魚河岸/芥川龍之介=へつらいは、我々に虚栄がなければ通用しないニセ金。

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

魚河岸-芥川龍之介-イメージ

今回は『魚河岸/芥川龍之介』です。

文字2500字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約8分。

偉そうな人が自分よりも偉い人にへつらってる姿ってどう思う? 誰にでも見栄を張りたい気持ちはあるから、誰もがへつらう可能性があって、自分もへつらうかも……とか思うと心が沈む?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

保吉が魚河岸うおかしの洋食屋で、三人の友達と飲んでいると、ガラの悪い客が入ってくる。睨むように店の中へ目をやり、一言の挨拶もなく、保吉たちと隣の客の間の席へ、大きな体を割り込ませ――保吉はイヤな奴だなと思う。

その客が来たことで、盛り上がっていた酒の席が、急にしらけてしまった。その客は、注文のあとも横柄にタバコをふかし始め、料理がきて、酒の瓶をとり上げる。そのとき、保吉の友達の一人が「幸さん」とその客に呼びかける。

その客は友達の顔を見て当惑し、帽子を脱いで何度もおじぎをした。友達のお猪口ちょこが空になると、その客はすかさず自分の瓶の酒をついだ。おかしいほど友達の機嫌をうかがっていた。

保吉の友達は魚河岸では知らない人のいない大店の旦那だった。店の外へ出た保吉の心は沈んでいた。同情はしなかったし、友達の話によれば、その客は人格も悪いらしいのだが、しかし陽気な気分にはどうしてもなれなかった。

狐人的読書感想

お店で楽しく食事をしていたら、ガラの悪い客が入ってきて、場の空気がしらけてしまう――誰か注意してくれないかな、誰かやっつけてくれないかな、と期待してしまう保吉の気持ちは、なんとなくわかりますね。

その気持ちを保吉は「そんな泉鏡花の小説みたいなこと、起こるわけがない」みたいに言っているのですが、泉鏡花さんのどの作品のことをいっているのか、ちょっと気になってしまいました。

泉鏡花さんの著作に、任侠小説ってあるんでしょうか……? 泉鏡花さんの短編は結構読んだ気になっていたのですが、思い当たるものはなく……ひょっとしたらこれから出合うかも?(知っている方いらしたら、コメントで教えてくれたら、嬉しいです)。

そんなことを考えていたら、保吉の友達の一人がガラの悪い客に声をかけ、とたんに客はその友達に対して卑屈な態度でご機嫌取りをするようになり――たしかに保吉が感じたように心が沈むというか……痛快というよりは、なんだかわびしいような気がします。

どんなに体が大きくて腕力があって偉そうにしていても、保吉の友達が大店の旦那であるという富とか地位とか権力とか――そういうものに人は屈するしかなく、ころっと態度を変えてしまうというのは、痛ましい感じさえしてしまいます。

保吉の書斎の机の上には、読みかけたロシュフウコオの語録がある。――保吉は月明りをみながら、いつかそんな事を考えていた。

『魚河岸』は上の一文で締めくくられているのですが、「ロシュフウコオ(ロシュフコー、ロシュフーコー)の語録」が気になったので、調べてみると、

『へつらいは、われわれに虚栄がなければ通用しない贋金である』

というのを発見しました。これが該当のものかはわかりませんが。

人間のこびへつらう態度は、虚栄心(見栄を張りたがる気持ち)から出ているということですが、やっぱり贋金のように価値がなく、むなしい気がしてしまいますね。

さすが有名人の名言です(これがへつらい?)。

じつは僕も、人の立場にへつらっているように感じるときがあって、そういうのに気づいたときって、なんとなくあとでへこんだりするんですよね。

最初読んだときは「ガラ悪い客を退治できてよかったじゃん」くらいに思ってて、保吉の打ち沈んだ気持ちがあまりよくわかっていなかったのですが、こうやって感想を書いているうちに、なんだかけっこう共感してしまった、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

へつらいは、我々に虚栄がなければ通用しないニセ金。

狐人的読書メモ

・本作には「正宗」という銘柄の酒が出てくるが、「正宗」という名前は人気が出過ぎて、商標登録上の問題になっていることがあるらしい。

・「正宗」といえば、刀の名前を思い浮かべる女子は、現代ではけっこう多いかもしれない(刀剣女子、刀剣乱舞)。

・『魚河岸/芥川龍之介』の概要

1922年(大正11年)『婦人公論』にて初出。保吉シリーズ。単行本収録時に「わたし」が「保吉」に改められ、随筆が小説の扱いになったそう。そんな経緯からこの話は実話であるらしい。鏡花の任侠小説ってどれなん? と気になった。

以上、『魚河岸/芥川龍之介』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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