ドン/夢野久作=壁ドン!半ドン?猫も魚より肉が好き?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

ドン-夢野久作-イメージ

今回は『ドン/夢野久作』です。

文字900字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約3分。

金魚。狙う猫。憎む犬。誅滅の坊ちゃん。必罰の父。憂懼の母。「ドン」が彼らにもたらす運命。それは惨劇か喜劇か。ご一読あれ。他、ドンと猫のあれこれ。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

(今回は全文です)

『ドン/夢野久作』

たいそうあたたかくなりました。

猫が久し振りにあたたかくなったので縁側に出て見ると、縁側の鉢の中にいる金魚が五、六匹チラチラしています。これは占めた、どうかして取って食べてやろうと思ってジッと鉢の中を狙いました。

犬がこれを見つけて、これはうまいと思いました。ふだんから憎らしいと思う猫が今日は全く気がつかずにいる。今度こそは引っ捕えてひどい目に合わせて遣ろうと、猫に気のつかぬようにそっとうしろから忍び寄りました。

二階の窓から坊ちゃんがこれを見つけて、あの憎らしい犬が又猫をいじめてやろうとしている。今日こそは勘弁しないぞと、空気銃にバラ玉を込めて犬のお尻の処をジット狙いました。

その時お父さまがこれを見つけて、又坊やがいたずらをしている。よその犬に怪我をさせては大変だ。よしよし捕まえてこらして遣ろうと、ぬき足さし足うしろから近寄ってお出でになりました。

室の隅で縫い物をしていらっしたお母様はお父様の様子に気がついて、どうしたのかと思って窓の外を見ると、猫は金魚をねらい、犬は猫のすぐ後に近寄り、坊ちゃんは犬のお尻を狙って引き金を引こうとし、お父様は坊ちゃんの襟を捕まえようとしておられます。うっかりすると金魚も猫も犬も坊ちゃんもみんなひどい目に合いそうです。お母様はどうしてよいやらわからなくなりました。

その時にすぐ近所の砲台で耳も裂ける位大きなドンが鳴りました。

金魚は驚いて石の下へ逃げ込みました。

猫はガッカリしてうしろをふり返ると、犬がすぐ足もとにいたので驚いて家の中へ逃げ込みました。

犬はしまったと思って縁側に飛び上ると、空気銃の弾丸が尻尾のさきをカスッたので驚いて逃げて行きました。

坊ちゃんはガッカリしてうしろを見ますと、お父様が怖い顔をして立っておられたので、

「あれ。堪忍して頂戴」

と言うなりに空気銃を投げ出して逃げて行きました。

「アハハハハハ」

とお父様はお笑いになりました。

お母様はホッとしました。

それから間もなく金魚はを投げて貰いました。

猫も犬も御飯をいただきました。

その時お父様もお母様も坊ちゃんも楽しいお昼の御飯を食べていました。

狐人的読書感想

おもしろいお話だと思いました。誰も悲しまず、皆が楽しくなる物語は、やっぱりいいなぁと感じます。金魚、猫、犬、坊ちゃん、父、母と視点を分けて群像劇っぽくしてもおもしろそうですね。

さて、タイトルの『ドン』ってなんだろう?

と疑問に思ったのですが、おそらくは「午砲」というもののようですね。午砲は、昔、時間を知らせるため(時報)に打っていた大砲(空砲)とのことで、日本では正午(お昼)に打つことが多かったそうです。

(だからみんなお昼ご飯を食べるオチなんでしょうね)

ところで、午前中に授業や仕事が終わって午後が休みになることを「半ドン」とか「昼ドン」とか言ったみたいです。

「半ドン」「昼ドン」は、午砲の「ドン」に由来するという話がありますが、これは異説で、オランダ語で日曜日を意味する「zondag(ゾンターク)」が「ドンタク」と訛り、語源となったという説が有力なんだそうです。

(「博多どんたく」の由来も「zondag(ゾンターク)」だとか)

そんなわけで、ドンは「爆発や発砲のオノマトペ」だったとわかったのですが、最近では「壁ドン」とか「椅子ドン」とか、胸キュンシチュエーションとしての「ドン」もあったりしますね。

あと「どん兵衛」とか。

なんとなく「ドン」っておもしろいなと思いました。

それから気になったシーンに「猫が金魚を狙う場面」がありました。

「お魚くわえた ドラ猫追っかけて~」みたいに、「猫は魚好き」というイメージがありますが、これ、じつは日本だけのイメージなんだそうです。

昔、日本人は肉ではなく主に魚を食べていました。猫のエサは人間の食べ残しが普通だったので、猫も魚を食べていて「猫=魚好き」のイメージが定着したみたいです(本当はやっぱり羊や牛の肉が好きなんだとか)。

もともと猫は害獣(ねずみ)駆除が目的で飼われるようになったんですよね。なんでもいまから9500年前には、人間はすでに猫を飼っていたのでは……ともいわれています。

日本には奈良時代の頃の仏教伝来の際、経典などの書物をねずみから守るために猫も一緒に中国から輸入されたといいます。以後、人なつっこい性格となかなか繁殖しなかった希少性から、猫は貴族のペットになりました。庶民にも飼われるようになったのは江戸時代頃からだそうです。

「ドン」と「猫」の由来が気になった、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

壁ドン!半ドン?猫も魚より肉が好き?

狐人的読書メモ

・ちなみに、犬のほうが人間と一緒に生活してきた歴史は長いらしい(世界的には1万2000年前、日本的には7000年前の縄文時代から)

・『ドン/夢野久作』の概要

1923年(大正12年)『九州日報』にて初出。九州日報シリーズ。初出時の署名は「海若藍平」。ほのぼのとしてハートフルな話。

以上、『ドン/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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