列車/太宰治=恋人に飽きるナルシスト、妻にイラつくエゴイスト。

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

列車-太宰治-イメージ

今回は『列車/太宰治』です。

文字3000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約10分。

東京の大学に進学した。田舎の幼なじみな彼女に飽きた。彼女が彼を追って上京した。みんなに自慢して彼女を捨てた。そんな友達の彼女を妻と見送りに行ってイラッ。ナルシシズムとエゴイズム。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

私の同郷の友達、汐田。彼には幼い頃からの恋人であるテツさんがいた。テツさんは貧しい家の娘だったので、汐田の家では二人の結婚に激しく反対していた。

私も汐田も東京の大学に入って、三年目の冬、テツさんが汐田を追って東京へ逃げてきた。が、汐田はすでにテツさんに飽きていた。

汐田はテツさんの出奔を友人たちに話してまわり、自分の自尊心を十分に満足させるとテツさんを列車にのせて故郷へ帰した。私はテツさんを見送ってやらなければと勝手に思った。

私の妻も無学な田舎女だったので、テツさんと話が合うだろうと見送りに連れて行ったのだが、おじぎをしただけでイラッとした。とくに話すこともなく、発車までの三分間が異様に長く感じた。

狐人的読書感想

総じて「ひどい男の話」って感じですかね。

故郷に「幼なじみな彼女」がいるけど、大学進学を機に遠距離恋愛になってしまい、自然消滅的に……みたいな話は、よくある話って気がします。

人間は「どんな刺激にもすぐ慣れて飽きっぽい」とはいわれますが、都会の新鮮な刺激に目移りしてしまうと、田舎の純朴な刺激にはすぐ飽きてしまうというのもわかりますが、飽きられてしまったテツさんはかわいそうでしたね。

たぶん、汐田にとっての、テツさんとの恋愛のピークは、高校時代だったんでしょうね。テツさんとの結婚を巡り、父親と度重なるケンカをして、最初のケンカでは興奮のあまり鼻血を出して卒倒したって……。

典型的な「燃え尽き症候群」っぽいですよね。恋愛感情はピークが早いと冷めるのも早いとかいわれたりしますし、理にはかなっている感じがします。

まあ、これって、男だけじゃなくて女にも当てはまることなのかなって話なので、「ひどい男の話」というよりも「ひどい人間の話」なんでしょうか?

でも、動物の恋愛が、まさにこんな感じですよね。「やったらおしまい」みたいな。オスは子育てにも参加しないって動物、けっこう多いはずですよね。

「人間も動物だ」って話なんですかね、これ?

「私」もけっこうひどいんですよね。汐田に捨てられてしまったテツさんを「見送ってやらねば!」ってところは「いいひとっぽく」思えるんですが、「いいひとな自分どう?」ってアピールされている印象は受けてしまいます。

妻に対する扱いもひどいですね。勝手に知らない女の見送りに連れて行かれて、上手く話ができないからってイライラされても困っちゃいますよね。

それで「これだから無学な田舎女は……」とか失望されても「ならなんで結婚したんだよ」って言いたくなっちゃいます。

人間誰しも「ナルシスト」や「エゴイスト」な一面があるかもしれませんが、そういう面が垣間見られる行動はなるべくつつしむべきなのかなって思います。

でもそうなってくると、「サプライズバースデーパーティー」だとか、いくら「相手を喜ばせたいから」とか言ってみても、結局「自分がいいひとだと思われたいだけ」なのかと思えば、ひとのために何かをするのってできなくなってしまう気もするんですよね。

「やらない善よりやる偽善」とも言いますから、やっぱりナルシシズムでもエゴイズムでも、行動したほうがいいんですかねぇ……。

テツさんも、下手になあなあに付き合い続けるよりは、きっぱりと別れてもらったほうが、時間を無駄にしなくてよかったのかも。

結局、何の話かよくわからなくなってしまったような、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

恋人に飽きるナルシスト、妻にイラつくエゴイスト。

狐人的読書メモ

・人がミステリアスなところに惹かれるのは、心理学用語で「ツァイガルニク効果」というそう。相手を知り尽くしたとき、恋愛は終わってしまうそう。そこから恋が愛に変わるかどうかはケースバイケースだそう。

・『列車/太宰治』の概要

1933年(昭和8年)『サンデー東奥』にて初出。短編集『晩年』に収録。太宰治の筆名で発表された最初の作品。ひとのナルシシズムとエゴイズム。

以上、『列車/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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コメント

  1. 力太郎 より:

     太宰治さんの『列車』の情報は非常に少なく、このブログを重宝させて頂きました。
     揚げ足取りみたいになりますが、「燃え尽き症候群」という言葉を聞いたことがなく、調べてみますと、
    以下引用ーーー「一定の生き方や関心に対して献身的に努力した人が期待した結果が得られなかった結果感じる徒労感や欲求不満ないし努力の結果、目標を達成したあとに生じる虚脱感を指す場合にも用いられる」ーーー引用終了
    とあり少し狐人七十四夏木さんの解釈は違うのかなと思いコメントを書かせて頂きました。もし、狐人七十四夏木さんの解釈を正しいとする文献があると教えて頂けると幸いです。
     コメント失礼しました。

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