狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『スランプ/夢野久作』です。
文字数3000字ほどのエッセイ。
狐人的読書時間は約10分。
前はどんなにうるさくても集中してできたのに……。スランプは突然やってくる。テスト勉強は心理学的にリビングでやるのがいいんだって。発想の転換とポジティブシンキングでスランプ克服?
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
(夢野久作さんが、スランプに陥ってしまったことを、原稿の依頼元である出版社「ぷろふいる社」に、手紙として綴ったエッセイ)
夢野は、九州日報で記者をしていた時代、編集長に鍛えられて、電話や靴の音がガンガンするバラックの二階でも、快調に文章を書ける筆を身につけたという。
が、作家として、静かで集中できる環境が整うと、逆にハエの羽音さえ気になるようになり、一時間に五枚のペースは、一日に五枚ないし二枚というペースにまで落ち込んでいった。
スランプを解消する方法といえば、普通気晴らしをすることであるが、酒を飲んだり女と遊んだりするのは、夢野の性に合わない。
そこで、仕事で疲れたときにやってきた方法を試してみる。それはヘトヘトになるまで野山を散策し、夢一つ見ない睡眠をとり、翌日もう一度昼寝をして、頭をスッキリさせることだ。
しかしそれでも一行も書けない。
そうするうち、俳句や川柳や短歌は書けるのに(つまらないものだが)、創作小説だけがどうしても書けないことに気がつく。
スランプの原因がわからない。書きたいものは山ほどあるのに、書けない。じれったい。だが、ひょっとしてこれは、創作欲求が絶頂に達していて、逆に書き出せないのかもしれない、と思うと、しっくりくる。
とはいえ、万一、創作ができなくなったのだとしたら、どうなるのだろう……という不安を抱えている。
狐人的読書感想
電話や靴の音がガンガンしていても、集中して文章が書けるというのは、すごいという気がします。
僕なんかはテレビがついているだけでも、ついついそちらに気を取られがちになってしまうのですが、訓練次第でどうにかなるものなんですかね?
そういえば、心理学的には、人は他人のいる環境のほうが、見られているという緊張感から集中力が高まるのだ、という話を聞いたことがあります。
なので、勉強をする場所として最適なのは、やっぱり図書館とか、家では家族がいることの多いリビングなのだとか。
実際テストを受けるときにも騒音はつきものなので、その訓練のためにも、勉強のとき、適度な生活音はあったほうが良いといいますね。
さて。
本作は、スランプというものについてつらつら書かれているのですが、調べてみると意外と的を射ていることが多くて、ちょっと驚いてしまいました。
夢野さんは、スランプのちゃんとした原因はわからないけれども、創作欲求の高まりのようなものは感じていて、それが逆に執筆の妨げになっている気がする――みたいなことを書いているのですが、こういう心境って、まさにスランプの一因となりうるらしいです。
芸術家やスポーツ選手などでよく聞かれるスランプですが、そこから脱却したとき、大きく飛躍するみたいな話もよく聞かれますよね。
スランプといえば自分の限界に直面し、マイナス思考になってしまいがちですが、実際は悪い面と良い面とがあって、複合的に受け入れてポジティブに考えることが、そこから抜け出す一つの考え方だといいます。
そういったことをとくに知らずに、しかししっかりと意識していたように、このエッセイからは読み取れるんですよね。
そこがなんだかすごいなって気がします。
スランプは誰にでも起こりうること、ってなことで、恥ずかしながら自分のことを少し書いてみると、僕も書いている小説が途中で書けなくなることがよくあるんですよね。
だけど、こういった読書感想(?)みたいなブログ記事はけっこう書けたりして、なんで小説だけ書けなくなるんだろう? ってことはかなり疑問に思っていました。
考えてみるに、こだわりが強くなり過ぎるからなのかなって、気がします。下手なりにどうにか上手く書きたいって気持ちが先行してしまっているような感じがするんですよね。
逆にいえば、こういうブログ記事は文体とか語彙とか同じ言葉の繰り返しとか、あまり気にせず、かなり気楽に書いているから継続できているのかもしれません。
こだわりを捨てて、上手く書こうとか気にせずに、書きかけの小説をまた書きはじめてみたいと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
正直、最近スランプです。
狐人的読書メモ
・――とはいえ、僕の場合はただの甘えや言い訳、なのかもしれない。
・スランプって聞いて、『Dr.スランプ』って思い浮かんで、なんだっけ? ってなって調べてみたら、アラレちゃんの正式タイトルだった。『ドラゴンボール超』が最終回になってがっかりしたけれど、アラレちゃんもまたアニメとかやらないかなあ……。
・『スランプ/夢野久作』の概要
1935年(昭和10年)『ぷろふいる』にて初出。当たり前のことなのかもしれないが、文豪でもスランプに陥るという事実にはいつも驚く。夢野久作のエッセイはおもしろい。
以上、『スランプ/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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