雀こ/太宰治=好きな子をいじめちゃうツンデレ女子の話ずおん?

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

雀こ-太宰治-イメージ

今回は『雀こ/太宰治』です。

文字1200字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約8分。

勝気な村一美少女タキ。弱気なお寺の子マロサマ。雀こ(津軽版はないちもんめ)でいつも最後まで売れ残るマロサマ。それでもおっとり歌うマロサマ。……なんかイライラする。ってどういう意味?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

長い津軽の冬の終わり、あちこちの雪原に、冬枯れの黄色い草と緑の新芽が生えている。津軽では、黄色い草に火をつけて、それを野火と呼んで子供たちが遊ぶ。火を隔てて、五、六人ずつの二組に分かれて、歌を歌う。

――雀、雀、雀こ、欲うし。
――どの雀、欲うし?

それは「津軽版はないちもんめ」とでもいった遊びで、二組がそれぞれのメンバーをやりとりする。その遊びでいつも最初に欲しがられるのがタキという女の子で、いつも最後まで残されるのがマロサマという男の子だ。

タキはよろずよやの一人娘で、勝気な性格だった。マロサマはお寺の子供で、体が細く弱々しかった。マロサマは二度も一人で売れ残ったのに、おっとりした声でタキが欲しいと歌っている。

タキは他の子たちとこそこそ言って、そんなマロサマを笑いものにする。いろいろと理由をつけて、マロサマのところには行かないと歌う。マロサマは一生懸命考え考え歌い続けたが、ついになんと言っていいかわからなくなって泣く。

みんながはやし立てるなか、タキは「マロサマは私の気持ちがわからない」と怒って、雪玉を投げる。マロサマは驚いて野原を逃げていく。

日が暮れて子供たちはそれぞれの家に帰ると、それぞれのおばあちゃんのコタツにもぐりこみ、いつもと同じ昔話を聞かせてもらうのである。

狐人的読書感想

『雀こ』は、副題が『井伏鱒二へ。津軽の言葉で。』となっていて、その通り「津軽の言葉」(ズーズー弁?)で書かれているので、正直内容がよくわかりませんでした。

いろいろ調べて、ようやくあらすじの内容だと理解しました。

故郷の子供遊びが描かれている作品のようですね。方言に独特のリズムがあって、ノスタルジックな小説でした。

「か~ってうれしいはないちもんめ……あの子が欲しい、あの子じゃわからん、相談しましょ、そうしましょ」という歌を歌いながら遊ぶ「はないちもんめ」を思わせる遊びが出てきます。

「――雀、雀、雀こ、欲うし。
――どの雀、欲うし?」

ということで、『雀こ』のタイトルはこの遊びを指しているのだと思われますが、「花」が「雀」になっているところに興味を引かれます。

(他の地方には他のバージョンもあるんですかね?)

というのも、「はないちもんめ」にはいわゆる「ちょっと恐い都市伝説」があって、「花」は子供や若い女性を示している隠語であって、「これって人身売買の歌なんじゃ……」という話なんですよね……。

「かごめかごめ」とかもそうですが、子供の童謡や遊びの中に「昔の残酷な現実」が隠されている、といったあたり、どうしても興味をそそられてしまいます。

『雀こ』は方言で書かれていて、僕のように意味がよくわからない人も多いかもしれませんが、リズムがいいので詩として音の響きだけでも楽しめる作品かもしれません。

あるいは内容を調べて読んでみると、いくつかの読み方ができるみたいで、それもまたおもしろく感じられます。

タキが「マロサマは私の気持ちがわからない」と怒る場面なのですが。

なんで怒ったんだろ?

って感じなんですよね。

ただ泣き虫のマロサマにイラついてしまっただけかと思ったのですが、恋愛感情を想定して読むこともできるのだとか。

じつは、タキがマロサマのことを密かに好きで、その気持ちが通じないからイライラしてるみたいな(好きな子ほどいじめたくなるツンデレ女子みたいな?)。

逆に、マロサマがタキのことを好きで、タキからしたら「村一番の美少女であるわたしが、のろまで貧相なマロサマなんか相手にするわけないでしょ」ってことでイライラしてるみたいな。

言われてみれば、たしかにそういうふうにも読めるのかなって、おもしろく感じたんですよね。

もちろん、これらはひとつの読み方であって、一義的な解釈ができないところに、この小説の物語としての真のおもしろさがあるのかもしれません。

「ずおん」という語尾が使いたくなったずおん、な今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

好きな子をいじめちゃうツンデレ女子の話ずおん?

狐人的読書メモ

・「かごめかごめ」も「人身売買」を暗示した遊びだという都市伝説がある。あるいは「遊女のこと」「いじめ」「埋蔵金のありか」などを示した歌ともいわれていて、やっぱり興味深い。

・『雀こ/太宰治』の概要

1935年(昭和10年)『作品』にて初出。作品集『晩年』に収録。リズミカルな方言で書かれた詩的でノスタルジックな作品。内容については複数の読み方ができておもしろい。

以上、『雀こ/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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