闇の絵巻/梶井基次郎=狐人的あらすじをアレンジ! 感想はエヴァのテーマ?(シン・ゴジラじゃなくて……)

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

闇

photo by Photomiqs

今回は『闇の絵巻/梶井基次郎』です。

梶井基次郎 さんの『闇の絵巻』は、文字数4100字ほど。あなたは「闇」が好きですか? 嫌いですか? 未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

(『闇の絵巻』は梶井基次郎 さんの私小説――というわけで、今回は梶井基次郎 さんの実体験を下敷きに、あらすじをアレンジして書いてみたいと思います)

1929年(昭和4年)2月23日、東京を騒がせたとある強盗犯が逮捕された。西巣鴨の左官業、妻木松吉――その犯行は、3年間で100件を超え、犯行後、犯人が家人に「泥棒除けに犬を飼え」や「戸締りを厳重にしろ」などと言い残していたことから「説教強盗」とも呼ばれるようになり、当時の流行語にもなっていた。

彼は何も見えない闇の中でも、一本の棒さえあれば何里でも走ることができるという。

「私」はこの新聞記事を読んで「闇」というものに思いを馳せる。

「私」には「闇」に対する思い入れがある。

それは、『闇の絵巻』を執筆するおよそ3年前、1927年(昭和2年)の元旦から療養のために滞在していた伊豆湯ヶ島でのこと――校正の手伝い、あるいは囲碁を習うために通っていた川端康成 さんの宿から療養所までの暗い「闇」の帰り道であった。

闇に立ち上る柚の匂い……、山々の話声……、一箇の電燈の光が呼び起こす恐怖……、轟々と流れる溪が瀬……、ほの白く光る竹藪……、民家の明るみに現れ闇のなかへ消えていく男……。

肺結核の病状が悪化するなか、闇によって鋭敏となった感覚で、「私」が感じ取った『闇の絵巻』を綴る。

それを思い浮かべるたびに、私は今いる都会のどこへ行っても電燈の光の流れている夜を薄っ汚なく思わないではいられないのである。

東京の夜景

狐人的読書感想

さて、いかがでしたでしょうか。

正直、僕には少々ハードルの高い作品のように思われました。考えさせられるところはもちろんあるのですが、おもしろい、といった感じではないというか……、ただ、小説の全部が全部おもしろくなくちゃいけないことはないわけで、「文壇で認められたはじめての梶井文学!」と称されるように、『闇の絵巻』には(文学的に?)優れた部分が多い作品です。僕が梶井基次郎 さんと同じ状況であったとしても、このような作品はとても書けないんじゃないかなあ……(そもそも文豪と自分を比較するところが不遜であるかもしれません。ごめんなさい)。

(ちなみに文学作品とエンターテインメントの違いを感じた前回ブログ記事⇒『ごんぎつね/新美南吉=狐人の感想は「ごんとナルトと、鰻の命大事に!」(ネットで話題になった「ごん自業自得」説にも言及)』

梶井基次郎 さんが31歳で夭折されたのは1932年(昭和7年)のこと――『闇の絵巻』を著された1930年(昭和5年)から二年後ということになりますから、「闇」というものに自身の命の終末を投影していたと思えるのは、当然の見方のように思えます。しかし、悲壮感や絶望感といったイメージはあまり喚起されませんでした。

柚の匂い、突然の恐怖を表すバァーンというシンバルの音、酒盛りの笑い声にも似た瀬の流れ――などなど。

希薄になっていく命とは対照的に、研ぎ澄まされていく五感で、本来何もないはずの「闇」を、表情豊かに描いている――あまり例のない作品なのではないかと感じました(いまだ僕の読書量が少ないせいかもしれませんが……)。不安や恐怖の中にある安息や悟りについて書かれているようにも思います。

ところで、あなたは「闇」が好きですか、嫌いですか?

光と闇

「闇」対する印象としては、

・恐怖
・安堵

の二つが代表的なのでしょうか?

暗所恐怖症に代表されるように、闇は怖いもの、というイメージが一般的なようにも思えますが、闇は落ち着く、安心するといった意見の方も結構多いみたいですね。暗くないと眠れない、みたいな?

押入れやクローゼットのなかに閉じ込められる、といったおしおきがありますが、いまや昔の話なのでしょうか……(それともフィクション?)。

ともあれ、当然暗闇が怖くて、泣き叫んでしまい、きついおしおきになったという話も聞けば、すやすや眠ってしまい、全然おしおきにならなかった、という話も聞いたことがあります(漫画かアニメの話だったかもしれませんが……)。

闇に安堵を覚えるのは、心理学でいうところの「母胎回帰」という願望が、影響しているという説もあります。人は無意識下でお母さんのお腹のなかにいたときのことを記憶していて、暗いところや暖かいところに、懐かしさにも似た安心感を抱くとか。

[まとめ買い] 新世紀エヴァンゲリオン(角川コミックス・エース)ちなみに、TV版と旧劇の『新世紀エヴァンゲリオン』の解釈の一つにこの「母胎回帰の克服」がテーマだったのでは……、という話もあります。TV版エヴァのラストシーン「おめでとう」は、意味深で謎の残る終わり方でしたが、庵野秀明監督は「核心は誰にも言わない」とインタビューで答えたのだとか。また、旧劇エヴァのラストシーン、アスカの「気持ち悪い」発言は、庵野秀明監督が知り合いの女性から聞いた実話がもとで、そこからアスカ役の声優である宮村優子 さんの意見を採用しての結果だとか――僕は今回はじめて知ったのですが、意外と有名な話?

シン・ゴジラ(庵野秀明監督といえば『シン・ゴジラ』の話題に絡めたほうが旬でしたかねえ……)

あるいは、太古の昔、灯りがない時代、人間も夜は眠るのが当たり前だったわけで、そのバイオリズムは現代人の体にも沁みついている――闇の中では、体が休もうとしてリラックス状態になるから……、という理由のほうが説得力があるでしょうか。

暗いところが好きだ、というと、うつ病を心配する方や、うつ病を疑われてしまうのでは……、と不安になる方もいらっしゃるそうですが、「闇好き」の人も結構いるよ(闇好きと闇嫌い、実際どのくらいの割合なのかは調べてみてもわかりませんでしたが)、というお話でした。

いえ、違いました。梶井基次郎 さんの『闇の絵巻』のお話でした。

作中、電燈が重要なガジェットとして用いられていましたが、現在だと、自動販売機のほうが適切かなあ……、とぼんやり思いました。暗い帰り道、道中にぽつんとある自動販売機の明かりに「ほっ」とした経験のある方、いらっしゃいますか?(そんな田舎もう日本にはない?)

「闇」の恐怖について、『闇の絵巻』を読んで考えさせられる「闇」の恐怖とはまた違うのですが、ノーベル文学賞作家であるジョゼ・サラマーゴ さんの『白の闇』という小説を思い起こしました。これは突然目の前が真っ白になって失明する、という症状が、感染力の強い伝染病のように、あっという間に拡大していく物語です。初期の感染者は、感染を防ぐために、使われなくなった精神病院に隔離されるのですが、その中に一人だけ目の見える女性がいます。彼女が見る、視力を失い、本能剝き出しとなった人々の世界は、まさに地獄の様相を呈していて……、別の意味での「闇」の恐怖を味わうことができます。

興味のある方は『白の闇』ぜひに!
(⇒小説仲間におすすめ!『白の闇』1番失いたくない五感は?

いえ、『闇の絵巻』ぜひに!!

狐人的読書メモ

アニメ<物語>シリーズヒロイン本 其ノ參 忍野忍……結局、梶井基次郎 さんの『闇の絵巻』から離れたところで、その作品について語ってしまったり語ってしまわなかったりした感が、ぱないの!(……こういうところがダメなのかな?)高すぎるハードルを跳び越えようと助走をつけすぎて失敗したみたいな……(なんだこの例えは……)。まだまだ修行中ということで温かく見守っていただけましたらこれ幸いです(すみません)。

・『闇の絵巻/梶井基次郎』の概要

1930年(昭和5年)9月に発表された短編小説。恐怖や不安、安息や安堵、鋭さを増した感性で、「闇」という風景を描き出した傑作。題材はあらすじのとおり。

・私小説

著者が自らの体験をもとに執筆した小説。

・分からなかった言葉

薊あざみ:キク科アザミ属の植物。

あざ:市町村の小区画を表す言葉。

左官:壁を塗る職人。

・ちょっと気になったこと

竹というものは樹木のなかで最も光に感じやすい。

竹竹は成長が早いことで知られる。ゆえに他の植物よりも光合成の効率がいいということを表している?

また、竹取物語で、光る竹の中からかぐや姫が出てくるシーンは有名であるが、これはたけのこの化学発光という説がある。さらに、発明王として知られるトーマス・エジソン さんが電球のフィラメントに竹を使って、長時間利用を実現している。化学発光が当時知られていたとは考えにくく、また作中電燈が重要なガジェットとなっていることから、後者からの比喩表現か?

以上、『闇の絵巻/梶井基次郎』の読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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