紫陽花/泉鏡花=神なのかショタなのか母なのか…物語の謎を読み解く!

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

紫陽花-泉鏡花-イメージ

今回は『紫陽花/泉鏡花』です。

文字数3000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約12分。

十歳くらいの美少年を、貴女がいじめたくなっちゃう話。
なんでいじめたくなっちゃったんでしょうね?
神だから……ショタだから……あるいは……
貴女の淋しい笑顔に映る紫陽花の色は何色?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

六月の中旬、暑い盛りの午後。十歳くらいの氷売りの美少年が、市に行こうと歩いている。暑さと氷の重さに耐えかねて、少年は野社のやしろの前で大きく息を吐いて立ち止まる。

すると社の裏の木陰から、二人の女が現れる。

侍女を連れた貴女きじょだった。

貴女は「少しばかり氷をおくれ」と少年に声をかける。少年はさっそく、氷の欠片をのこぎりで切り取り、「どうぞ」と差し出す。しかし氷は真っ黒だ。

少年の意地悪な継母が、炭を挽いたままの鋸を持たせたのが原因なのだが、少年はそんなことには気づかず、ただ焦るばかり、やみくもに鋸で削るうち、氷はどんどん小さくなる。

「お母様に叱られる」と涙ぐむ少年を面白がって、貴女は「はやくいい氷をおくれ」と急かす。少年はいよいよパニックに陥り、「全部あげます」と残りの氷の塊を差し出すが、貴女は「こんなのじゃいや」とその手を払いのける。

氷は地面に落ちて三、四つに砕ける。

少年はその一つを拳に握ると、貴女の手を取って走り出す。

突然の事態に貴女は驚いて成す術もなく、侍女は慌ててその後を追う。侍女が追いついて少年を制止するが、そのころ貴女は何を思ったのか、少年の好きにさせるよう侍女に言いつけ、履物を脱いで少年の手に引かれるまま、ついていく。

やがて小川に着いた少年は、手にした氷をその流れですすぐと、蒼い顔をした貴女に差し出す。その氷は豆粒ほどの大きさで、水晶のごとく透き通っている。

突然貴女はその場に崩れ落ち、侍女がその身体を抱きとめる。侍女が泣き声を立てて見守る中、貴女はどんどん衰えていく。最後の力を振り絞り、「堪忍してね、坊や」と貴女は言う。

呆然と佇むしかない少年は、貴女の口に氷を当てる。すると貴女はうっとりと目を見開き、少年の肩を抱き、じっと見つめて頷いて、氷はがっくりとした喉を通った。

桐の葉越の日影に薄く、紫陽花の色がその淋しい笑顔に映っていた。

――その野社には色の青い蛇が数多棲みついており、土地の者は誰も近寄らず、片目の潰れた翁だけが、昔からそこを守っていたという。その翁が片目を失ったとき、一度だけ見た長い黒髪……それは神であったに違いない。

狐人的読書感想

もう何度目か知りませんが、何度でも言いますが、やはり泉鏡花さんはいいですね。幻想的で、情景も物語もさまざまに想像できて、それがとても楽しいんですよね。

貴女の淋しい笑顔に映る紫陽花の色は、はたしてどんな色だったんでしょうねえ……みたいな。

この物語最大の謎は、やはり「貴女」だと思うのですが、冒頭にその正体と思しき記述があります(あらすじでは最後に書きましたが)。

その野社には青い蛇が無数に棲みついていて、土地の者はもはや誰も近寄らず、ただ片目の潰れた翁だけが、片目を失ったときに見た長い黒髪の神様を守っているのだ、という記述です。

すなわち、貴女の正体は「蛇神様」のような存在であると推察できるのですが、どうでしょうね?

以前の読書感想(『絵本の春/泉鏡花』)で調べたところ、蛇が美女に化ける怪異譚というのはけっこうあって、この『紫陽花』も蛇にまつわる怪異譚だったのかな、という気がしています。

野社と蛇の怪異……どうしても『〈物語〉シリーズ』の「北白蛇神社」と「蛇切縄」「クチナワさん」をイメージしてしまいますね(前の読書感想のときもそうでしたが……)。

まさか、野社……本当に北白蛇神社なのでは……とか想像してしまうのですが、野社に棲みついているのは青蛇なので、北青蛇神社ですね(何がですねかわかりませんが……)。

土地神である貴女は野社に縛られており、そこを離れては生きていけないのだろう――というようなことは容易に想像できるのですが、なぜ命の危険を顧みず、少年の手に引かれるまま、少年についていこうと思ったのか……正体以上の謎ですよね(……ひょっとしてそう思うのは僕だけ?)。

美少年をいじめて楽しんでいた様子から察するに、この貴女ひょっとしてショタだったんですかね?(下世話な勘繰りですかね?)

あるいは貴女と少年には何か関係があったのでしょうか?

わざわざ本文で「美少年」と、はっきり記述されているのも、なんだか気になるんですよね。

なんで少年が美少年なのか、気になるんですよね。

少年のお母さんが継母であるということが、気になってしまうんですよね……。

最期の貴女のセリフも『堪忍かんにんおし、坊や、坊や。』と、母親が息子にかける言葉とも読み取れなくもないような……さすがに、深読みしすぎでしょうか?

貴女の過去、蛇神と人間の禁断のラブロマンス、その末に生まれた子供との再会――みたいな、本編に秘められた物語を勝手に想像して、勝手に楽しめた小説でした。

読書感想まとめ

神なのかショタなのか母なのか……物語の謎を勝手に読み解いてみまみた。

狐人的読書メモ

・失礼、噛みました。

・『紫陽花/泉鏡花』の概要

1896年(明治29年)『大倭心』にて初出。泉鏡花の蛇にまつわる怪異譚のひとつ(たぶん)。幻想的な情景、物語に秘められし謎、いろいろ想像してみて楽しい小説。おすすめしたい。しかし美文調は広くおすすめしにくい。

以上、『紫陽花/泉鏡花』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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