討たなくていいように、早くこの世界がなりますように。そのためならば、私の体などは、何べん引き裂かれてもかまいません)

美しくまっ黒な砲艦の烏は、また許嫁と一緒に演習できるうれしさに、きらきら涙をこぼしていた。

狐人的読書感想

戦争について描かれている童話のようですね。

烏の義勇艦隊に所属する烏の大尉を通じて、否応なく戦争に赴かねばならない一兵士の心情が伝わってきます。

反戦ということよりも、戦争に行かねばならない一人の人間の率直な気持ち、ということが印象に残ります。

戦争では敵の命を奪わなければなりませんが、しかし敵といえども同じ人間、自分と同じように家族、友達、恋人がいるはずで、どちらが勝つのが正しいのか……わからない気持ちはよくわかります。

戦争中の日本では、家族のためにお国のためにと、喜んで戦争に行く若者たち、戦争を良しとする風潮が蔓延していたと聞きますが、そんな世界は間違っていたんだと思わされます。

戦争に行った人たち、戦争に行く人たち――当然みんな好きで戦争に行くわけじゃないんですよね。みんなが望んでいないのに、なんで戦争が起こるのか、とても不思議に感じてしまいます。

一説には「増えすぎた人口の調整機能としての戦争」なんていわれたりしますが、だからって、戦争は起きても仕方がない、どうにもできないことだ、とは考えたくない自分がいます。

しかしながら、戦争を扱ったゲームやマンガやアニメをおもしろいと感じてしまう自分がいて、人を憎んでしまう自分がいて――では人間から感情がなくなれば戦争もなくなるのではなかろうか、などと想像してみますが、それでもやっぱり戦争はなくならないような気してしまいます。

感情を持たないような生き物でも互いに争うことはあり、それもやはり個体数を調整するための機能に過ぎないのだと考えれば、人間の戦争もそういうものとして受け入れるしかないのかと考えてしまいます。

だけどそうしたくないと思える心があるからこそ、知恵と技術があるからこそ、人間は戦争をなくすことができるかもしれない、という希望も抱いてしまうんですよね。

烏の北斗七星、マジエル様に祈った烏の大尉と同じように「早く戦争のない平和な世界になりますように」と祈らずにはいられませんが、一方で、それを不可能に感じている自分もいて――

結局何が言いたいのかよくわからない、今回の狐人的読書感想になってしまいました。

読書感想まとめ

人間は戦争をなくすことができるだろうか?

狐人的読書メモ

・一見、反戦色の強い作品に思えるが、宮沢賢治自信はそこまで強い反戦思想を持っていたわけではなかったようだ。

・特攻隊員だった佐々木八郎が手記の中でこの童話について触れており、「憎まないでいいものを憎みたくない、軍の指導者達の言う事は単なる民衆煽動の為の空念仏としか響かない」ということを語っている。

・特攻隊も本心では戦争を望んでいなかった、という点について、考えさせられる。

・1924年(大正13年)『注文の多い料理店』(盛岡市杜陵出版部・東京光原社)にて初出。広告文(新刊案内)に「戦うものの内的感情です。」とある。強い反戦思想というよりは、ひとつのヒューマニズムが描かれている作品と捉えるべきか。

以上、『烏の北斗七星/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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