がちょう番の女/グリム童話=かわいそうな王女は性悪な女?

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

がちょう番の女-グリム童話-イメージ

今回は『がちょう番の女/グリム童話』です。

文字数5000字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約13分。

王女を脅し、王女になりかわった侍女は、王子と結婚して幸福を掴んだかに見えたが、天は悪事を見逃さず、しかしてそれはすべて王女の計画だった? 本当に性悪な女はどっち?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

昔、夫を亡くした年老いたお妃がいた。お妃には美しい娘がいた。王女は大きく遠い国の王子と婚約し、旅立たねばならなかった。お妃は多くの豪華な引き出物を王女のために用意した。そしてファラダという名の喋れる馬と、自らの血を三滴落とした白いハンカチを渡し、一人の侍女をお供につけた。

侍女は性悪な女だった。王女がのどが乾いたと言っても、馬から降りて腹ばいになり、小川の水を飲むように言った。王女はそのとおりにして、三滴の血の白いハンカチを小川に落とした。やがて侍女はファラダを奪い、王女を自分が乗っていたみすぼらしい馬に乗せ、服を取り替え、偽の王女になりすました。そしてそのことを誰にも言わないよう王女に天に誓わせた。

偽の王女になりすました侍女は王子と結婚し、本物の王女はがちょう番の子供コンラッドの手伝いをすることになった。侍女は王子に頼み、すべてを知っているファラダの首を、屠畜人に切り落とさせた。王女はこっそりと屠畜人に金貨を渡し、ファラダの頭を門に釘でとめてくれるよう頼んでいた。野原へがちょうを追い立てる途中、王女はファラダに話しかけた。

野原では王女の金髪が風になびき、コンラッドはそのあまりの美しさに何度も手をのばそうとしたが、そのたびに王女は「吹け、吹け、やさしい風よ……」と風にお願いし、コンラッドの帽子を吹き飛ばした。コンラッドは帽子を追わなければならず、いつまでも王女の髪に触れることはできなかった。

ある晩、コンラッドは王子の父親である年老いた王のところへ行き、「もうあの娘と一緒にはがちょうの世話をしません」と言い、娘が門にかかった馬と話をすることや野原でのできごとを話した。王はコンラッドにいままでどおり仕事をするように命令し、一部始終をこっそりと観察した。

王は娘を呼び、どうしてそういうことをするのか、理由を尋ねたが、娘は天に誓った約束があると言って、何も語ろうとはしなかった。そこで王は娘に「では、お前の悲しみを鉄のストーブに入ってうちあけなさい」と言った。娘は言われたとおりにし、王はストーブの煙突のそばですべてを聞いた。

事実を知った王は、がちょう番の娘に美しい王族のドレスを着せた。そして大宴会を開き、王子の両隣に侍女と王女を座らせた。まばゆい衣装に目がくらみ、侍女には美しい娘が誰なのかわからなかった。宴会の席で王は余興になぞかけをした。侍女に彼女の罪を話し、どんな罰がふさわしいか尋ねた。侍女は自分のことだとは気づかずに、「そのひとは素っ裸にして、中にとがった釘を打ち込んだ樽に入れて、二頭の馬で引き回すのがよろしいでしょう」と答えた。王はそのとおりの刑罰を侍女に与えた。

それから王女は若い王と結婚し、二人は平穏で幸せに国を治めた。

狐人的読書感想

侍女の性悪っぷりが恐ろしいグリム童話でした。侍女の言いなりになってしまう本物の王女は、かわいそうな、なさけないような気がしましたが、なんとなくこの流れを意図的につくったかのような感じもして、しかしだとすると王女様も性悪な女だと言えなくもないのかもしれません。

理不尽な仕打ちに何も言い返さずに耐えることは、社会で生きていくためには重要なことのように思いますが、ときに自分の不満をはっきり主張することも大切なんだと感じます。

性悪にならないようにしたいと思い、しかしながらそれってけっこうむずかしいことなのかもしれないなと、ふと思った、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

かわいそうな王女は性悪な女?

狐人的読書メモ

・『がちょう番の女/グリム童話』の概要

KHM89。原題:『Die Gänsemagd』。

以上、『がちょう番の女/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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