狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『ならずもの/グリム童話』です。
文字数2000字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約4分。
ニワトリの夫婦が他者を利用してやりたい放題する話。
その姿、まさにならずもの!
一番衝撃的だったのは自分で産んだ卵を食べるシーンでしたが、
飼っている人には常識だそうです。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
おんどりとめんどりがクルミをとりに山へ行った。お腹いっぱいになると歩いて帰る気がしない。そこでおんどりがクルミの殻で車を作った。その車をどちらが引くのかで口げんかになった。
そこへ「俺のクルミの山で何してる!?」とアヒルが文句を言いにきた。おんどりはアヒルを返り討ちにした。アヒルは車を引かされることになった。
道の途中でまち針とぬい針に出会った。針たちが疲れていると言うので、おんどりは車に乗せてやることにした。
一行は宿屋にやってきた。宿の主人はいやな予感がして宿泊を断るが、めんどりが産んだ卵をあげる、アヒルをあげる、と調子のよいことを言われ、とうとう一行を受け入れることに。一行はたくさんのサービスとご馳走を要求し、どんちゃん騒ぎした。
翌早朝、おんどりとめんどりは卵を食べて殻をかまどへ投げ、まだ眠っているまち針をタオルに、ぬい針をイスのクッションに仕込んで宿を逃げ出した。それに気づいたアヒルも逃げた。
宿の主人が目を覚まし、顔を洗ってタオルを使うとまち針が刺さった。パイプに火をつけようとかまどに近づき、弾けた卵の殻が目に入った。イスに座るとぬい針が刺さった。
主人はかんかんに怒った。昨夜遅くきた一行のしわざに違いない――部屋に行ってみると客の姿はなかった。
宿の主人は今後一切ならずものは泊まらせないと誓った。
狐人的読書感想
さすがグリム童話、『ならずもの』のタイトルにふさわしい、ならずものたちのハチャメチャぶりでした。
単純に読んでみれば驚きがあっておもしろいのですが、この内容から子供たちに教え諭すような教訓を見出すのはちょっと難しいかもしれませんねえ。
反面教師的な内容として「こんなことはしちゃダメだよ」といった感じで教えるしかないでしょうか。
あるいは、宿の主人は直感を信じてあやしいならずもの一行を泊めるべきではなかった、とか?(あやしい人についていっちゃいけないよ、みたいな、一見よさそうですが、いらぬ偏見を育んでしまいそうな……どうでしょうね?)
子供に読み聞かせをするならば小学校中学年以上といったところでしょうか。これをブラックユーモアとして解するには、ちょっと高めの対象年齢が必要、という気がします。
グリム童話は当時のヨーロッパの風習や生活が反映されているので、調べてみるとおもしろいことがわかったりします。
今回は、おんどりとめんどりが卵を食べたシーンに興味を覚えました。
自分の子供が生まれてくるはずの卵を食べちゃうなんて、ちょっとグロい感じもしますが、無精卵だとか、出産じゃなくて排卵なんだとか思えば、そんな思いも緩和されるように感じます。
てか、卵を産む生物には自分で産んだ卵を食べる習性(食卵)を持つものがいるんですね。
ニワトリにも食卵癖がつくことがあり、一度卵を食べてしまうとそのおいしさのとりこになって、自分で産んだ卵を食べるようになるんだそうです。
ニワトリを飼っている人には常識なのかもしれませんが、僕は今回初めて知ったので驚いてしまいました。
ニワトリに与えるエサにカルシウムが不足していると、卵の殻が薄く、柔らかくなって食べてしまうのだとか。
一度食卵癖がつくとなかなかとれないそうです。
卵、おいしいですもんね。栄養もありますしね。
そんなニワトリを責められないという気がします。
食卵癖をとるには、穴を開けて中身を抜いた卵にねりカラシを入れてニワトリに食べさせる、という方法があるみたいです。辛さにショックを受けて、以後食卵をしなくなるといいます。
ちなみに、ニワトリがほぼ毎日卵を産むのはそのように品種改良されているからだそうです。この品種改良は2000年前の古代ローマ時代から行われていたといいます。
現在ではニワトリを飼っている家庭というのは珍しい気もしますが、グリム童話が編集された当時のヨーロッパでは当たり前に飼われていて、だから食卵も当たり前のことだったから物語に反映されているんでしょうね。
現代に生きる僕からすると驚きや衝撃を受ける話でしたが、調べてみて、当時との生活の違いから生じる常識の差異、みたいなものが感じられておもしろいところでした。
読書感想まとめ
読み聞かせをする場合の対象年齢は小学校中学年以上。
あえて教訓は「こんなことしちゃダメだよ」、あやしい人を信じてはいけないよ」。
描かれるニワトリの食卵癖に、ニワトリを飼うのが当たり前だった時代の常識を感じておもしろかった。
狐人的読書メモ
ブラックな教訓「他者は須らく利用するためにある」。
・『ならずもの/グリム童話』の概要
KHM10。対象年齢、小学校中学年以上。ブラックユーモア的。当時の常識が現代では驚きに感じられておもしろい。
以上、『ならずもの/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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