三つの宝/芥川龍之介=空飛ぶ靴?透明マント?斬鉄剣?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

三つの宝-芥川龍之介-イメージ

今回は『三つの宝/芥川龍之介』です。

文字8000字ほどの戯曲。
狐人的読書時間は約16分。

三つの宝とは、空飛ぶ靴(ドラクエⅣ)、透明マント(ハリポタ)、斬鉄剣(石川五ェ門―ルパン三世―、オーディン―FFシリーズ―)のこと? 芥川龍之介の戯曲のこと!

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

森の中で、三人の盗賊が宝を争っている。宝とは、一飛びに千里飛ぶ長靴、着れば姿の隠れるマント、鉄でもまっ二つに切れる剣――ただし見た目は古道具にしか見えない。そこへ王子がやってきて事情を尋ねる。

盗賊たち曰く、一つずつ分けようにも、剣を手にされたら他の者はいつ切られるかもしれず、マントを着られたら何を盗まれるかわからない、盗んだとしても長靴がなければ千里飛んで逃げられない……。

王子は、それなら自分の身に着けている高価な長靴、マント、剣と交換しようと持ちかける。盗賊たちはあっさり承諾する。……うまい商売をした――三つの宝は偽物で、争いは盗賊たちの仕組んだ芝居だった。

宿屋の酒場にやってきた王子は、店主と客たちの会話を聞き、この国の王女がアフリカの王とむりやり結婚させられそうになっている事実を知る。王子はそれを助けてみせると宣言し、さっそく長靴で飛ぼうとするが……尻餅をついてしまう。一同に笑われる中、王子は歩いて酒場をあとにする。

王子はマントを使って王城の庭に侵入する。と、そこには噂の王女がいる。王女に声をかけられて、王子は自分の姿が見えていることを教えられる。「古いマントを着ていらっしゃるから、兵士にはきっと召使いだと思われたのでしょう」と王女は笑う――長靴だけでなく、マントも偽物だったのか……。

そこへアフリカの王が姿を現す。アフリカの王は本物の長靴で千里を飛んでやってきて、本物のマントで姿を消していたのだ。アフリカの王は求婚し、王女はそれを拒絶する。

王子はアフリカの王に戦いを挑む。アフリカの王の本物の剣で、王子の偽物の剣は切られてしまう。しかし王子は諦めない。その姿を見たアフリカの王は、王子を切ればいよいよ王女に憎まれるばかりだと悟る。

アフリカの王は王子と和解する。王女はアフリカの王がやさしい人物だとは知らず、偏見で嫌っていたことを心から謝罪する。アフリカの王は、本物の三つの宝を二人の婚礼祝いとして贈り、変わらぬ友情を約束するのだった。

狐人的読書感想

この作品は戯曲(演劇の台本)なんだそうです。

なかなかおもしろかったです。

三つの宝には興味を惹かれます。

・一飛びに千里飛ぶ長靴
・着れば姿の隠れるマント
・鉄でもまっ二つに切れる剣

ですが、

・空飛ぶ靴(ドラクエⅣ)
・透明マント(ハリポタ)
・斬鉄剣(石川五ェ門―ルパン三世―、オーディン―FFシリーズ―)

を思い浮かべてしまいました。

ハリー・ポッターシリーズでは、たしか『透明マント』のほかに、『ニワトコの杖』と『甦りの石』があって、「三つの宝」的な扱いになっていましたね。

「三つの宝」は、なんとなく創作に使えそうなガジェットだと思ったのですが、本作にもモチーフになった「三つの宝」があったのかなぁ……、というあたりが気になりました。

世界観がどこかアラビアンナイト(『千夜一夜物語』)っぽかったので、それに出てくるアイテムなのかと、ちょっと調べてみたのですが、わかりませんでした。

(「薔薇の微笑のファリザード」というお話に、「もの言う鳥」「歌う木」「金色の水」という「三つの宝」が出てくるのですが、本作とは物も使用効果も全然違うんですよね)

――完全な余談でした。

さて。

本作は戯曲なので、当然なのですが、まさに舞台向きの物語だと感じました。このまま学校演劇とかでやったら、普通におもしろいんじゃないかな、って感じです(実際に演じられているのかもしれませんが)。

やっぱり全体的にご都合主義で、お決まりの大団円ではあるのですが、舞台だと思えば楽しめるんですよね……このあたり、なんだか不思議な気がします。

一番心打たれたのは、アフリカの王の人柄ですね。

三つの宝という力を持っていながら、偽物の宝で堂々と挑んでくる王子との戦いの中で己の愚を悟り、それを素直に認めて謝れるというのは、ものすごいことだと感じます。

王女はアフリカの王が黒人(肌の色が黒い)というだけで、差別的に嫌っていたのですが、そのやさしい人柄に触れてやはり自分の過ちを知り、泣いて謝る姿は感動的でした。

……まあ、現実はこんなにキレイにいかないですよね、アフリカの王は挑んできた王子を躊躇なく斬鉄剣で真っ二つにして、強引に王女を奪っていくほうがリアルですよね――というのが、ひねくれものの僕の正直な感想です。

しかし、物語の最後に王子はこんなことを言っているんですよね。

王子 そうです。(見物に向いながら)皆さん! 我々三人は目がさめました。悪魔のような黒ん坊の王や、三つの宝を持っている王子は、御伽噺にあるだけなのです。我々はもう目がさめた以上、御伽噺の中の国には、住んでいるわけには行きません。我々の前にはきりの奥から、もっと広い世界が浮んで来ます。我々はこの薔薇と噴水との世界から、一しょにその世界へ出て行きましょう。もっと広い世界! もっとみにくい、もっと美しい、――もっと大きい御伽噺の世界! その世界に我々を待っているものは、苦しみかまたは楽しみか、我々は何も知りません。ただ我々はその世界へ、勇ましい一隊の兵卒のように、進んで行く事を知っているだけです。

じつは、この解釈が、僕にはちょっと難しく感じられました。

舞台の演出としては、最後にお客さんを物語の世界から現実の世界に引き戻す効果のあるセリフだと思うのですが、それだけなんですかね?

現実も大きな御伽噺の世界のようなものだってことなんでしょうか? それとも現実は現実だよってことなんでしょうか? はたまたもっと深い意味が?

――そんな感じの(?)、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

空飛ぶ靴? 透明マント? 斬鉄剣?

狐人的読書メモ

・盗賊の話では「三つの宝」が三すくみの関係になっているように思ったのだが、微妙に成立していない気もする。空飛ぶ靴か透明マントで、寝込みを襲うのがベストな気がする。

・人が偏見や差別をしてしまうのは仕方なく、それをよくないことだと思い、謝罪できる心が大切なのかもしれない。

・『三つの宝/芥川龍之介』の概要

1922年(大正11年)、『良婦之友(2月号)』にて初出。芥川龍之介の戯曲。初出時の表題は「童話劇 三つの宝(田中良画)」。1923年(大正12年)、短編集『春服』(春陽堂)収録。児童向けっぽいが大人も楽しめる(と思う)。

以上、『三つの宝/芥川龍之介』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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