狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『ざしき童子のはなし/宮沢賢治』です。
文字数2000字ほどの童話。
狐人的読書時間は約5分。
座敷童子の四つの話。
その正体についての四つの説。
座敷童子の正体は
幽霊? 呪人形? 奴隷? 河童?
ゲームやアニメでもキャラクター化されて、
座敷童子は興味深い存在です。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
座敷童子の話、四編。
1
大人たちが働きに出て、子供が二人、庭で遊んでいると、誰もいない家の、どこかの座敷から、ざわっざわっ、箒の音がする。二人の子供が肩を抱き合って、音のした座敷をこっそり覗くが、そこには誰もおらず、日の光だけが明るく降っていた。
2
ちょうど十人の子供が手をつないでまるくなり、ぐるぐる座敷の中を回って遊んでいると、いつの間にか十一人になっている。だけど一人も知らない顔はなく、いったい誰が増えたのか、それが誰にもわからない。
3
村のある大きな本家では、旧の八月のはじめにおまつりをして子供たちを呼ぶ。ある年、一人の子がはしかにかかって、その子のためにおまつりが延期された。いよいよおまつりの日、ほかの子供たちはよくなったその子を仲間外れにしようと決めた。その子がやってくるのが外に見えて、みんなが座敷にかくれようとしたら、青ざめて泣き出しそうなその子がそこにいた。
4
ある夜、舟渡しが着物の子供を一人渡した。船の上で舟渡しが子供に尋ねると、子供は長く暮らしていた笹田さんの家から斉藤さんの家に行くのだという。その後、笹田さんの家はおちぶれて、斎藤さんの家は立派になった。
こんなのがざしき童子です。
狐人的読書感想
興味深いですね、座敷童子。
最近では『モンスト』とかのゲームなどでキャラクター化されていますよね。
僕も名前は聞いたことがありましたが、どういう存在なのかは知らなかったので、この機会にちょっと調べてみることにしました。
座敷童子は岩手県に伝わる妖怪、あるいは精霊的な存在だそうで、柳田國男さんの『遠野物語』に出てくるものが有名なんだとか。
古来からのイメージなのか、最近のキャラクターのイメージなのか、座敷童子といえばなんとなく女の子のイメージですが(座敷童女?)、性別ははっきりとしていないらしく、男の子のときもあれば女の子のときもあるのだそうです。
どころか、年齢も五、六歳の子供かと思いきや、下は三歳から上は十五歳、中学生や高校生くらいの姿をしたものまであるといいます。
(そうなるともう座敷少年や座敷少女ですね)
エピソードとしては、宮沢賢治さんの『ざしき童子のはなし』に書かれている四つのものがやはり有名らしく、みなさんもひょっとしたら知っているものがあるかもしれません。
僕も四つ目の話はどこかで聞いたことがあるような気がしました。
座敷童子は「幸運の象徴」とされているらしく、座敷童子が家に住み着くと家人にいいことが起こるらしいです。
ただし、いなくなってしまうとそれまでの反動なのか、急に不幸になってしまうというのはちょっと考えものですね。
幸せのために座敷童子には家に来てほしいですが、その後の不幸を考えてしまうと……、躊躇してしまうところがあります。
(あるいはそれまでが幸せ過ぎて、急に普通になるのが不幸だと感じられるだけなのでしょうか? 幸せや不幸は人の気持ちの持ちようなのだということを考えさせられるところでもあります)
そんな座敷童子の正体についてはいくつか説があるので、以下に列記しておきたいと思います(てか、怖いものばかりですね、座敷童子の正体)。
①口減らしされた子供の幽霊説
かつて東北地方では、口減らしのために子供を石臼で圧し潰し、台所に埋めるという風習があったそうです。こうして間引きされた子供が、その家や土地の土着霊となって徘徊しているのだといいます。一家共倒れを防ぐためとはいえ、やっぱりえげつない話ですよねえ……。
②大工の呪い説
大工さんがその家を建てるとき、家人などから無礼な振る舞いをされて、「くっそ~、呪ってやる!」、ってな感じかどうかはわかりませんが、木で作った人形を柱や梁にはさんでおいた、それが座敷童子の正体であるという説です。なんとなく陰陽師の式神を連想させるエピソードですね。
(ちなみに「陰陽師 式神」で検索したら、そのもの『陰陽師』というゲームに登場する座敷童子というキャラがヒットしました)
③奴隷にされた子供説
これはかなりかわいそうな話なのですが、戦争孤児となった子供たちを、土地の有力者が奴隷として家に置いていたという説があります。奴隷という労働力を使って家を栄えさせたというところが、やはり『ざしき童子のはなし』の四つ目のエピソードと重なりますよね。どこか信ぴょう性を感じさせられる説です。
④河童説
座敷童子は河童だ! という、まあ、そのまんまな説ですが。池や川に住む河童が、近くの家に勝手に住み着いて、それが座敷童子と呼ばれるようになった、というのはおもしろい話ではあります。河童の進化系が座敷童子? みたいな。
――などなど、結局、感想というよりも座敷童子を調べて終わってしまいましたが、しかし本当に興味深い存在だなあ、というのが今回唯一の感想です。
『ざしき童子のはなし』で知った座敷童子の特徴と、その正体についての説を組み合わせれば、一つ物語が書けそうな予感がします。
とくに「奴隷説」はいろいろと想像しておもしろいんですよねえ……。
読書感想まとめ
座敷童子が創作のモチーフとして興味深いです。
狐人的読書メモ
少年は「年少の男女」という意味で男女ともに含まれるが、童子は仏教用語で「男の子」を表すので、座敷童子が女子だった場合はやはり座敷童女とするのが正しそう。
座敷童子がもともと男の子だったとすれば、女の子のイメージはどこからきたのか、ちょっと興味を覚えたところだった。
・『ざしき童子のはなし/宮沢賢治』の概要
1926年(大正15年)、『月曜』にて初出。生前発表童話。四つの掌編からなる短編童話。座敷童子の存在が大変に興味深い。
以上、『ざしき童子のはなし/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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