狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『洋灯/横光利一』です。
横光利一 さんの『洋灯』は文字数4200字ほど。
狐人的読書時間は約12分。
小さなランプの灯が呼び起こす幼少の頃の温かな記憶。
どこかほっとする短編小説。
ランプ肉、ランプドラゴン、ランプの魔神。
「なんでも一つだけ願い事を叶えてあげよう」
あなたは何をお願いする?
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
停電して夜が暗い。そんな「私」に知人が持ってきてくれた小さなランプ。それを眺めていると、「私」の胸の底から、やさしいような気持ちが湧き起こってくる。「私」が初めてランプを見たのは六つのとき。田舎の伯母の家でのこと。父の仕事の関係で、「私」は3年間、ランプの下の生活をした。「私」が思い出す、田舎の生活と温かい親戚の人たち。
狐人的読書感想
これまでに読んできた、新感覚派と呼ばれる横光利一 さんの作品は、挑戦的でおもしろいものばかりでしたが、その反面狐人的にはちょっと難しく感じるところも多く、しかし今回の『洋灯』は、どこかほっと一息つけるような、まさに郷愁を思わせる私小説でした。
停電して暗い家のなかで、ほのかに灯る小さなランプの明かりを見ていて、幼少の頃の、田舎で生活した温かな記憶がよみがえってくる……、そんな経験が僕にはないので、ちょっとうらやましいような気もしましたが、どうでしょうねえ……。
小学校1年生で3回も学校を変えさせられていたり、何かと不便な印象のある田舎の農家での生活が、必ずしも楽しいばかりの記憶だった、とも言い難いところはありますが、現代ではなかなか得難い体験だと、言えるのではないでしょうか。
大きな石臼からこぼれる黄色い豆の粉、透明な虫が紡ぐ真っ白な繭、牛に穿かせる草履を編む人々、ホオジロの巣と縞模様の卵、合歓の花咲く川端、そこに住まうナマズとウナギ、どこの桑の実が甘いのか、藪の中の竹の長さ――そうしたものを日々観察して暮らした「私」。
僕にとっては、実際には見たことのない景色ばかりですが、なんとなく目の前に浮かんでくるような、そんな田舎の情景描写がとても印象的です。親戚付き合いなんてものも、現在ではずいぶん希薄になっているように思えるのですが(僕だけ?)、母の姉妹にあたる4人の伯母(1人は叔母)たちも、個性的でそれぞれに温かな人柄が感じられる人たちでした。
ランプを見てイメージするもの……、と考えてみるのですが、照明といえばLEDといった昨今、そもそもランプを見る機会自体が珍しいような気がするのですが、いかがでしょうか。インテリアとしてのランプシェードのようなものはありますが、やはり火を灯す洋灯とは、ちょっと違ったもののように思います。
あまりに何も思い浮かばないので、グーグル検索に頼ってみると、ランプ肉(牛肉の部位)、ランプドラゴン(シャドウバース)、ランプの魔神……、といった感じ。
この中でちょっとでも話題にできそうなのはランプの魔神ですかねえ……、ランプの魔神といえば、僕の中では『アラビアン・ナイト(千夜一夜物語)』または『アラジンと魔法のランプ』ほぼ一択ですが(『ハクション大魔王』や『ドラクエ』、『マギ』という方もいらっしゃるでしょうか?)。
ランプを擦ると魔神が出てきて「なんでも一つだけ願い事を叶えてあげよう」というお話は有名ですよね。このお話を聞いて、こんなことを考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「願い事を無限にしてください!」
これは一見すると正解と思える願い事なのですが、魔神からすれば、「よしわかった。では願い事を一つだけ叶えたので帰らせていただきます」ということができて、必ずしも正しい願い事だとはいえないそうです。
でも、願う側からしたら「それじゃあ願い事が無限になってないですが……」ということなのですが、「でも一つだけって言ったよね」と言われてしまえばそれまでなのでしょうか――でも……。
これは『願い事のパラドックス』といわれる思考ゲームの一種ですが、最初に聞いたとき、なかなか興味深いお話だと思いました。
……何か、無限に願い事を叶えてもらう方法はないものかなあ、と考え込んでしまいそうになりますが、どうでしょうねえ……。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということで、幸運を無にするような危険は冒さず、素直に一つだけ願い事を叶えてもらうのが正解なのでしょうか。
「二兎追う者だけが二兎を得る」ということで、どうにかしてみたいような気もしてしまいますが。
読書感想まとめ
「なんでも無限に願い事を叶えられる力をください!」というのはいかがでしょうか?
狐人的読書メモ
「そもそも人にはなんでも無限に願い事を叶えられる力があるんだよ」とか、お茶を濁されてしまいそうですが。
・『洋灯/横光利一』の概要
1948年(昭和23年)『新潮』にて初出。『洋燈(ランプ)』とも。横光利一 さんの絶筆。じつは未完の作品。
以上、『洋灯/横光利一』の読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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