四又の百合/宮沢賢治=ブッダがくる!ってハードル上がり過ぎてない?

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

四又の百合-宮沢賢治-イメージ

今回は『四又よまた百合ゆり/宮沢賢治』です。

文字4000字ほどの童話。
狐人的読書時間は約9分。

蓮華の花のような瞳! 赤銅色に光る爪! どんな顔なんだろ? 人々が待つブッダのハードルが上がり過ぎてる。大卒で正社員という普通の人のハードルも上がり過ぎている?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

「明日の朝七時ごろ、ヒームキャの河を渡って正遍知しょうへんちがやってくる」ということで町は大騒ぎに。どんなお姿なのかと話し合いながら、失礼がないよう家や通りを掃除する。ハームキャの城にもその噂は伝わっていて、王様も歓待の準備のため大臣たちにあれこれと指示している。

王様は一睡もしないで夜を明かし、早朝から川岸に立って正遍知の到着を待つ。そして「百合の花を一茎見つけてきてくれないか?」と、大臣の一人に頼む。大臣が林のほうへ行くと、子供が十の花のついた百合の一茎を持っているのが見える。

大臣は百合を売ってくれるよう子供に頼む。子供は十銭で売ると言うが、大臣は高いとそれを値切る。結局子供は一銭まで百合の値を下げることになるが、大臣はそれを(高価な)ルビーの首飾りで支払う。しかし話を聞くと、子供も正遍知にあげようとしてその百合を準備していたのだ。

大臣は百合を子供に返そうとするが、子供はその百合を大臣にあげる。大臣は「お前はいい子だな。正遍知がいらっしゃったあとについてお城へおいで」と言い、喜ぶ子供と別れて王様のところへ戻る。王様は大臣にお礼を言って、その百合の花を受け取る。

いよいよ正遍知がやってくる。みんなが平伏し、王様も跪く。

――これらのできごとは二億年ばかり前、どこかであったことのような気がする。

狐人的読書感想

なんとなく仏教的なお話なのかなと思いましたが、正遍知とは「十号」という釈迦の十の異名の一つなのだとか。

物語のモチーフは「燃燈仏の話」。

これは仏教の本生譚の中の一つ、釈迦が前世にてすでに悟りを開くことを予言されていたというお話らしいです(予言したのが燃燈仏という仏)。

つまりそのまま仏教のお話のようですね。

ハームキャの城や町の人々は、「正遍知はどんなお顔なんだろう。噂通り紺色の蓮華の花びらのような瞳をしてるんだろうか。指の爪は赤銅色に光るんだろうか……」って、正遍知の到着を心待ちにしているのですが、なんか見た目のことばかり言ってて、ハードルが上がってるというか、けっこう来づらい雰囲気になっているような気がするんですよね、正遍知。

「テレビで見るよりカッコよくなかった、かわいくなかった」とか言われるのかと思えば、ちょっと登場しにくいだろうなあ……みたいな。

「テレビで見るより実物はカッコよかった、かわいかった!」となる可能性も、逆にあるわけではありますが。

でも、それだけみんなに待ち望まれているっていうのも、どんな感じがするものなのかと想像してみたりします。

嬉しいような、気が重いような。

あるいは、誰かが来るのを楽しみに待つ気持ちとか。

デートの待ち合わせを待つ恋人や、長期休みに孫が遊びに来るのを楽しみに待っているおじいちゃんおばあちゃんみたいな?

(……次元が違い過ぎる話かもしれません)

ラストに、この話は二億年前の話だという驚愕(?)のオチがありますが、すなわち前世の、この世ではないどこかであった話だということなんでしょうね。

二億年前だと人類はまだ誕生していないはずですが、しかし仏教の教えというのはなんか自然的というか、人間が作り出したものというよりも、本来そこにずっとある何かに人間がただ気づいて「仏教」という名前をつけただけ、といった漠然とした印象があって、つまりはそういうことをいっているのかなあ、という気がします。

町の人、王様、大臣、子供――このお話に出てくる人々は、無垢というか、すごくいい人たちなんだろうなあ、って気がします。

清廉とか無欲とか正直とか信仰とか。

「四又の百合」の意味は、そうした「人間の持つ徳(善性)」を示している――という意見には、頷かされるところです。

人間の世界は美しいばかりではありませんが、だからこそ美しいばかりの世界を想像してしまうのが人間なんだなあ……みたいな、何かをわかったような気になって、何もわかっていないであろう、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

ブッダがくる!ってハードル上がり過ぎてない?

狐人的読書メモ

・「大卒で正社員で、フルタイムで働く人」は「普通の人」ではなく「すごい人」だという意見をたまたま見て共感。いま普通の人のハードルが上がっているという話。非正規雇用が増えてる現実。

・『四又の百合/宮沢賢治』の概要

宮沢賢治の短編童話。仏教の本生譚の中の一つ、「燃燈仏の話」がモチーフ。仏教の話。理想の話。

以上、『四又の百合/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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