鹿踊りのはじまり/宮沢賢治=お祭りの本当の精神、自然や動物に感謝!

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

鹿踊りのはじまり-宮沢賢治-イメージ

今回は『鹿踊りのはじまり/宮沢賢治』です。

文字数6500字ほどの童話。
狐人的読書時間は約15分。

すすききらめく夕陽の野原で、嘉十は鹿踊りに遭遇し、嬉しくなり……。鹿踊りは岩手県や宮城県の伝統舞踊、お祭り。鹿踊りの本当の精神を知り、お祭りを楽しみたいと思った。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

すきとおった秋の風が、鹿踊りのはじまり、本当の精神を語ったという。

北上川の東側から移住して、畑を開いて暮らしていた百姓の嘉十かじゅうは、あるとき、栗の木から落ちて足を痛めて、湯治のために西の山にある温泉に出かける。

道中、嘉十は、とちと粟の団子を食べて、残りを鹿が食べるだろうと思い、その場に置いて歩き出すが、手ぬぐいを忘れてきたことに気づいて引き返すと、六頭の鹿がぐるぐるになってまわっている。

嘉十がすすきの隙間から息をこらして覗いていると、鹿たちの言葉が聞こえてきて……、どうやら手ぬぐいを生き物だと思い、興味を持って確かめているらしい。

鹿たちは一頭ずつ、恐る恐る手ぬぐいに近づき確かめていき、やがてそれを干からびた大きななめくじだと結論づけて、歌い、踊って、団子を分け合う。

嘉十は、それを見ていて嬉しくなって、自分と鹿の違いを忘れて、ついつい飛び出してしまう。

鹿は驚いて西へ逃げてしまい、夕陽の野原に一人取り残された嘉十は、ちょっと苦笑いしながら、泥のついて穴のあいた手ぬぐいを拾うと、自分もまた西のほうへ、歩きはじめたのだった。

狐人的読書感想

宮沢賢治さんらしい、すすきと夕陽の野原の情景描写が美しく、人間と動物、自然との一時の交わりが描かれた、なんだかほのぼのするような作品でした。

「鹿踊り」は「ししおどり」と読むそうで、岩手県や宮城県で受け継がれている伝統舞踊だそうで、お祭りとして披露されているところもあるようです。

そんな鹿踊りのはじまり、本当の精神について語られているのが本作ですが、なるほどなあ、という感じがしました。

人間と自然、あるいは人間と動物というのは、基本的には相容れないものだと思っています。

たとえば、人間は生きているだけで自然を汚してしまっていますし、自然災害は人間に大ダメージを与えることがあります。人間は、基本的には動物を食べて生きていますし、動物園の熊はどんなに人間に慣れているようでも、エサがもらえずお腹が空けば、人間を襲って食べてしまうかもしれません。

人間と自然・動物は、お互いに異質なものとして存在していますが、同じ地球上に一緒に生きているので、たまには互いに助け合ったり分かり合ったりして、人間と自然・動物との交歓とでも呼べるような瞬間がたしかにあって、そのことがこの作品には描かれているのだと感じました。

それはとても貴重で大切なもので、だから自然と動物との交歓の喜びがあることを、忘れないようにするために、鹿踊りというお祭りがあるのだと、それが鹿踊りのはじまり、本当の精神だと、この作品ではいっているのではないでしょうか?

思えば、僕はお祭りに行っても、やきそばやチョコばななを食べて満足して、「どうしてお祭りがあるんだろう?」というようなことはまったく考えず、神様や自然や他の動物たちに感謝する催しだという意識は持ったことがありませんでした。

もちろん、純粋にお祭りを楽しむのもよいことだとは思うのですが、神様や自然や他の動物たちに感謝しながらお祭りを楽しめたなら、それはもっとよいことのように思います。

鹿踊りのはじまり、本当の精神を教えてもらった、今回の読書でした。

読書感想まとめ

鹿踊りのはじまり、本当の精神とは?

狐人的読書メモ

・この作品には鹿の歌った歌が出てきて、なぜか方言まじりでとてもおもしろく、印象に残る。テレビドラマ『北の国から』の第1話でも登場しているらしい。

・『鹿踊りのはじまり/宮沢賢治』の概要

1924年(大正13年)、童話集『注文の多い料理店』に収録。軽快なテンポ、情景描写が美しい。

以上、『鹿踊りのはじまり/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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