小説読書感想『檸檬 梶井基次郎』時計じかけの…爆弾じかけのレモン?

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コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。
(「『狐人』の由来」と「初めまして」のご挨拶はこちら⇒狐人日記 その1 「皆もすなるブログといふものを…」&「『狐人』の由来」

今回は梶井 基次郎さんの『檸檬』です。

かの高名な文豪・三島 由紀夫さんは、梶井 基次郎さんの『檸檬』を日本最高の短編小説と評価しているみたいです。

そして『檸檬』は高校現代文の定番となっているようですね。

『高校』現代文か……僕には荷が重いかもしれませんが、頑張ってみたいと思います。

まず、『檸檬』という題名から連想されるものって何ですかねえ? ――というか、レモンってこんなに難しい字なんですねえ……、まあ普通に黄色い柑橘系果物の、あのすっぱいレモンですよね。ビタミンCたっぷりの。

漫画・『ワンピース』で、ヨサクが壊血病で倒れていたとき、ナミが使っていたのって……あれはライムでしたね。このまま漫画(週刊少年ジャンプ)繋がりで、そういえば『こち亀』に、確か『檸檬』という名前の女の子が登場してましたよね。

レモン――女の子の名前としては可愛いかもしれません。ただ、何歳になったらこの漢字をちゃんと書けるようになるのか……テストのとき大変そうです。名付けた親は恨まれてしまいそう。

あと思いつくのは『ザテレビジョン』ですか。ファーストキスがレモンの味なんて人もいるのでしょうか? ちょっと訊いてみたくなりますね。キスが『檸檬』の味、と書くと、逆にちょっと大人な感じもしてきます。

……ふむ。

無駄に書き過ぎてしまったでしょうか。意外と連想できるものですね。

ただ、これがすべて無駄だとばかりも言えず、『病』というワードはこの『檸檬』という作品では一つ重要な要素かもしれません。梶井 基次郎さん自身、肺結核を患い、31歳の若さでお亡くなりになっていることもあってか、やはり『病』を患う主人公を描いている作品が多いそうです。『檸檬』もそんな作品のなかの一つと言えるでしょう。

とかなんとか言いつつ、では『檸檬』を要約してみたいと思います。

主人公の『私』は病気がちな青年です。酒浸り、借金まみれ、肺尖カタルや神経衰弱といった『病』持ち。病気はともかくとしてお酒と借金はダメですよね。ダメダメですよね。すなわちダメ人間ですね、『私』。

本人曰く、『えたいの知れない不吉な塊』といった鬱屈した気持ちを抱えています。あくまでも、お酒、借金、病気がいけないわけじゃなくて、この鬱屈した気持ちがいけないと、本人は申しておりますが、大本の原因はたぶんお酒、借金、病気なのでは……とつっこまずにはいられません。

ともかく、そんな暗い雰囲気の中で、『私』は憂さ晴らしを求めて京都の街をうろうろするわけです。なんだかアブナイ感じがしますね。「その頃の『私』」はみすぼらしくて美しいものが好きだったらしく、たとえば汚い洗濯物が干してあったりとか、がらくたが転がしてあったりとか、むさくるしい部屋が覗いていたりする裏通りが好きだったのだそう。なんだかアブナイ感じがしますね!

そしてまだ生活がこれほど荒れ果てていなかった頃の、「以前の『私』」は、有名本屋の丸善さんが好きだった。本好きなのかあ、ちょっと共感できるかなと思いきや、その頃の丸善さんには赤や黄のオーデコロン、琥珀色や翡翠色の香水瓶も置かれていて、それらを見ていて小一時間も飽きなかったのだといいます。『私』は女子か!? と疑って読み進めると、また違った楽しみ方ができますかね(適当)。ただ、丸善さんが好きだったのも「以前の『私』」の話であって、「その頃の『私』」は重苦しく思い、避けて通ってしまうのでした。

ある朝、今日も今日とて京都の街を徘徊する(アブナイ)「その頃の『私』」は果物屋さんの前で足を止めます。そこにあったのが『檸檬』です。満を持しての『檸檬』登場です! もちろん『私』はその『檸檬』を買います。するとなんということでしょう! 『檸檬』の特殊効果発動。そして、『私は街の上で非常に幸福であった』と言ってしまうほどの『檸檬』の効用! 『檸檬』の秘められし力! 『檸檬』の持つ魔力!

『その檸檬の冷たさはたとえようもなくよかった。』
『握っている掌から身内に浸み透ってゆくようなその冷たさは快いものだった。』
『私は何度も何度もその果実を鼻に持っていっては嗅いでみた。』
『ふかぶかと胸一杯に匂やかな空気を吸い込めば、ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の身体や顔には温い血のほとぼりが昇って来てなんだか身内に元気が目覚めて来たのだった。……』
『実際あんな単純な冷覚や触覚や嗅覚や視覚が、ずっと昔からこればかり探していたのだと言いたくなったほど私にしっくりしたなんて私は不思議に思える』

思わず「お高いんでしょう?」と尋ねてしまいそう……実演販売の才能があるのでは、『私』。少し調べてみましたが、確かにレモンの香りには集中力アップの効能があるみたいですね。(勉強や仕事が捗らないそこのあなた! このレモンをお一ついかがですか! そこの奥さん、レモンダイエットには美容効果なんかもありますよ。今ならおまけに……)、――とか『檸檬』の効用についてつらつらと思考しているうちに、どこをどう歩いたのかも分からないまま、気がつくと丸善さんの前に立っている『私』。『檸檬』のおかげで絶好調! 今日こそは、いっちょ入ってみるか! てな感じで、意気揚々と店内へと入っていきます。

しかしてしかし、丸善さんのお店に入るやいなや、『檸檬』の特殊効果の持続時間が切れたのでしょうか、さきほどまでの幸福な気持ちが嘘だったかのように、だんだん憂鬱な気分が押し寄せてくるではありませんか。一応は画集など取り出してはパラパラめくってみるも、すぐそこへ放り出してしまうのです。元の位置に戻すのも疎ましい。そうして何度も何度もそれを繰り返してしまいます(まさか強迫性障害も?)。

『――なんという呪われたことだ。手の筋肉に疲労が残っている。』

どんだけ貧弱なんだよ『私』! なにはともあれ目の前には本のお城完成。……あ、そうだ。『私』はここで袂に仕舞っておいた『檸檬』のことを思い出します。そして積み上げて築いた本のお城の頂上に、『檸檬』をのっけて飾り付けようとか思いついちゃいます。そうしてみると第二のアイディアがひらめいちゃうのです。

このまま店出ちゃえ。

小悪魔なひらめき、子悪党な『私』。

そのまま外に出て行ってしまった『私』は想像します。

『丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう。』

怖っ(奇怪な悪漢、って……『私』女子説ここに潰える←怖いところはそこじゃない?)。

『そして私は活動写真の看板画が奇体な趣きで街を彩っている京極を下って行った。』

以上が要約になります。てか、要約できてない!

……さてはて(要約できていない件はスルーして)、いかがでしょうか? ここまで読んでくださった方がいれば、ひょっとして気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、僕は意外に楽しめました。ツッコミどころ満載ですね。

まず、本人は違うと言い張っているわけですが、「以前の私」と「その頃の私」とでは、『病』によって物の見方が変わってしまったのは明らかなように思えます。現代的に言うなら、うつ病を併発しているようにも見えますよね。

『病』ではなくとも、気分が沈み込むことくらいなら誰にでもあり、些細なきっかけでそれが解消されるという感覚は、分からなくないように思いました。運動をして気分爽快リフレッシュみたいな。症状の重い軽いは(『檸檬』のように)置くとして、この作品ではそれが『檸檬』です。

『檸檬』に秘められし力の凄さ!

・『檸檬』に含まれるペクチンは、消化吸収を抑制し、排泄・消化機能を整えます。ダイエット・美容に最適
・『檸檬』の果汁にはかゆみ止めの効果があります。傷がある場合には沁みますので注意が必要
・『檸檬』に含まれるリモノイドには、細胞が受けるダメージを防ぎ、がん予防に効果があるという研究結果もあるそうです
・『檸檬』ジュースには解熱作用、喉の痛みを緩和する働きがあり、はちみつレモンは風邪のときの強い味方

……余談過ぎましたね。話を小説読書感想に戻します。

『檸檬』の他に重要なガジェットといえば、やはり『丸善』でしょうね。「以前の『私』」は小一時間も入り浸っていられたのに、「その頃の『私』」には入るのも疎ましかった。正常だった「以前の『私』」と生活の蝕まれた「その頃の『私』」を対比するシンボルとして機能しているように思います。ちなみに、『檸檬』の舞台となった京都丸善さんですが、2005年に一度は閉店したものの、2015年8月21日、川原町京都BALに再び開店しているそうです。店内には『檸檬』置き場なるものがあるとのこと。機会があれば、ぜひ『檸檬』を置きに行きたいものです。

本でお城を作り、その上に檸檬をのせようという発想は、なんだか子供のいたずらのような発想ですね。子供か、『私』! ですね。ウィンドウショッピング好きな女子の子供――すなわち幼女なんですかね『私』(なわけなくて奇怪な悪漢だったわけなのですが)。

その後の第二のアイディア、檸檬爆弾セット完了! 退避~! の流れは想像力豊かと言ってもいいのではないでしょうか。やはり、子供の空想力と言い換えることもできそうですが。やっぱり幼女なのか『私』(しつこい?)。僕だったら、この発想ができるだろうか、と考えてみると、難しいように思います(すでに子供の心を失くしてしまっているのでしょうか)。

『時とするとびっくりさせるような向日葵があったりカンナが咲いていたりする。』
『あの安っぽい絵具で赤や紫や黄や青や、さまざまの縞模様を持った花火の束、中山寺の星下り、花合戦、枯れすすき。』
『びいどろという色硝子で鯛や花を打ち出してあるおはじきが好きになったし、南京玉が好きになった。』
『赤や黄のオードコロンやオードキニン。洒落た切子細工や典雅なロココ趣味の浮模様を持った琥珀色や翡翠色の香水壜。』
『レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色』

いきなり引用を挟みましたが、どうでしょうか。

鬱屈した主人公の『私』……始めは暗くて重たいだけの小説かと思いきや、色彩豊か。一枚、二枚……、と何枚かの写真を眺めているような読書体験。鮮やかさや繊細な美しさを感じられるような、そしてなんだか爽快な読後感のある小説だと僕は思いました。

以上が『檸檬』を読んでみた僕の小説読書感想でした(今回読書感想になっているか些か以上に不安が残っていますが)。

梶井 基次郎さんの『檸檬』は、非常に短い小説です。十分かからずに読めてしまうと思いますので、ぜひぜひご一読ください。

そして今回のオチ。

記事タイトルは、アンソニー・バージェスさんの小説であり、スタンリー・キューブリック監督の映画でもある『時計じかけのオレンジ』とかけてみました。

オレンジとレモン。両方とも「柑橘系果物」と「爆弾」というところから連想されたのだと思うのですが、読後、僕は『時計じかけのオレンジ』を思い浮かべてしまったわけなのでした。アブナイ(?)主人公という点も共通しているように思えますしね。この連想をする人は存外多いのではないかと想像してみたり。ぜひご意見を聞かせてほしいところ。

『時計じかけのオレンジ』もいろいろな意味でよい作品。ご覧いただけたら幸いです。

さて。

さてさて。

それでは恒例(?)、お待たせしました(?)、『文豪ストレイドッグス』話。

前回記事(⇒小説読書感想『あし 新美南吉』ブログで読もう!馬の感性に「しびれる」)の新美 南吉さんは、なんと登場していないというミスチョイスをしてしまいましたが、今回ははたして……、(検索中……検索中……)いました!

ふむふむ。マフィア幹部なんですねえ。あ、一人称が「僕」と同じ。「うはははは」という笑い方は違いますが。金髪、黒グラスのゴーグル、白衣……ちょっと軽薄な感じはありますけれど、やはりイケメンさんですね。写真で見たホントの梶井 基次郎さんはちょっとゴツイ感じなのですが(失礼いたしました)。新選組の沖田 総司さんも実物とイメージにギャップがありますよね。肺結核という『病』にはどこか儚い美青年のイメージがついてしまうものなのでしょうか(また別の機会に詳しく語りたい命題です)。

異能力は檸檬爆弾(レモネード)!

間違いなく今回取り上げた『檸檬』がモチーフですね。好きな物、檸檬、爆弾、酒のあたりもきっとそうなのでしょう。

檸檬爆弾は、その名のとおりレモンの形をした爆弾……ん? しかし爆発によるダメージはない……じゃあ何の為の能力なんだ? 理由は……檸檬は美しき紡錘形だから……わけわからんのです。けれど爆薬成分がまったく検知されないから裏で「高値」取引されていると聞くと、ちょっとほしくなりますね。ちなみに一つ一つ手作りなんだ、まめな性格なんですね梶井 基次郎さん。

ついでに『文豪とアルケミスト』の方は、梶井 基次郎さん今後登場予定とのこと。楽しみです。

しかしながら『文豪ストレイドッグス』も『文豪とアルケミスト』も、原作をほとんど知らずにこれだけ楽しんでるのって、ひょっとして僕だけですかね……。原作好きの方に怒られないうちにちょっとでも触れておきたいとは思っているのですが、あえてこのまま触れずにいくのもありなのでは……、とか考え始めている今日この頃なのです。

こちらはベストセラー1位の有機レモン果汁(読書関係ないじゃんという暴挙!)。

件の『時計じかけのオレンジ』です。

梶井 基次郎さんが登場する『文豪ストレイドッグス』はこちら。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。

それでは今日はこの辺で。

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