狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『ひのきとひなげし/宮沢賢治』です。
文字4800字ほどの童話。
狐人的読書時間は約11分。
命に代えても美しくなりたいひなげし。悪魔と契約し命を奪われんとしたとき、ひのきがそれを救う。が、ひなげしがひのきに感謝することはなかった。救いとは……?
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
ひなげしの花たちはみんなスターになりたかった。美しくなれるなら命さえ惜しいとは思わなかった。
そこへカエルに化けた悪魔がやってくる。バラ娘に化けた弟子を連れている。バラ娘は大変美しく、ふたりは美容術を使える医者のもとへ急いでいるらしい。
悪魔と弟子のやりとりを聞いたひなげしたちは、自分たちも美容術を受けたいから医者に出張してもらえるようお願いしてほしいと、悪魔に言伝を頼む。
悪魔はそれを請け負い、今度は美容術の医者に化けてひなげしたちのところへ戻ってくる。
医者に化けた悪魔は、美容術の対価として阿片となるケシの実を求める。ひなげしたちは美しくなれるならとその要求を呑む。
悪魔にそそのかされ、その命が奪われようとしたとき、ひのきが悪魔の正体を見破り、ひなげしたちの命を救う。
が、ひなげしたちは日頃からひのきを見下しており、ひのきの忠告にも耳を貸さない。
ひのきをおせっかいだと恨み、馬鹿にするのだった。
狐人的読書感想
…………。こういうの、なんていうんですかね?
親切が仇となる(相手によかれと思ってやったことが逆効果となる)?
でも、ひなげしたちはひのきの親切で結局命を救われてるわけだし、逆効果にはなっていないんですよね……、
恩を仇で返す(恩を受けた人に感謝するどころか害を加えるような仕打ちをする)
ですかね、やっぱり。
ひのき、報われませんね。
「いいひとなんだけどね……」とか言われてしまうひとなんですかね、ひのき……。
とはいえ本当の親切とは、報われたい、見返りがほしい、とか思って行うべき行為ではないのかもしれません。
そのあたり、ひのきはちゃんとわかっているような気がして、「いいひとなんだけどね、ひのき」って感じです。
親切は他人のためにすべきであって、即物的な見返りを求めるべきではないとはわかっていても、間違いなくそのひとのためになることであったとしても、恩を仇で返されるなら躊躇してしまうような気がします。
せめて親切にすればお礼を言ってほしいですし、親切にされたらお礼を言いたいものです。
しかしながら「間違いなくそのひとのためになる」というのも、こちらの勝手な言い分なんですかねぇ。
本作の場合、ひなげしたちは命に代えても美しくなりたかったわけであって、じゃあ美しくなったあとに悪魔に命を奪われても、それはそれで本当によかったのかもしれませんよね。
たとえ誰かの命を救う行為であっても、それが誰かにとって幸いになるとは限りません。
命さえあれば幸せ、なんてこともいえるのかもしれませんが、絶望しているひとや切羽詰まったひとにとって、それはやっぱり理想論だという気もします。
むかしむかし聖女がいました。貧困や病気で誰からも見放されて亡くなっていく人たちを、一人ひとり毛布でくるみ、母のように抱き寄せて手を握って回っていました。あるとき聖女は道端に倒れている老人を見つけ、いつものように抱き寄せて手を握りました。
しかし老人は言いました。「私が今こうして一人道端で朽ち逝くのは、私が誰にも寄らず一人孤独で誇り高き一生を送った証なのです。どうか、この崇高なる最期の時を、あなたの温もりで汚さないで下さい」
――という話をふと思い出した、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
人にとって何が救い足りえるかはわかりません。
狐人的読書メモ
・詐欺とか美容整形とかについても思わされるところがある。
・人は欲望を捨てられないという意味も……?
・『ひのきとひなげし/宮沢賢治』の概要
生前未発表作。初期形の執筆は大正10年ころ、最終形の執筆が昭和6年から8年ころと推定される。
以上、『ひのきとひなげし/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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