狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『文章/芥川龍之介』です。
文字8000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約22分。
三十分で書いた文章が好評で、幾晩も推敲して書いた文章は惨憺たる批評。がんばって書いたものよりも適当に書いたもののほうが意外な高評価を得ることがある。というあるある。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
海軍学校で英語を教え、作家もしている堀川保吉。ある日、校長が読む弔辞を作ってほしいと、科長(副校長)から頼まれる。これまでにも頼まれて書いてはきたが、顔を見かけただけの人の弔辞を作る――もはや何の興味も持てず、憂鬱になる。
保吉は一生の事業だと思っている小説を昼夜兼行で書いていた。時間がない中、いまいましく感じつつ、三十分で弔辞を仕上げた。
葬式で保吉の作った弔辞が読まれる。参列者たちが涙をすすり上げる。保吉はこういった光景を前にしてまず驚く。人を泣かせる悲劇の作者として満足を感じる。しかし、最後に感じた大きな感情は、なんとも言えない気の毒さだった。尊い人間の心の奥へ、知らず知らず泥足を踏み入れたような、あやまるにあやまれない気の毒さ。
半時間もかからずに書いた弔辞は意外の感銘を与えたが、幾晩も推敲を重ねて書いた小説の批評は惨憺たるものだった。保吉はこうしたことに運命の皮肉さを思うのだった。
狐人的読書感想
「文章」と一口に言ってもいろいろな種類がありますよね。日記だったりは自分のために書いているのだと割り切っているので、人の評価などは全然気になりませんが(その前に日記を人に見せることはないかもしれませんが)、レポートだったりはやっぱりいい評価をもらいたいと思ってしまいます。
いい評価をもらうにはいい文章を書かねばならず、しかし「いい文章ってなんだろう?」って、疑問に思うんですよね。レポートなのか、エッセイなのか、小説なのか――ものによって違うのでしょうが、共通して求められるのは「読みやすさ」だという気がします。
常に読みやすい文章を書きたいものですが、どういった文章が読みやすい文章なのか、「一文を短くするといい」とはよくいわれることですが、それだけだとなんだか安っぽく感じられるし、冗長的でも読んでいて心地のいい文章もあるし(テンポなのか?)……なかなかに考えさせられるんですよね。
本作は、主人公の保吉が弔辞と小説を書いて、弔辞は意外と高評価なのに小説は全然ダメだった……と、なんとなく悲観的になっているところに共感を覚えるのですが、保吉の作った弔辞と小説とは何が違ったんでしょうね?
弔辞は当たり障りのない美辞麗句を使っておけば、それを聞いた人たちは故人との思い出を喚起させられて、自然涙が流れてきます。
小説は感動を喚起する思い出(物語)を、ゼロから作り上げていかなきゃならないので、そこが難しいように感じます。
ただ、弔辞も小説も読む人がもつ潜在的かつ普遍的な思いを刺激して、「感動させたり面白く読ませたりする」ってことは共通するような気がします。
どんな文章でも、よくするには共通する部分とそうでない部分がある、ということなんでしょうかね。
(……当たり前のことを言っている?)
文章がもっとうまくなりたいと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
レポートとかブログとか、文章がうまくなりたい。
狐人的読書メモ
・小説の場合「読みやすさ」は一要素に過ぎず、本質は「おもしろさ」にあるのだと思う。しかし、現在は読みやすい小説でないとまず読んでもらえない。やっぱり読みやすさが大事ってこと?
・『文章/芥川龍之介』の概要
保吉もの。他に『魚河岸』『保吉の手帳から』『子供の病気』『お時儀』『あばばばば』『寒さ』『少年』『或恋愛小説』『十円札』『早春』がある。タイトルまま文章について。
以上、『文章/芥川龍之介』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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