どんぐりと山猫/宮沢賢治=いつまでも子供のままでいたいと思う?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

どんぐりと山猫-宮沢賢治-イメージ

今回は『どんぐりと山猫/宮沢賢治』です。

文字数6500字ほどの童話。
狐人的読書時間は約16分。

山猫からハガキがきて森に入る。愉快な仲間達と出会って、黄金のどんぐりをもらって帰ると、黄金のどんぐりは普通のどんぐりに戻っていて…いつまでも子供のままでいたいのに。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

秋の土曜の夕方、一郎のところに山猫からハガキが届く。明日、面倒な裁判があるから来てほしいという。一郎はこれを見て大喜びする。

翌日、一郎は山猫を探すため森に入る。

森の中で、栗の木、笛吹き滝、きのこ、リスに出会い、山猫の居場所を尋ねると、山猫は馬車に乗って東奔西走していることがわかる。

一郎は、かやの森の奥に広がる草地に足を踏み入れ、そこで異様な風体の馬車別当と遭遇する。どうやら山猫の手下らしく、ハガキはこの別当が書いたらしい。

ハガキの文章は拙く、間違いもあったが、一郎が気を遣ってお世辞を言うと、別当はとても喜ぶ。

そのうちに山猫が姿を現す。

すぐにどんぐりたちが集まってきて、いよいよ裁判が始まる。

どんぐりたちは、仲間うちで誰が一番偉いか、言い争いをしていた。頭の尖っているのが一番偉い、丸いのが一番偉い、大きいのが一番偉い――山猫は困ってしまい、一郎に助言を求める。

一郎は前に聞いた説法から、「一番馬鹿で、めちゃくちゃで、まるでなってないのが一番偉い」と言うよう、山猫に教える。

山猫がそれを言ったとたん、どんぐりたちは黙ってしまう。

問題が解決し、山猫は大喜びで一郎に感謝し、名誉判事にならないかと誘う。さらに、自分の威厳を見せるため、ハガキの文言を「出頭すべし」にしてよいか、悪気なく尋ねるが、一郎はそれを丁寧に断る。

では、お礼に塩鮭の頭か黄金のどんぐりを持ってお帰りください、という流れになり、一郎が黄金のどんぐりを選ぶと、山猫はほっとする。

一郎が家に帰ると黄金のどんぐりは茶色に戻り、以後山猫からのハガキはこなかった。一郎は「出頭すべし」と書いてもいいと言えばよかったかなと、ちょっと残念に思うのだった。

狐人的読書感想

とんち的なお話なんですかね。

「一番威張らない者、謙虚な者が一番偉いんだ」ということが、この童話の重要なひとつの主題だという気がします。

宮沢賢治さんの童話が、現在のアニメやマンガにも強く影響を与えている(『なめとこ山の熊』が『ユリ熊嵐』に影響を与えている)みたいな話はよく聞きます。

今回はなんとなく宮崎駿監督の『となりのトトロ』を連想してしまいました(他にも『オツベルと象』が『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』など、ジブリ映画は少なからず賢治作品の影響を受けていると思われることが多いですね)。

山や森――不思議な世界に足を踏み入れて、山猫やどんぐりたち――愉快な仲間たちと戯れてみたく、僕も「山ねこ拝」というハガキを受け取ってみたく思いましたが、しかし一郎のようにうまく機転を利かせられるでしょうか……、自信はありません(汗)

一郎はおそらく一人っ子で、小学校四、五年生くらいの子供だと思われるのですが、その賢さにはすなおに感心させられてしまいます。

ハガキの文章はへたくそで、ところどころに間違いもあるのですが、それを書いた馬車別当をバカにすることなく、「(大学)五年生だってあのくらいには書けないでしょう」と嫌味でなくお世辞を言うあたり、大人だなあ、やさしいなあ――と、その姿勢は見習いたいです。

別当はその無能さゆえに山猫の手下となっていて、「虎の威を借る狐」ならぬ「猫の威を借る人」 となっているわけですが、その姿はなんだか哀しく感じられます。

山猫は、山の中では指導者的存在で、みんなに頼られているようですが、威張るばかりで指導者としての能力は低いみたいですね……、悪いひと(猫)ではなさそうなんですが……。

どんぐりたちはまさに「どんぐりの背比べ」をしています。

山猫、別当、どんぐりたちの関係は、「上に立つ者も無能なら、下で仰ぐ者もまた無能」といった、一種痛烈な社会批判のようにも感じられて、現代の社会にもそのまま当てはめられるような気がして、ちょっと耳が痛い話ですね。

それを傍観するような一郎の態度は、突き放した冷たいものではなくて、やんわりと教え諭すような穏やかさや温かさが感じられて、それがなんというか救いのように思えて、しかし甘えてはいけないのでしょうが、ついつい甘えたくなってしまうような、そんな感じがします。

それが、子供の頃にいられる世界、という気がします。

いつまでも、一郎のような聡明さを持ち、大人の社会を知らずにすむ子供のままでいたいと願いますが、そんなことは不可能で、人は否応なく成長していかなければなりません。

山猫からハガキがこなくなり、ちょっと残念に思う一郎の姿は、少年の成長を感じさせるシーンで、やっぱり寂しい気がします。

無理だけど、いつまでも子供のままでいたいような、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

いつまでも子供のままでいたいと思う?

狐人的読書メモ

・しかし、いつまでも子供のままではいられない。

・『注文の多い料理店』『蜘蛛となめくじと狸』など、賢治童話には山猫がよく登場して、それがどういった存在なのかが、けっこう興味深い、なまねこ、なまねこ……。

・『どんぐりと山猫/宮沢賢治』の概要

1924年(大正13年)『イーハトヴ童話 注文の多い料理店』(盛岡市杜陵出版部・東京光原社)にて初出。当時はあまり評価されなかったというが、いろいろなテーマが織り込まれた良作である。

以上、『どんぐりと山猫/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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