私の文学/織田作之助=よい小説を書くための6つの心得。

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

私の文学-織田作之助-イメージ

今回は『私の文学/織田作之助』です。

文字2400字ほどの随筆。
狐人的読書時間は約8分。

任意の一点とは、読めばその作者の作品だとわかる、雰囲気や文体、個性。それを書き尽くしたとき、自分の本当の小説が始まる。借金しても仕事のためには贅沢な気持ちでいる。……など。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

・小説を書くとき、任意の一点が設定される。それはどんな作品を書いても、根底にあるその作者の隠されたテーマ。織田の場合、任意の一点は自分の人生や生命そのもの。目下のところ、それは孤独と放浪である。

・この任意の一点を書き尽くしたとき、自分の本当の文学が始まるのではないか、と織田は思っていた。任意の一点を書き尽くし、吐き出し切る。宿命的なそれから早く脱したい。

・人より少なく寝て、人より多くの金を作品に使う。作品が稼ぎ出した金を残そうとはしない。借金しても仕事のためには贅沢な気持ちでいること。自分が世知辛くなれば、自分の仕事も世知辛くなる。

・織田は文学以外のことではすべてを犠牲にしている。

・十行を一行で書くことができる。十行を千行で書けるようになりたい。

・永久に新人でありたい。自分の作家としての可能性を信じている。

狐人的読書感想

小説で食べている人の文章だと感じました。

それだけに、趣味レベルでしか書けていない、自分のスタイルの参考になるとは言いにくいですが、読み物としておもしろかったです。

(織田作之助さんの随筆は、読み物としておもしろいと感じるものが多いです。ひょっとして、随筆そのものが、おもしろい?)

小説を書くときに設定する、あるいは設定されてしまう任意の一点みたいなものは、僕にもわかるような気がしました。

読めばその作家の作品だとわかる、物語全体の雰囲気や文体みたいなものだと思います。あと、似たようなキャラクターがどの作品にも登場してきたり。

任意の一点は、作者の個性となり、作品をいいものにしますが、それがずっと続くと、読者にマンネリな印象を与えてしまうかもしれませんね。

織田さんは、作品のマンネリ化のことを気にしている、というよりは、純粋に自分の新しい文学を追求する姿勢のことを言っているようですが、文豪小説がよく前期・中期・後期と分けられたりしているのは、あるいはこういうことを言っているのかもしれません、文体の変化?――みたいな。

(任意の一点を一つの作品としてさえ書き出せない僕には、なんだか遠すぎる話のような気がしてしまいます)

作品のためにお金や時間を使う、というのは、わかりますね。専業作家さんは、多かれ少なかれ間違いなくこれを実践しているといえるわけですしね。

小説を書くって、気分に大きく左右される気がするので、気分よく書くためにはお金を使って、万全のコンディションで臨むというのは、一ついい小説を書くための方法であるかもしれません。

(その意味で、睡眠時間を削るのは、個人的にはきつい気がしましたが)

とはいえ、この考え方には専業作家さんでも個人差がありそうです。

以前、横光利一さんの随筆『作家の生活』を読んだときには、「創作を作家の本業とすべきではない。創作を作家の副業とすべきだ」みたいなフレーズが心に残りました。

家族などに迷惑をかけてまで、無理をして書く必要はない――といったふうに僕は解釈したのですが、仕事として小説にすべてをかけるのか、かけられるのか、あるいは無理しない範囲で書いても作品が世に認められるのか――一概には言えないような気がしました。

本随筆で、織田さんは自己評価を「菲才」としているんですよね。

あるいは無理しない範囲で書いて売れてる小説家さんが、本当の天才だということは、たしかに言えるのかもしれませんね。

とはいえ、文学以外すべてを犠牲にできるのもまた、まぎれもない作家の才能の一つだと感じますが。

織田さんは十行を一行で書ける、つぎは十行を千行で書けるようになりたい――と言っていますが、僕は逆に十行を一行で書くほうが難しいような気がしたのですが、どうなんでしょうね?

ちょっと他の人の意見も聞いてみたくなったところでした。

織田作之助さんとは違う意味で、『私の文学――このような文章は、私にはまだ書けない』と感じさせられてしまった、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

よい小説を書くための6つの心得……みたいなもの。

狐人的読書メモ

・いまの自分には『私の文学』の読書感想を書くくらいが関の山だろう――それさえ、重荷であるかもしれない。

・『私の文学/織田作之助』の概要

1946年(昭和21年)9月、『夕刊新大阪』にて初出。永久に新人でありたい織田作之助。任意の一点については、現代でも同じ悩みを抱える小説家は、けっこう多いのではなかろうか?

以上、『私の文学/織田作之助』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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