狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『宇宙女囚第一号/海野十三』です。
文字数7500字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約19分。
マッドなマカオ博士が僕に見せた怪物、それは豊満な四肢と乳房を持つ妖艶な金髪美女の肉体、しかし顔はのっぺらぼう、頭からは三本の目玉が生えていて……消えた恋人の行方は?
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
僕は研究員をしている婚約者を訪ねてその研究所へ行ったが、彼女に会うことはできなかった。そしてなぜか研究所長であるマカオ博士に、手をとられんばかりにその室に招じ入れられ、面くらってしまった。
マカオ博士は彼女を研究者として高く評価し、家庭に入れるには非常に惜しい才能だと嘆き――つまりは僕らの結婚に反対しているようだったので、僕は不満を感じる。しかし博士にそういった意図はなかったらしく、僕にあるものを見せたいのだという……。
そのようにして博士が見せてくれたそれは怪物だった。
一見それは女性の裸体だった。豊満な四肢と乳房、白い肌と金髪……しかしその顔はのっぺらぼうで、頭から三本の触手を生やし、その先には目玉のようなものがぐるぐるとうごめいている。四肢も手首から先がなく、まるできゅうりの蔓のようにぐるぐる巻いて伸びている……。
マカオ博士はそれを火星の生物だろうといい、仮に宇宙女囚と名づけた。博士は物質転送機のようなものを完成させて、火星の同じような機械で転送中だったこの生物を思いがけずこちらに呼び寄せてしまったのだと仮説を話した。宇宙女囚の転送は不完全だった。その肉体は現れても意識がないようだったから。
脳髄の転送がうまくいかなかったのかもしれない……、その原因解明の調査のために、博士は僕の婚約者を火星へ転送したと、僕の前に頭を垂れた。
狐人的読書感想
おもしろかったです。
物質転送機でたまたま引き寄せてしまった妖艶な美女の裸体は怪物であり火星人だ! とか。
話は荒唐無稽なんですけれど、マカオ博士の憎み切れないマッドサイエンティストっぷりがなんだかなあ……って感じなんですよね。
火星人調査のために君の恋人を物質転送機で火星に送り込んでしまいました、ごめんって……主人公の結婚に反対するがごときマカオ博士の前振りはそのことへの言い訳だったみたいですね(汗)
「おうほ」という口ぐせとかも特徴的で印象に残るキャラでした。
物質転送機についてはまさにSFで、実現できるのかどうかは興味深い話です。本作ではテレビに例えて説明されていましたが、物質や生体を量子レベルに分解再構築できればテレポーテーションできるんじゃないか、みたいな。
最近では3Dプリンターとかありますけれども、量子レベルでまったく同じ生体を遠隔地に再現できて、その複製体にもオリジナルと同じ記憶を情報として再現できれば、テレポーテーションできたと言えそうですが、しかしそうなってくるとコピー人間の製造に成功した! っていう別のSFになってしまいそうですね。
SFを想像するのは実現の可否はともあれ、なかなか楽しいなと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
消えた恋人はどこへ、宇宙女囚とは?
狐人的読書メモ
・宇宙女囚の見かけはなんとなく『寄生獣』を連想した。
・『宇宙女囚第一号/海野十三』の概要
初出不明。短編集『十八時の音楽浴』(早川文庫、早川書房)収録。転送装置、『寄生獣』的火星人、マッドサイエンティストが興味深く、おもしろかった。
以上、『宇宙女囚第一号/海野十三』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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