ツェねずみ/宮沢賢治=弱者に優しい社会の是非、謙虚な気持ち大事に!

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

ツェねずみ-宮沢賢治-イメージ

今回は『ツェねずみ/宮沢賢治』です。

文字数5000字ほどの童話。
狐人的読書時間は約14分。

弱い者を騙すなんて、まどうてください。
弱さを逆手にとり、親切な友達に賠償請求するツェねずみ。
モンスターペアレント、身体障害者の賠償目的事件、
年金不正受給問題。
謙虚大事に?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

古い家の天井裏にツェねずみは住んでいた。

ある日、ツェねずみは通りすがりのイタチから「金米糖こんぺいとうがばらばらこぼれている」と教えてもらい、お礼も言わずに急いで戸棚の下に向かう。

が、そこにはすでにアリの軍隊がいて、ツェねずみはひとかけらの金米糖も拾うことができなかった。

ツェねずみはイタチの家を訪れて言う。

「私のような弱いものをだますなんて、まどうてください。償うてください」

ツェねずみはイタチの拾ってきた金平糖を持てるだけ持って去っていく。イタチは怒り、ツェねずみの逆恨みを激しく罵る。

ある日、柱がツェねずみに言う。

「冬支度のために、ぼくの頭の上のスズメの毛を持っていってはどうだい?」

ツェねずみはスズメの毛を取ろうとしてケガをした。

まどうてください」

ちりとりからもらったモナカを食べて、ツェねずみはおなかを壊した。

まどうてください」

バケツから洗濯ソーダのかけらをもらい、ツェねずみがそれで顔を洗うと、ひげが抜けた。

まどうてください」

こうしてツェねずみはだんだんみんなに嫌われていき、誰からも相手にされなくなった。

しかしそんななか、ただひとり、ねずみ捕りだけはツェねずみと親しく付き合っていた。ねずみ捕りは日頃の人間たちの待遇に不満を持ち、ねずみの味方をしようと考えるようになったのだ。

ねずみ捕りはツェねずみを罠にははめず、中のエサだけを与えていた。ツェねずみは毎晩偉そうに、恩着せがましくやってきて……温厚なねずみ捕りもだんだんと不満を募らせていく。

ある夜、エサがくさったはんぺんだったのを見たツェねずみは、

まどうてください」

さすがのねずみ捕りもはり金をりゅうりゅう怒らせた。

これがよくなかった。

罠が作動し、ツェねずみはねずみ捕りの中に捕らわれてしまう。

翌朝、人間がやってきて、ねずみ捕りの中のツェねずみを見て、言った。

「しめた。しめた。とうとう、かかった。意地の悪そうなねずみだな。さあ、出て来い。こぞう」

狐人的読書感想

『鳥箱先生とフウねずみ』『クンねずみ』そして『ツェねずみ』という順番で宮沢賢治さんの「ねずみ3部作」を読んできたのですが、全部風刺的な内容、皮肉なブラックユーモアがたまらない作品で、ひねくれものな僕としてはとてもおもしろかったです。

今回も『クンねずみ』に通じる教訓が含まれていたと感じます。

すなわち「謙虚さを忘れてはいけない」ということなのです。子供に言い聞かせるのならば「ツェねずみみたいにわがままばかり言ってはいけないよ」といった感じでしょうか、なんとなく自分も身につまされる思いがします。

子供、身体障害者、高齢者――現代は、なんだかんだで「弱者にやさしい社会」になってきているのかな、なんて思うことがあります。

それは裕福で、ゆとりある社会の証拠であるように感じられて、決して悪いことではないのだという気がしますが、その弱さを逆に利用して、ツェねずみのように自分だけが不当な利益を得ようとするケースを、たまにニュースなどで目にしたりします。

子供を過剰に甘やかし、子供もそれを当たり前のことと思っているモンスターペアレントだったり、身体障害者の方が賠償目的でわざと事件を起こしたり、年金の不正受給問題だったり――親切を示すほうにも、親切を受けるほうにも、ある程度の慎みや覚悟が必要で、それはどの程度が適当なのか、ということを考えていると、とても難しく思えてくるんですよね。

親切を示すほうはたぶん気軽な気持ちでそうすることが多いのではないでしょうか。たとえば作中、イタチがツェねずみに「金米糖こんぺいとうがこぼれている」ことを教えてあげたみたいに。このとき、誰かがもう全部拾ってしまっていて、ツェねずみが金米糖を拾えないかもしれないという可能性までは考慮しないように思います。

小さな親切が大きなお世話になる場合もあって、親切をする側はそこまで意識しなければいけないのかな、などと考えてみるのですが、だけどやっぱりそれには無理があるような気がして、親切を受ける側がその親切から利益を受けられない覚悟を持つことのほうが、自然な感じがするんですよね。

ツェねずみの場合も「金米糖がまだあったらラッキー」くらいのノリで、イタチの親切を受け入れるべきだったのかな、という気がします。

だけど人間、得ができると思うとどうしても期待してしまって、教えてもらった情報で得ができなかったとなると、親切にしてくれた相手を逆恨みしてしまうという気持ちも、わからなくもないように思ってしまいます。

とくにクレーマーをイメージしたとき、お金を払って商品を買ったり、サービスを受けたりした場合、「こっちはお金を払ってんだぞ!」という意識が働いて、相手がきちんと謝っているにもかかわらず、なかなか許しがたい気分が拭えないこともあるのかもしれません。

店員さんやサポートセンターが言い訳ばかりして、ろくに謝罪をしなかったり、あからさまに態度が悪いと、「それは許せない!」となる気持ちは僕にもわかってしまいます。

とはいえ、相手に何も期待せず、だまされる前提ですべての親切を受け入れる、というのも、なんだか寂しい気がします。

親切をする側が悪意を持って親切をすることは、一般的な人間関係の中ではやはり少なく、やさしさや親切を受ける側が謙虚な気持ちであることが、やっぱり一番大事なのかな、と、今回の読書感想では思いました。

ツェねずみのように、弱さを逆に利用して、みんなから嫌われて、友達をなくさないように心がけたいな、と思いました。

読書感想まとめ

謙虚な気持ちを忘れないこと!

狐人的読書メモ

弱者は、やさしくされたり親切にされたりすることを当たり前だとは思わずに、やさしさや親切を受け入れなければならないと考えるが、弱者にやさしい社会こそ、真の裕福でゆとりある良い社会だといえる気はする。

しかしそうなると、弱さを逆手に取る弱者が必ず現れる。その主張が正しいかどうかは、時代によって大きく分かれてくる気がする。

いまの日本の社会は裕福でゆとりある良い社会なのだろうか? 弱者が優遇され、他のものがバカを見る社会なのではないか? とはいえ、弱者が虐げられる社会であっていいとも思えず――なんだかよくわからなくなってくる。

・『ツェねずみ/宮沢賢治』の概要

生前未発表作。『ツェねずみ』『クンねすみ』『鳥箱先生とフウねずみ』でねずみ3部作。風刺的、皮肉が利いたブラックユーモアがおもしろい。学ぶべき教訓もわかりやすく、親子で読むのにもおすすめできる。社会での生き方、弱者救済の社会の在り方など、突き詰めて考えてみると奥の深い作品でもある。

以上、『ツェねずみ/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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