狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『一日の労苦/太宰治』です。
文字数2500字ほどの随筆。
狐人的読書時間は約7分。
自己の自意識を客観的に捉え作家としての決意を新たにしたような太宰治の随筆。こんな男を、いつまでも、ごろごろさせて置いては、もったいない。一日の労苦は、そのまま一日の収穫である。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
太宰治の随筆。自身の自意識を客観的に描こうとした。苦悩の末、作家としての態度を定めたような決心が綴られている。
『こんな男を、いつまでも、ごろごろさせて置いては、もったいない、と冗談でなく、思いはじめた。生れて、はじめて、自愛という言葉の真意を知った。エゴイズムは、雲散霧消している。』
『ギリシャをあこがれてはならない。これはもう、はっきりこの世に二度と来ないものだ。これは、あきらめなければいけない。これは、捨てなければいけない。』
『むかし、古事記の時代に在っては、作者はすべて、また、作中人物であった。そこに、なんのこだわりもなかった。日記は、そのまま小説であり、評論であり、詩であった。』
『一日の労苦は、そのまま一日の収穫である。「思い煩うな。空飛ぶ鳥を見よ。播かず。刈らず。蔵に収めず。」』
『作家は、ロマンスを書くべきである。』
狐人的読書感想
苦悩してたけど吹っ切れたのかなあ……、そういうときってたまにあるよなあ……、(だけどまた苦悩はやってくるんだよなあ……)。
そんな感じの随筆でしたね。
自分には才能があるのかどうか、いつか作品が認められるのか否か――そういう悩みに対してポジティブな答えが示されています。
何事においても自分に自信を持って続けていくのって大変なことですよね。
とくに芸術家は生前よりものちに作品が認められる例がけっこう多く、それでものちのち認められれば全然いいほうで、認められないケースのほうがはるかに多いことを思います。
奴隷制度が文化・芸術を発展させた、なんてことを聞いたことがありますが(たしかにそれによって余暇を得た自由市民階級が芸術や学問に打ち込めたのは事実でしょうが)、それを現代に求めてはならない。
まだまだ小説が未成熟で数が少なかったときにはもっと気楽に書けて作品もより認められやすかったのかもしれないけれども、そんなことを嘆いていても何もはじまらない。
やるしかない、書くしかない。
……そんな感じだったんですかね、当時の太宰さんも。
物書きの苦悩を思ってみた、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
やるしかない、書くしかない!
狐人的読書メモ
・ネガティブになったりポジティブになったり、なんとなく不安定な心の揺れが感じられるように思った。
・『一日の労苦/太宰治』の概要
1938年(昭和13年)3月1日、『新潮 第三十五年第三号』にて初出。自己の自意識を客観的に捉え、作家としての決意を新たにしたような太宰治の随筆。
以上、『一日の労苦/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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