小説読書感想『科学者とあたま 寺田寅彦』科学者とは頭のいい人?悪い人?

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。
(「『狐人』の由来」と「初めまして」のご挨拶はこちら⇒狐人日記 その1 「皆もすなるブログといふものを…」&「『狐人』の由来」

今回の小説読書感想は『科学者とあたま 寺田寅彦』です……というか、小説ではなくて、随筆だったようですね。なので、今回の随筆読書感想は『科学者とあたま 寺田寅彦』です、ということになります。

しかしながら、随筆……あまり読んだことないのですが、エッセイという認識でいいんでしょうか。調べてみたところ、随筆とエッセイには違いがあるみたいです。

・随筆は実際にあった出来事で見聞きした感想を書いたもの
・エッセイは書き手の個人的な心情を書いたもの

うーむ、分かったような、分からないような……。だからなのか、随筆を「男性的」、エッセイを「女性的」だと感じる人もいるそうなのですが、では僕がここで書いているような文章はなんなんでしょうねえ……ただの駄文だと思われないことを祈るばかりなのですが(あるいは自身でそう思わないよう努力したい!)。

ともあれ。

寺田寅彦さんの『科学者とあたま』です。

寺田寅彦さんのお名前は初耳でした――最近はこればかりという気がしますが。確か前回のブログ記事(⇒小説読書感想『蠅 横光利一』デスノートのリュークも言ってた「死は平等だ」)もこのパターンでした。

ただ、そこに一筋の光を見出すとすれば、寺田寅彦さんは「小説家」ではないみたいです。「物理学者」・「随筆家」・「俳人」といったマルチな肩書きをお持ちのよう(……ん? だとすると、ひょっとして寺田寅彦さんは文豪じゃない? しからば、此度の『文豪ストレイドッグス』雑談ならびに『文豪とアルケミスト』雑談は……)。

おっ、夏目漱石さんの教え子のお一人だそうです。あの『吾輩は猫である』の水島寒月とか、『三四郎』の野々宮宗八のモデルと聞けば、僕などは俄然興味が湧いてくるわけなのですが。

寺田寅彦さんは「天災は忘れた頃にやってくる」という警句を言い残したことでも有名だそう。寺田寅彦さんの随筆にその警句は載っていないようですが、寺田寅彦さんのお弟子さんの一人、中谷宇吉郎さんが自身の随筆で記述しており、寺田寅彦さんの言葉を書き残したものと見られているようです。

……もしも中谷宇吉郎さんが考えた言葉だったら、より有名な寺田寅彦さんの言葉として世間がもてはやしてしまったのだとしたら、と考え出してしまうと、一抹の不安が過る伝説ですが――、とはいえ東日本大震災があった2011年3月11日から5年(もうすぐ6年)……「天災は忘れた頃にやってくる」とならないことを願わずにはいられません。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ『科学者とあたま』を読んでいきたいと思います。お付き合いいただけましたら、幸いです。

寺田寅彦さんの『科学者とあたま』を要約すると、科学者とは、頭が悪くないとなれない、と結構簡単にまとめられてしまいます。うーん、僕からすれば、なんだか希望を持たされてしまうようなお話なのですが……。

以下、一つずつその論拠を取り上げてみます。

・科学者は頭がよくて、頭が悪くなくてはいけない

科学者が頭がいいというのは、一般的な常識になっていて、一つの真実ではあるけれど、逆に頭が悪くなくては科学者たりえないと言っているわけですね。その理由が次から述べられていくのですが、なあんだ、やっぱりただ頭が悪いだけじゃダメなのかあ、がっくし――最初に抱いた希望はすぐに崩れることとなりました。

ここで僕が思い浮かべたのは青色サヴァン――、いえ「サヴァン症候群」です(西尾維新さん作品好きがちらりしてしまいました)。知的障害や発達障害により、一見すると頭が悪く見えてしまう「サヴァン症候群」ですが、ある特定分野に限り、とても優れた能力を発揮するのは今や有名な話ですよね。

てか、たった今「サヴァン症候群」を調べていて、元AKB48の高橋みなみさんが「サヴァン症候群」なのではという噂があったことを知りました。なんでも『めちゃイケ』の『AKB48抜き打ちテスト』という企画で、高橋みなみさんの書いた回答の絵が、実に緻密に描かれていたのが噂の発端だったそう。確かに、凄い上手いなあ! ……と思ったら、番組の用意した台本だったとかなかったとかでがっかり、という余談でした。

余談過ぎました。次からはどんどん進んでいきます(少なくともその努力をします!)。

・頭のいい人は足の早い旅人

ゆえに頭のいい人は、他者よりも早く先まで辿り着けます。しかし脇道にある大切なものを見落としがちです。頭の悪い人は歩みは遅くても、そうした大切なものを拾い上げることができるといいます。確かに、世紀の大発見というのは、得てしてそうしたところから生まれる、という気がします。

・頭のいい人は富士山に登らない

裾野から頂上を眺めて、すべてを分かった気になってしまうから、実際の経験ができないということですかね。頷ける意見だと思います。また、頭のいい人は先の予測が正確にできるため、悪いことを考えてしまい、挑戦する勇気が持てません。反対に頭の悪い人にはそれがなく、結果、楽観的に難関を潜り抜けてしまう場合が多いといいます。「口で言うよりまずは行動で示す」といった感じでしょうか。上司に「おやっ」と思わせるような、新入社員の示すべき仕事の姿勢にも通じるような話ですね。

・「間違ってるのは実験結果じゃない!」

頭のいい人は自分の頭の良さを過信してしまいがちです。ゆえに、想定した結果と別のデータが得られたとしても、その現実を受け入れられず、ときにこじつけのような研究成果を発表してしまう……小保方晴子さんのSTAP細胞論文問題を想起させられてしまいました。

・頭のいい人は恋ができない。

恋は盲目――、科学者たる者はやはり科学以外の余計な物事に目を奪われるべきではないのでしょうか。科学が恋人――、うーん……、ここはちょっと頷けなかったです。余計な物事から大発見につながることもあるんじゃないかなあ。ただ一意専心というのは、前述の、ひたすら一つの物事に打ち込んでしまう「サヴァン症候群」の性質に通じるところがあり、そうかと思えば納得できる言ではあります。

・頭のいい人は口だけ

失敗を恐れて行動できない人は、批評家にはなれても科学者にはなれないそうです。これは、なかなか行動に移せない僕としても耳の痛い話でした。失敗を恐れるというよりは、ものぐさな性格ゆえになのですが……。「発明の神様」エジソンさんも「失敗は成功の母」という名言を残していますし、納得の部分です。事実はどうあれ、エジソンさんといえば、やはり「サヴァン症候群」を思い浮かべてしまいますね。

・頭のいい人は他人の仕事のあらを探す

他人のあらが目に付くので、自分は誰よりも賢いと錯覚してしまうわけです。そうすると驕りが生まれて向上心が緩んでしまいます。頭の悪い人は自分ができないからこそ、他人の仕事が立派に見えるし、なおかつすごそうな仕事でも、自分にもできそうな気がして向上心を刺激されるといいます。物事に対する素直な姿勢が、頭のいい人よりも頭の悪い人の方が生じやすく、ゆえに吸収力の差にもつながってくる、というふうに僕は解釈しました。納得です。

・頭のいい人は評価を求める

頭のいい人は、何か新しい発見をしても、それが評価につながらないとなれば、簡単にそれを放棄してしまいます。頭の悪い人は評価なんかを気にせず、そういった見込みをつけないから、ただひたすらにそれを追求して極めてしまう。それがのちの世に至って評価されるケースも稀ではありません。ぱっと思い浮かぶのは、「地動説」のコペルニクスさん、「種の起源」のダーウィンさん、「遺伝の法則」を発見したメンデルさんあたりでしょうか。……確かに。

・頭のいい人は先生にはなれても科学者にはなれない

ここまでの総括のような意見だと思いました。この意見に共感できるか、できないかは、これまでにその人が出会ってきた先生によって変わってくるのではないかと僕は思います。つまり、尊敬できる先生に出会ってきたか否か。教師よりも科学者の方が上だとまでは思いませんが、人間的な魅力のある先生という人に、僕は出会ったことがありません。僕がこの意見をもじって言うならば、頭のいい人は先生にはなれても、「いい先生」にはなれない、といったところでしょうか。良い教師の素養にも、どこか「頭の悪さ」みたいなものが必要なのではないでしょうか。『GTO』という漫画の鬼塚英吉をふと思い浮かべてしまった次第です。(だけど、こんな教師批判めいたことは、学校の読書感想文の宿題ではとても書けませんよねえ。書いてみてもいいよっ、といった強者求む!)

・科学だけが学問じゃない

寺田寅彦さんは最後にこう結んでいます。頭のいい科学者は、科学がすべてのように思ってしまいがちですが、科学で解決できない問題が、世界にはたくさんあります。科学とは別にある人間の世界というものにも目を向けなければ、科学者としてはよくても、人としてはよくないよ、というわけです。科学万能の現代にあって、他の大切なものを忘れてはいけないよ、みたいな、人の思い上がりを諫めるような教訓とも捉えることができるのではないかな、とも感じました。今回のオチ的にいえば、小説ばかりではなく随筆やエッセイも読もう! みたいな(違う?)。

さて。

さてさて。

懸念していた『文豪ストレイドッグス』雑談のコーナーですが……やはり懸念通り! 寺田寅彦さんは未登場。小説家じゃないですものね、寺田寅彦さん。しかしてしかし、検索してみると、寺田寅彦さんの登場を望んでいる方もいるみたい。一応今後に期待してもいいのでしょうか? ということで今後の登場に期待! です。

『文豪とアルケミスト』の方はといえば、こちらも未登場。同じく今後に期待! ですね。

以上、寺田寅彦さんの『科学者とあたま』の随筆読書感想でした。

「青色サヴァン」をはじめいろいろな天才たちが登場する西尾維新さんの戯言シリーズ第一作。

今回のブログ記事と関連した漫画『GTO』


寺田寅彦さんの登場が望まれる『文豪ストレイドッグス』はこちら。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。

それでは今日はこの辺で。

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