コンにちは。狐人 七十四夏木です。
(「『狐人』の由来」と「初めまして」のご挨拶はこちら⇒狐人日記 その1 「皆もすなるブログといふものを…」&「『狐人』の由来」)
今回の小説読書感想は夏目漱石さんの『変な音』です。
夏目漱石さんといえば、日本に知らない人はいないのでは……と思わされてしまうくらいの大文豪ですよね。
狐人的には、ウィリアム・シェイクスピアさんやヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテさんと並び称されるべき世界的な文豪、と断ずるに些かの躊躇も持たぬ!(王の台詞、わかる人にはわかる?)わけなのですが……、実際欧米ではそれほど認知されていないらしいです。
(伸びしろ?)
没してなお発展途上! とか言ってみると、ちょっとかっこいい気がしないでもありませんが、いかがでしょうか? 前回ブログ記事(⇒ おすすめ小説『真夜中の子供たち サルマン・ラシュディ』世界中で絶賛の嵐!)にてご紹介したサルマン・ラシュディさんのごとき賛辞の嵐が、欧米でも巻き起こる日がくるかも!
とかなんとか。
夏目漱石さんの文豪性についてつらつら綴ってみましたが、これもすべてはブログ記事ラストの『文豪ストレイドッグス』雑談のため! すなわち、余談のための余談!(しかしとんだ……続きはラストで)
…………。
これ以上、余計なことを書いていると、せっかく夏目漱石さんの『変な音』という小説に興味を持って訪れてくれた方に対して、申し訳ないような気持ちになってきたので(ごめんなさい)、そろそろ本題に入りたいと思います。雑談はまた後ほど! ということで(懲りない奴)。
以下、簡単なあらすじです。
ある夜、入院している著者は、隣室から聞こえてくる変な音に気づきます。いったい隣室のどこから、誰が、どうして……いくら考えてみても、さっぱりわかりません。結局音の正体はわからずじまいとなってしまい、そのまま一度退院する著者ですが、三カ月後再び入院することに――。そのとき偶然にも、隣室を担当していた看護師さんと話をする機会が訪れ、あの夜の変な音の正体を知ることになりますが……。
いかがでしょうか。
このあらすじだけだと、一見ホラー小説か、ミステリー小説のようにも感じられそうですが。
これを読んでくださっている方には、気になる変な音、というものがあるでしょうか? 音というのは、目に見えないものだからこそ、より想像力をかき立てられて、人によって全然違った印象を持つことなどがありますよね。ある人には怖く聞こえても、ある人にはおもしろく聞こえたり、原因のわからないミステリーな音なんていうのも、世の中にはあるそうなのですが。あるいはそのときの心情などもかかわってくるかもしれません。怖いときには怖く聞こえて、楽しいときには楽しく聞こえるみたいな。
夏目漱石さんの『変な音』は、
『音を中心に据えた生と死の対比』
が描かれている小説なのではないでしょうか。
まず、著者が聞いた「隣室から聞こえてくる変な音」というのは、「大根おろしの音」のようだ、というのですが、三カ月後の再入院中、隣室を担当していた看護師さんの話で判明したところによれば、それはやはり「大根おろしで胡瓜を擦った音」だったとのことでした。患者さんの要望に従って、胡瓜の汁で足を冷やしてあげるために、そんなことをしていたのです。
対して、じつは隣室の患者さんも、著者の病室から聞こえてくるある音を気にしていたのだといいます。隣室の患者さんによると、その音は「運動器具の音」なのではないかと思い、著者の元気そうな様子を羨ましく思っていたのだそうです。そのことを看護師さんから聞いた著者は、あれは「髭剃りを革砥へかけて磨ぐ音」だったと思い当たります。
著者の病状は比較的軽く、隣室の患者さんは直腸癌で重かったようです。その証拠に、変な音の正体が判明したとき、著者はまだ生きていて、隣室の患者さんは亡くなっていました。
快方に向かっていた著者は、『変な音』を冷静に捉えることができたゆえに、それが「大根おろしの音」であると判断できました。しかし、自分が死に向かっていることを悟っていた隣室の患者さんは、『変な音』に自分の願望を投影してしまったのではないでしょうか。すなわち、死にたくない、病気を治して元気になりたい、といった思いが、『変な音』を「運動器具の音」だと勘違いさせてしまった、というわけなのですが、どうでしょう。
このように、夏目漱石さんの『変な音』は、音を中心に据えて、相反する「生」と「死」、というものを見事に描き出した小説だと、僕は思いました。さすが大文豪・夏目漱石さん、といった感じですね(偉そうだったらすみません)。
『変な音』は、大学入試センター試験(2002年、現代文・国語Ⅰの追試験)で全文が出題された小説だそうです。なので、受験生の方が、息抜きのつもりで読んでみても、損のない作品かもしれません。
ちなみに最近読んでみて、同じように「生と死」というものを考えさせられた小説に、横光利一さんの『蠅』があります(⇒小説読書感想『蠅 横光利一』デスノートのリュークも言ってた「死は平等だ」)。夏目漱石さんの『変な音』同様超短編です。こちらもぜひに。
『変な音』の著者は、入院しているとはいっても、さほど重篤なようには感じないのですが、実際、『変な音』の真の著者である夏目漱石さんは、この作品を書かれる前年の夏に、「修善寺の大患」と呼ばれる病に罹り、生死の境をさまよっているそうです。
夏目漱石さんが、この「修善寺の大患」で倒れたとき、じつに800グラムの血を吐いたそう。人気麻雀漫画『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』の鷲巣麻雀だと、確かアカギの流出致死血量は2000ccでしたっけ。800グラムを単純換算で800ccとするならば、この3分の1以上を失っているわけですから、相当の量ですよね……。ついでながら、『アカギ』の鷲巣麻雀編は、勝負開始からリアルタイムではすでに17年が経っているらしく、これは小学校から大学卒業まで読み続けても依然終わっていないことになりますし、あの『NARUTO』だって完結しています。作中の時の流れの凄まじさを思わされたりされなかったり。
話しを元に戻しまして。
年代でいうと『変な音』が書かれたのは1911年(明治44年)で、夏目漱石さんが病に倒れたのは1910年(明治43年)。この1910年(明治43年)を境にして、夏目漱石さんの作品は、大きく前期・後期と分けられています。生死を分かつほどの大病だったわけですから、その後の人生観や作風に多大なる影響があったといわれるのも納得です。
(ここから――てか、ちょっと前から、ほぼ雑談になっているかもしれません。別視点からの感想だと捉えていただけると嬉しいのですが、はたして……)
さて。『変な音』の作中にもあった「大根おろしの音」と聞けば、僕などはさんまの塩焼きなどを思い浮かべるわけなのですが。2016年は、さんま高かった……、というか、大根もかなり高かったですよねえ……、てか、野菜の値段高騰が異常でしたよね。レタス1300円突破の報には、笑えないというか、逆に笑えるというか。台風と日照不足が主な原因だったようですが。一説では、日本の人口減少に伴い、野菜を食べる量も減っていて、よって野菜の生産量も減っている……ゆえに気候要因によっていざ野菜不足になると、元々の生産量が少ないので、深刻な野菜不足となって、異常に値段が上がるそうです。困りものですが、TPP(環太平洋経済連携協定)などで、今後解消されるのでしょうか?
ところで、『変な音』と聞いてイメージする音というのはあるでしょうか? 僕などは、宮沢賢治さん作品の、独特なオノマトペなどを想像するわけなのですが(⇒小説読書感想『オツベルと象 宮沢賢治』のんのんびより…労働の闇…謎の■)。のんのんのんのんのんのん、グララアガア。
――『変な音』のイメージというか、「変」と「恋」って、漢字が似てますよね、ってなことで、ブログ記事タイトルにもした「恋の音」ってどんな感じなのでしょうねえ(むりくりすぎ?)。
調べてみると、「ドキッ」、「キュン」、「ズキューン」、「アッ」、「ビビビッ」などが上位として挙げられているようですが、いかがでしょうか。「ズキューン」といえば、『ジョジョの奇妙な冒険』や『HUNTER×HUNTER』の、こちらも印象的(衝撃的)なオノマトペを思い浮かべてしまうのは、はたして僕だけ(てか「恋の音」台無し)?
そんなわけで(どんなわけだよ)、ブログ記事タイトルだけ見ると、夏目漱石さんの『変な音』からロマンチックな恋の話につなげるのかと思いきや、まったくそんなことのないいつもの小説読書感想だった、というのが今回のオチでした。本当に期待してここまで読んでくださった方がいらっしゃったら、本当にごめんなさい(ちょっとだけですが恋の話をしているブログ記事はこちら⇒小説読書感想『外科室 泉鏡花』哀純愛…こんな一目惚れしたことある?)。
では、恒例(?)となってまいりました、紹介した小説を『文豪ストレイドッグス』に絡めて話してみよう、という試みなのですが……、(検索中……検索中……)、え!? ま、まさかの夏目漱石さん未登場。あ、でも小説の方に一応登場しているみたいですが、大文豪すぎて、黒幕的な存在になってしまっているようですね……異能力も不明。うわあ、とんだ肩透かしを食らってしまいました。勝手に食らいにいって、勝手に喰らったわけなのですが。さらに夏目漱石さんの文豪性について語ってきた冒頭が、まったくの肩透かしになってしまいました。肩透かしを食らいにいって食らい、結果として食らわせてしまった感じ(もうわけがわからなくなってきましたが)。今回の予期せぬオチとなってしまいました。こちらも期待してくれた方がいらっしゃったら、ごめんなさい。ともあれ、今後の登場と活躍に期待したいところですね。
ではでは、『文豪とアルケミスト』の方はといえば……、お、こちらは登場しているようですね。ご本人の肖像写真と同様、髭をはやしたダンディなおじ様といった佇まい。公式説明文に、甘味好きとあったので、調べてみたところ、事実だったようですね。『食べ過ぎを注意されても、控えるつもりは全くないようだ』といった説明も、健康を気遣った奥さんが、好物のようかんを隠したところ、夏目漱石さんは必死になって戸棚を探すも見つけられず、それを見かねたまだ幼かった娘さんが、隠し場所を教えると、娘をほめて、大喜びでようかんを食べた、といった逸話に通じます。文豪には甘党の方が多いらしく、芥川龍之介さんや江戸川乱歩さんなどもスイーツ好きで有名なのだとか。なかなか忠実に、事実を設定に織り込んでいるようですね。さらに興味をそそられてしまいました。
と、そんなこんなで、『変な音 夏目漱石』の小説読書感想でした。
※
今回のブログ記事とちょっとだけ(むりくり?)関連付けた漫画はこちら。
・『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』
・『NARUTO』
・『ジョジョの奇妙な冒険』(とりあえず一番人気と思われる第3部を――狐人的には第4部もおすすめ!)
・『HUNTER×HUNTER』
夏目漱石さんの活躍が期待される『文豪ストレイドッグス』はこちら。
最後に、件の野菜高騰による野菜不足のお供に(「読書関係ありませんが」ネタ)!
※
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それでは今日はこの辺で。
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