怪夢/夢野久作=6つの短編、あなたが1番好きな怪夢はどれですか?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

怪夢-夢野久作-イメージ

今回は『怪夢/夢野久作』です。

文字数12000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約35分。

工場は閉鎖社会の恐怖、空中はドッペルゲンガー、
街路は意味不、病院はドグラ・マグラ、
七本の海藻は驚愕のオチ、硝子世界は美麗なファンタジー世界。
あなたが1番好きな怪夢はどれですか?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

・工場

霜朝しもあさの鉄工場。学士になったばかりの私は、父親が急に亡くなったのを受けて、この工場を受け継ぐことになる。生まれて初めての実地作業の指揮。若い、新米の主人に対する職工たちの目は冷たい。フライトホイール、ピストンロッド、スチームハンマー――工場内の機械部品は生きた怪獣のようだ。これまで、何人の職工たちを餌食にしてきたことか――と、悲鳴に振り返った私の鼻先に、突然クレーンに釣られた溶鉱炉が迫り、なんとかかわした私。工場全体の嘲笑が聞こえてくるように感じた。

・空中

搭乗者だけが空中で行方不明になるという、いわくつきの偵察機があった。私はまわりが止めるのも聞かずに、それに乗って空へ。すばらしい飛行――しかし、突然、大きな鏡のような青空の中から、自機のドッペルゲンガーが現れる。鏡写しのような動き……回避できない! 座席から飛び出して機体を脱出した私は、パラシュートが開かないまま、弾丸のように落下していく――やはり同じように落下していく、私そっくりの顔を凝視しながら……。

・街路

大東京の深夜。クラブで遊び疲れて、一人、自宅へトボトボ歩いていると、私のすぐそばを自動車が通り抜けていく。乗っていたのは人形だった。

・病院

私は精神病院の檻の中に入れられている。そうしたのは、檻の向こうにいる、病院の医務局で勉強している、かつての私だ。檻の中の私は、檻の向こうの私に、激しい怒りを感じて、ここから出せと詰め寄り、とうとう懇願する。私は言う。「ダメだ。お前は私の大切な研究材料だ。完全に発狂させて、その経過報告を学位論文に書くんだ」。私が檻の間から、私に一撃喰らわせると、私は動かなくなった。「……ハッハッハッ……ザマを見ろ……アハアハアハアハ」。

・七本の海藻

金貨を積んだまま沈んだオーラス丸の所在を確かめるため、潜水服を着た私は海底に降り立つ。すると七本の海藻の森が、私に近づいてきて、オーラス丸の真実を語る。七本の海藻は、オーラス丸の船長夫婦と一人娘、船長に忠実な一等運転手と、三人の水夫で、みな、オーラス丸の乗組員たちの手で海に沈められた。オーラス丸の沈没は、首謀者である水夫長が、警察に流したウソの情報で、金貨もオーラス丸も、いまだ彼らの手のうちにあるという。私は――その首謀者の水夫長だった。

・硝子世界

河や海はもちろん、町も、家も、橋も、街路樹も、森も、山も――水晶のように透きとおっている。世界のはての涯まで硝子ガラスでできている世界で、私はスケート靴をはいて、水平線まで貫いている硝子の舗道を、一直線に逃亡している。私が振り返って見れば、彼方のビルの一室が、真っ赤な血の色に染まっているのが見える。名探偵がスケートの秘術を使って、追ってきているが、スタートの早かった私のほうに余裕がある。私は後ろ向きになって、ハンドジェスチャーで探偵を侮辱してやった。探偵が悔しがっているのがわかる。いい気味だ――私が前に向き直ると、そこは地平線の端だった。虚空に飛び出した私は、無限の空虚に真っ逆さまに落ちていく。と、地平の端から、名探偵が顔をニュッと覗かせて笑った。「貴様を硝子の世界から追い出すのが、俺の目的だったのさ」。私は悔しさのためにオイオイ泣きながら、無限の空間をどこまでも落ちていった……。

狐人的読書感想

「工場」、「空中」、「街路」、「病院」、「七本の海藻」、「硝子世界」――6つの掌編から構成される、短編小説集『怪夢』、僕はかなり好きな作品です。休憩中のちょっとした時間なんかに、またちょこちょこ再読したいような小説でした。

6つの掌編の中で、どれが一番好きか、他の人と話してみたりすると、なかなか楽しそうに思えますね。どれも印象的なお話なので、ひょっとすると意見が割れることもあるかもしれません。

ネットの評価では「硝子世界」が多いような感じでしたが、本当にどれも捨てがたい、それぞれ独特の雰囲気が楽しめます。狐人的には正直どれも捨てがたいですね。

以下にそれぞれの感想と読書メモを残しておきます。

・工場

ちょっとプロレタリアの雰囲気のある作品のように、僕は感じたのですが、どうでしょうね? 葉山嘉樹さんの作品に通じるような、当時の工場労働者の悲惨な扱いというか――そんなところが印象的でした。もう一つ、閉鎖社会の恐さみたいなものも描かれているように感じます。工場とか会社とか、とくに学校ですかね。内部で何が行われているのか見えづらい、何か恐ろしいことが起こっても、外の誰にも気づかれないんじゃないか、みたいな。閉鎖社会の人間たち、その連帯感が生み出す完全犯罪、みたいな。同じく夢野久作さんの『難船小僧』を読んだときにも、同じようなことを思ったのを思い出します。

・空中

ドッペルゲンガーといえば、やはり人間のドッペルゲンガーを思い起こしますが、人間以外のドッペルゲンガーもありうるんですかねえ……。本作のような、飛行機のドッペルゲンガーの話を、どこかで見聞きしたことがあるように思うのですが、それがどんな、何という作品だったか、全然思い出せません。ドッペルゲンガーについては、芥川龍之介さんや梶井基次郎さんなど、同時代の他の作家さんも小説の題材にしていて、当時流行っていたことがうかがえるように思います。

・街路

正直、意味がよくわかりませんでした。

……私と……。
……私の夢の……。
……結婚式当日の姿……。

何か意味があるとは思うのですが……また調べてみたいと思います。

・病院

『ドグラ・マグラ』を彷彿とさせますよね(と、思うのは僕だけ?)。精神病院という舞台、精神病という状態、不気味で奇妙なシチュエーションには、やはり惹きつけられるものがあります。

・七本の海藻

ミステリーとして読んでもおもしろいなと思いました。短いということもあるのですが、オチをまったく予想していなかったので、ふつうに驚いてしまいました。

・硝子世界

ファンタジーですね。世界のはての涯まで硝子ガラスで出来ている世界は、想像しやすいし、綺麗な情景だと思えます。「スケートの秘術」という表現が狐人的にはお気に入りです。やはりオチが秀逸だと感じました。さすが名探偵。やり方があくどい、というか、フィクションではどうしても美化されがちな探偵の、本質を垣間見られたような気がします。

ぜひ読んでみてください。何が一番好きだったか、教えてください(あわよくば、『街路』の意味や解釈もご教示ください!)。

読書感想まとめ

どの話が好きか、聞かせてほしいです。

狐人的読書メモ

いくつかの話では「嫌な予感」ということが効果的に使われている。物語では「嫌な予感」は必ず当たらなければならないように感じる(『小説に銃が出てきたのならば、その銃は撃たれなければならない』、いわゆる一つのチェーホフの銃)。が、実際に「嫌な予感」が当たる確率はどのくらいなのか、ふと疑問に思っただけの話。

・『怪夢/夢野久作』の概要

1931年(昭和6年)10月『文学時代』、1932年(昭和7年)6月『探偵クラブ』にて初出。「工場」、「空中」、「街路」、「病院」、「七本の海藻」、「硝子世界」の6つの掌編からなる短編小説集。それぞれに楽しめる小説。あなたの一番好きな作品はどれですか?

以上、『怪夢/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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