おぜんやご飯のしたくと金貨を生む騾馬と棍棒袋から出ろ/グリム童話=長っ!

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

おぜんやご飯のしたくと金貨を生む騾馬と棍棒袋から出ろ-グリム童話-イメージ

今回は『おぜんやご飯のしたくと金貨を生む騾馬と棍棒袋から出ろ/グリム童話』です。

文字9000字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約25分。

A:「Bがあなたの悪口言ってるよ!」。B:「悪口なんて言ってないよ!」。Aはよくおごってくれる。あなたはAとBどちらを信じる?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

一人の仕立て屋がいた。三人の息子と一匹のヤギと暮らしていた。毎日ヤギのエサやりを順番にするのが、三人の息子の日課だった。

ある日、一番目の息子がヤギを草地に連れて行って、草を食べさせた。「いっぱい食べた?」と聞くと、ヤギは「もう葉っぱ一枚いらないメエ」と答えた。仕立て屋が「ヤギはちゃんとエサを食べたか?」と、一番目の息子に聞いた。一番目の息子は「もう葉っぱ一枚いらないよ」と答えた。念のために仕立て屋はヤギにも同じ質問をした。するとヤギは「何も食べなかったメエ」と嘘をついた。仕立て屋は怒り、一番目の息子を家から追い出した。

次の日は二番目の息子、また次の日には三番目の息子と、同様の出来事が繰り返された。家には仕立て屋とヤギだけになってしまったので、仕立て屋は自分でヤギを草地に連れて行った。「いっぱい食べたか?」、「もう葉っぱ一枚いらないメエ」。念のため家に帰ってからもう一度確認すると、「何も食べなかったメエ」。仕立て屋はヤギが嘘をついていたことを知り、ヤギの頭をつるつるに剃って家から叩き出した。仕立て屋は一人になったことを悲しく思った。

一番目の息子は家具職人の弟子になっていた。独り立ちの日、親方は彼に魔法のテーブルを贈った。魔法のテーブルは「支度しろ!」と言うと、食事と飲み物を出してくれた。一番目の息子は父親のところに戻る決心をした。途中寄った宿屋の主人に、魔法のテーブルを普通のテーブルとすり替えられてしまった。そのことに気づかなかった一番目の息子は、喜ぶ父親の前で「支度しろ!」と唱えるが……テーブルは何も出さなかった。

二番目の息子は粉ひきの弟子になっていた。独り立ちの日、親方は彼に金のロバを贈った。金のロバは「ブリックルブリット!」と言うと、金を吐き出した。二番目の息子は父親のところに戻る決心をした。途中寄った宿屋の主人に、金のロバを普通のロバとすり替えられてしまった。そのことに気づかなかった二番目の息子は、喜ぶ父親の前で「ブリックルブリット!」と唱えるが……ロバは何も出さなかった。

三番目の息子はろくろ師の弟子になっていた。独り立ちの日、親方は彼に不思議なこん棒入りの袋を贈った。袋は「こん棒、袋から出ろ!」と言うと、こん棒が出てきて悪人の背中を叩きのめした。三番目の息子は父親のところに戻る決心をした。三番目の息子は二人の兄から手紙をもらい、宿屋の主人が悪人だと知っていた。途中寄った宿屋で、主人は袋のこん棒に叩きのめされた。宿屋の主人は観念して、魔法のテーブルと金のロバを返した。

こうして仕立て屋と三人の息子はまた楽しく暮らし始めた。

一方、ヤギはつるつるの頭が恥ずかしくなり、狐の穴に逃げ込んだ。帰ってきた狐は、穴の中で光る獣の目を見て怖くなった。その話を熊にすると、熊が穴の獣を追い出してくれると言うが、直前で怖気づいてしまう。今度は蜂が熊から事情を聞き、「私は誰も目を合わすのを恐れない、弱い生き物だから、きっとあなたたちを助けられると思うわ」と言って、狐の穴へ。蜂はヤギのつるつる頭を針で刺して、見事撃退した。ヤギは「メエメエ」と鳴きながら逃げていき、どこへ行ったか誰も知らない。

狐人的読書感想

ブリックルブリット!

魔法のテーブル・金のロバ・不思議なこん棒入りの袋――僕はこれら三つのアイテムの中だったら、金のロバが一番欲しいと思いましたが、しかしロバには寿命がありますし、金もいつか無価値になるかもしれないことを考えるなら、魔法のテーブルをもらうのが、一番お得な選択なんですかね?

そんな、RPGやソシャゲでもらえるアイテムを選ぶときのようなことを考えてしまいましたが、「お得感に弱い」というのは一つ騙されやすい人の特徴なんだそうです。

ま、「50%OFF」とか「大セール」とか言ったところで、お店が完全に損するような商売をするわけはないので、言われてみればさもありなんといった感じですが……。

そんなこんなで。

今回は「騙されること(嘘をつかれること)、信じること」について思わされたグリム童話です。

息子たちは「ヤギに草を食べさせた」と言い、ヤギは「草を食べさせてもらえなかった」と言います。

仕立て屋はどちらかの言い分を信じなければならなかったわけですが、こういった状況は日常生活において頻繁に見かけるような気がします。

たとえば最近のニュースでいえば「日大の悪質タックル問題」。

加害者側の反則をした選手は「監督・コーチの指示があった」と言い、監督・コーチは「指示はなかった」と言います。

加計学園問題も、総理と加計学園と、どちらが嘘をついているんだ? 的な流れになっていますよね。

いったいどちらを信じるか?

――みたいな。

学校とかでも「Bさんがあなたの悪口言ってたよ!」とAさんが言い、Bさんは「悪口なんて言ってないよ!」と言い――どちらが本当のことを言っているんだか、本当にわからなくなるときがあります。

仕立て屋はなぜヤギを信じたんだろう……、と考えてみるに、仕立て屋は息子たちよりもヤギのほうがかわいかったから(おいおい……)という結論に至ります。

なぜ、仕立て屋にとってヤギのほうがかわいかったかといえば、ヤギはおいしいミルクを仕立て屋にくれるからです。

このように、「ヤギのほうがかわいい」というのは仕立て屋の価値観であって、人は自分の価値観に従い「自分に得のある人」の意見を信じてしまいがちな気がします。

たとえ客観的に見て、その人が嘘をついている疑いが濃厚だったとしても、普段お世話になっている人だったりすると、信じてしまいたくなりますよね。

調べてみて、確実な証拠があれば、騙されていたこともわかりますが、確実な証拠があっても確実な証拠が出ない嘘でまた偽って、結局うやむやになることが世の中には多いように思います。

物語の場合、性悪なヤギは嘘がバレて、それ相応の罰を受けましたが、現実の場合、性悪なヤギはふてぶてしく生きていたりして――僕も性悪なヤギにはならないように注意したいと思った、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

てか、タイトル長っ!(でも、ラノベとか中心に、タイトル長いの流行ってる……?)

狐人的読書メモ

・宿屋の主人の盗みについても、やはり「悪行はよくない!」という単純なメッセージが含まれている。全体としてグリム童話らしい「勧善懲悪」の物語だといってよいだろう。

・最近のニュースはもうちょっと「加計学園問題」のほう取り上げてもいいんじゃない?――と、思わなくもない。

・『おぜんやご飯のしたくと金貨を生む騾馬と棍棒袋から出ろ/グリム童話』の概要

KHM36。訳者によっては「“テーブルよ、ご飯の用意”とお金を生むロバと“こん棒、袋から”」の題もある。三番目の息子が「不思議なこん棒入りの袋」を、何の罪もない犬や人でテストするシーンが最初のほうの版で見られたらしいが、道徳的観点からすべて削除され、悪人をこらしめる描写がより強調された。

以上、『おぜんやご飯のしたくと金貨を生む騾馬と棍棒袋から出ろ/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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