死神の名付け親/グリム童話=神様、悪魔、死神、平等なのは誰だ?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

死神の名付け親-グリム童話-イメージ

今回は『死神の名付け親/グリム童話』です。

文字3000字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約8分。

神様と悪魔と死神。金持ちに与え、貧乏人にくれないのは誰? 人をだますのは誰? みんなに平等なのは誰? 自分の子供に名前をつけてもらうなら誰がいい? テケレッツのパー。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

貧しい男に十三人目の子供が生まれる。男は名付け親を探して街道に出る。すると神様が現れて名付け親になってくれるという。男はそれを断る。

「神様は金持ちに与え、貧乏人には何もくれない」

つぎは悪魔が名付け親に名乗り出る。男はそれも断る。

「悪魔は人をだまし、道を踏み外させる」

そのつぎは死神だ。男は死神に名付け親を頼むことにする。

「死神はみんなに平等だ」

やがて男の子が成長すると、名付け親の死神が現れる。死神は男の子を森の薬草の群生地に連れて行く。

「お前を医者にしてやる。私が病人の枕元に立っていれば、お前は病人は治ると言って、この薬草を使うといい。だが、私が病人の足元に立っているとき、その病人は誰にも救えない。決して私の意に背き、薬草を与えないように。そうしなければお前がひどい目に遭うよ」

彼は世界一の名医になる。病気の王様が彼を呼ぶ。死神が足元に立っていたので、彼は王様に治る見込みがないと言わなければならなかったが、一度だけ……と、王様の寝る向きを反対にして死神を枕元に立たせる。彼が薬草を使うと王様の病気は治る。

「私を裏切ったね。しかし今回だけは許してやろう。ただし二度めはない。つぎに同じことをしたら、私はお前を連れて行くことになる」

まもなく王様の娘が重病になる。彼は姫の美しさに目がくらみ、再び死神の言いつけをやぶってしまう。

「お前の命運は尽きた」

死神は彼を冥界の洞穴に連れて行く。そこには人の命のろうそくが無数に立ち並び、彼のろうそくはいまにも消えそうになっている。

「ああ、僕に新しいろうそくをください。古いろうそくの火を新しいろうそくに移してください」

死神はろうそくの火を移そうとするとき、わざと間違えて小さなろうそくを落としてしまう。ろうそくの火はフッと消え、彼はその場に倒れた。

狐人的読書感想

おもしろかったです。本作は初代三遊亭圓朝さんという方によって、『死神』という古典落語の演目の一つになっているそうで、(落語になるくらい)おもしろさには定評のあるグリム童話だといえそうですね。

『死神の名付け親』は前の『名づけ親さん』の完成版とでもいうべき作品となっていて、たしかに完成度が上がっています。

まず、貧しい男が名付け親を探す冒頭からおもしろいと感じます。

男の前には神様・悪魔・死神が現れて、「名付け親になろう」と名乗り出ますが、男は神様と悪魔を断り、死神に名付け親をお願いします。

その理由は「神様は金持ちに与え、貧乏人には何もくれない」「悪魔は人をだまし、道を踏み外させる」というものでした。

悪魔はともあれ神様の申し出を断るなんて……と思ってしまったのですが、理由を聞いてみるとたしかに頷けるんですよね。

もし人間に都合のいい神様がいるのなら、みんなが平等に富んでいるわけで、そうじゃないということは「神様なんていない」とも言えるわけで、「ひょっとして神様詐欺?」って思えるような、グリム童話にしては珍しく反神論的な内容だと思いました。

死神が平等っていうのもどこか納得できる理由なんですよね。……まあ、実際人の寿命は平等ではありませんし、しかし寿命を決めてるのは死神ではなく神様ってことも言えるかもしれず、同じように命を連れて行くって点ではやっぱり死神は平等なんですかね?

(貧しい男がひねくれものなだけ? って、ちょっと共感を覚えてしまうところですが……、汗)

本作の死神のイメージは自分の持つイメージと近い感じがします。死神は本来慈悲深い神様だという話をどこかで聞いたことがあります(どこで聞いたか思い出せませんが)。

一回の裏切りは許してくれるあたり、やっぱり死神は悪い存在ではないように思えるんですよね。

名付け親に比べて名付け子の方はダメダメって気がしました。たしかに人の命を救えるならそれはすばらしいことですが、恩人ともいうべき死神との約束をやぶってしまうのはいただけません。

しかも、「一度くらいなら」とか「僕に新しいろうそくをください」とか、甘い考えが見えるんですよね。

「親には甘えたくなりますが、甘えちゃダメだよ」って話なんですかね、これ。あるいは「親は子を甘やかしちゃダメだよ」って話? 親が死神(神様の一種)としているところも、なんだか考えさせられます。

……ひょっとして、親でも神様でも、甘えるにしても覚悟して甘えるようにってこと?

そんな感じの今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

神様、悪魔、死神、平等なのは誰だ?

狐人的読書メモ

・ろうそくの火は生命の象徴とされ、息(息吹)で吹き消すのは縁起がよくないとされている。

・……バースデーケーキのろうそくはどうなんだろう、と思ったが、こちらは由来が違うらしい(ギリシャ神話のアルテミス)。

・考え方はそれぞれ。

・『死神の名付け親/グリム童話』の概要

KHM44。原題は『Der Gevatter Tod』。三遊亭圓朝の落語『死神』の原典とされる。ドイツの民間信仰には「運命の女神ノルン」がいて、死神に通じる存在と考えられる。グリム童話の寿命感が現れている。

以上、『死神の名付け親/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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